自身の強みを再認識し、「未来を創る」DXデザイナーに進化
クリエイティブサロン Vol.312 八尾和之氏
今回の登壇者は、DXデザイナーとして活動しながら、中小企業向けDX伴走支援サービス「DXBoot」の本部長として活動する八尾和之氏。幼少期や学生時代のエピソードをはじめ、クリエイターネーム「Yapin(ヤパン)」の由来、将来の展望などについて語った。

中学入学直前の引っ越しで社交的な性格に変化
小学生の頃の八尾氏は、家にあったテレビゲームが大好きなゲーム少年だった。
「やや人見知りな性格もあって、家が大好きな子どもでした。ただ、周囲の友達の影響で子ども会のソフトボールチームに所属していて、練習や試合の時は外でアクティブに動いていました」
しかし中学入学時に引っ越し、小学生時代に仲が良かった友達と離れるどころか、友達ゼロからスタートすることに。だが、この経験が八尾氏の性格に大きな変化をもたらすことになる。
「寂しい中学生生活になるのが嫌で、入学式の日から友達を作ろうと周囲の同級生に必死で話しかけました。たくさん話しかけた結果、多くの友達ができたと同時に、この日を境に社交的な性格に変わっていきました」
高校進学後は、中学時代の仲間と草野球チームを結成。日曜日は練習に明け暮れつつ先輩チームとの練習試合も行っていた。
「草野球チームは38歳まで続きました。日曜はアルバイトや用事を入れないのが暗黙のルールになるくらい本気で取り組んでいましたし、野球以外ではストリートダンスやアルバイトに精を出していました。そんな時、好きなテレビドラマ『3年B組金八先生』シリーズで、主人公の坂本金八の姿に感動して国語教師をめざすようになりました」
クリエイターネームの由来はクルマ?
大学は国語の教員免許が取れる学部だけを受験して合格した。入学直後は電車通学をしていたものの、自動車通学の方が便利なため通学用の車を自分で購入することに。
「別の車が欲しかったのですが車庫に入らないことがわかり、目に入ったのが値段も手頃なスズキのラパンでした。購入して乗り始めると『ラパンに乗っている八尾ちゃん=ヤパン』で『ヤパン』と友人たちから呼ばれるようになったんです。それを今もクリエイターネーム『Yapin(ヤパン)』として使っています」

大学入学時にめざした国語の教員免許は取得したものの、教員採用試験は不合格で別の道を探ることになる。そこで浮かんだのが、中学生の頃から自宅で触っていたパソコンだった。
「パソコンを使う仕事をしたいと考えてIT業界に興味を持ち、ソフトウェア開発会社にSEとして就職しました」
しかし、リーマンショックや家族の事情で転職や退職を余儀なくされ、2つのアルバイトを掛け持ちするフリーターに。ある時、教員の夢が叶わず就職活動をしていた当時のことを思い出す。
「IT企業に就職した時に『エンジニアは技術職で手に職をつけられる仕事だから将来は独立したい』と考えていたんです。そこで、フリーターとして働きながら、友人から依頼されたWebサイトを作ったり動画を編集していました」
人生を変えた「クリエイター祭り」
フリーターをしながら知人や友人のITまわりのお手伝いをするうちに転機が訪れる。
「Facebookを見ていたら、偶然『クリエイター祭り』というイベントの存在を知って参加し、同時に初めて交流会にも参加したんです。誰も知り合いがいない中、自分から積極的に声を掛けたのを覚えています。『クリエイター祭り』を通じて、人と人のつながりや情報収集の大切さを学びました」
2年連続で一般参加して以降はイベントマネージャーや司会など運営側に回るようになった。また、2020年にはフリーターからIT事業を行うフリーランスとして独立。そして2022年には、個人でITコンサルの仕事を始めようと準備をしていたところに「どうせなら一緒にしよう」と声をかけられ、中小企業向けDX伴走支援サービス「DXBoot」を立ち上げることに。数カ月かけてサービスを創る大変さを学びながら、サービス稼働後は本部長として中小企業のDX支援に取り組むようになった。
「DXBootでは、人や企業がめざすべき理想の未来を創るためにフルコミットできるキャパシティを創り出すための『時間を創る』DXコンサルタントとして各企業を訪問して、伴走支援型のコンサルティングを行っています」

自身の強みを再認識し、「未来を創る」DXデザイナーに
「『時間を創る』DXコンサルタント・Webエンジニア」として活躍していた八尾氏だが、2025年8月から自身の肩書きを「『未来を創る』DXデザイナー」に変更して活動している。これは独立して5年が経過し、自分の強みを改めて考えてみた結果、エンジニアの知識や経験、接客業で鍛えたコミュニケーション能力、教育への情熱、表でも裏方でも立ち回れる、の4つが強みだと再認識したからだ。
「ITエンジニアの多くはスキルアップ重視で、コミュニケーションを避けたがる傾向があります。しかし、4つの強みを組み合わせて独自の強みとすれば、多角的な視点でお客さまと一緒にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進められます。この強みがより伝わりやすい肩書きを考えました」
こうして「人々が輝ける未来を創れるようになるためのDXを設計する人」を表現する「DXデザイナー」にたどり着き、「『未来を創る』DXデザイナー」という肩書きが誕生した。
将来的には、現在本部長として取り組むDX支援サービス「DXBoot」をさらに成長させて法人化をめざすという。そしてもうひとつ、人が集まれるような場所を創りたいという。
「ゲームが大好きなのでゲームBarのような形をベースとして、同じ趣味や好きなものを持つ人がいつでも集まれる場所を創りたいなと。さらにここは、仕事やクリエイターとしての悩みや問題を抱えた人が気軽に相談してもらえるような場所にもなればいいな、と」

イベント概要
自分の武器を再発見することで生まれた「未来を創る」DXデザイナーという肩書
クリエイティブサロン Vol.312 八尾和之氏
大学卒業時に興味だけで飛び込んだITエンジニアの世界。将来的な独立を視野に入れて働くも、会社で働くことに息苦しさを感じている中で、世界的な不況の煽りを受け退職。自分がプログラムした製品をもっとたくさんの人に見てもらいたいという想いでWeb系の会社に転職するも、数年後に家の都合で退職してサービス業界に従事する。それから数年後にとあるイベントに出会ったことが人生が変わるきっかけになり、いろいろ経験し2020年にWebエンジニアとして独立。独立してから自分の武器を再認識して新たな肩書を見つけたお話と、それを踏まえたこれからの展望についてお話ししたいと思います。
開催日:
八尾和之氏(やお かずゆき)
Yapin
DXデザイナー
大阪府堺市出身・在住。大学卒業時に中高国語第1種教員免許を取得するも、ソフトウェア開発会社にシステムエンジニアとして就職してデジタルカメラの開発業務に従事する。その後Web系システム開発会社に転職し、いろいろな業務を経験してWeb系の知識を得るも、家庭の都合で退職し飲食業やアミューズメント業界で接客業に従事する。2020年8月、エンジニアとしての経験と接客業で培ったホスピタリティ精神を武器にWebエンジニアとして独立。現在は「未来を創る」DXデザイナーとして活動しながら、株式会社クリエイティブユニバースに参画し、関西の中小企業向けIT / DXの伴走支援事業「DXBoot」の本部長として活動中。

公開:
取材・文:中直照氏(株式会社ショートカプチーノ)
*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。
