越境者たちの公開ブレスト宣言「クリエイティブは旅に出よ。」
メビック扇町開設15年&リニューアルオープン7周年記念フォーラム

あらゆる業種においてクリエイティブ思考の重要性が叫ばれる今。しかし当のクリエイター側に、産業の壁を飛び越える越境者となり、異なる文化をつなぐ翻訳者となる覚悟はあるだろうか。今回「クリエイティブは旅に出よ。」のテーマのもと、プロデューサー江副直樹氏の呼びかけに応え集まったのは、大阪に拠点を置きつつ国内外にネットワークを広げ活躍するふたり。既存の文脈から外れ、新しいクリエイティブの作法を模索するための「公開ブレーンストーミング・ゼロ回」と銘打たれた対話から、未来に向けて解き放たれた三者三様の思考とは。

パネリスト
江副直樹氏

江副直樹氏(ブンボ株式会社)

米穀店店員、工場作業員、釣り雑誌編集者、コピーライターを経て、商品開発や広報計画を柱とするプロデュース会社を設立。農業、商業、工業、観光、地域活性など、多分野においてコンセプト重視の事業戦略提案を行う。

三木健氏

三木健氏(三木健デザイン事務所)

話すようにデザインを進める「話すデザイン」と、モノとコトの根源を探る「聞くデザイン」で物語性のあるデザインを展開。今、話題のデザイン教育プロジェクト「APPLE」をまとめた書籍が、英中日の3ヶ国語で上梓されている。

服部滋樹氏

服部滋樹氏(graf : decorative mode no.3)

美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にgraf設立。クリエイティブディレクターとして数々の空間デザインやブランディングを手がけているほか、近年は地域活性などの社会活動も多い。

暮らし全体を見つめるまなざしと、コンセプトを抽出する力。

江副直樹氏
江副
今日のテーマを「クリエイティブは旅に出よ。」とした理由は、僕自身、クリエイティブの活躍すべき領域が、たとえば金融とか政治とかも含めて、まだまだ世の中にいくらでもあるはずなのに、その持ってるポテンシャルの割に、あまり外に広がっていないなと思っていて……。それはおそらく、クリエイティブに対する世間の理解が深まっていないという現状もあるし、狭い領域に閉じこもっているクリエイティブ側にも責任がある気がしています。今、僕がやっている地方活性化の仕事も、これまでクリエイティブとは縁がなかった分野に、クリエイティブを導入しているだけなんです。そんなわけで今日は事前打ち合わせ一切なしで、おふたりと予定調和じゃないところで話を広げたり深堀りしていけたらと思っています。

服部滋樹氏
服部
実は今年でgraf20周年なんです。20年前を振り返ると、バブル崩壊の後で、どう生きていくべきかをすごく考えなきゃいけない時代だった気がします。「デザイン」とか「クリエイティブ」なんて言葉は、まだ普通に使われてる状況じゃなかったけど、そんな中で、消費にまみれずに自分たちの思想で生きていく仕組みができないかなって考えて作ったのがgrafです。

三木健氏
三木
音楽があったり家具があったり料理があったり、あの20年前にすでにデザインというものを横断的にとらえていて、「暮らしの真の豊かさ」を考えてるチームが出てきたんだ!というのが、僕のgrafに対する第一印象。


1998年に創業したgraf。ひとつのビルに、デザイン事務所、カフェ、ショップ、家具工房が同居する新しいスタイルを生み出した。

服部滋樹氏
服部
本当におっしゃるとおりで、デザインやりたくて事務所作ったんじゃなくて、「豊かな暮らし」を実現するために、デザインとかアートとかクリエイティブが必要だったわけで。だからデザインは目的じゃなくて、手法としてしか考えてないですね。

江副直樹氏
江副
僕も、依頼された領域以外のことにいろいろ関心が向いちゃうんですよ。ゼロから気になる。「全体」をやろうとすると、どうしてもプロデュース的に考えざるを得なくなるけど、僕はコピーライター出身でデザイナーじゃないので、それを具現化する時には、デザインや建築や写真含めたクリエイティブの力を借りないといけない。

服部滋樹氏
服部
そうは言っても江副さんの言葉の選び方はすごいですよね。一緒に仕事をするクリエイターも可視化しやすいと思う。

三木健氏
三木
コンセプトって、相手の脳裏に風景を作り出さないと伝播しないからね。

江副直樹氏
江副
たしかに僕はコンセプトを非常に重要視していて、コンセプトが曖昧だと、すべてが曖昧になりますね。そういう意味ではコンセプトの中心点には言葉がなりやすいかもしれない。

三木健氏
三木
昔、僕の仕事仲間で「コンセプター」を名乗っていた人に、コンセプトって何?って聞いたら「妊娠」って。コンセプトの関連語「コンセプション」には、考えるという意味もあるけど、そもそも妊娠っていう意味なんです。受胎して、妊娠10カ月があって、誕生、子育て、があるとすると、それはコンセプト、ストーリー、デビュー、ビヘイビアに当たる。産みっぱなしじゃだめで、デビューした命をいかに育てて、その振るまいを作っていくか。その過程で失敗や成功を含めて物語が生まれていくので、商品はある意味、理念の子どもだといえます。そして僕は、ネーミングやステートメントといった言葉は理念の声だと思う。だから伝播力のある理念の声をどう見つけるかが、クリエイティブの大きな役割だと思ってますね。

服部滋樹氏
服部
20年前と比べると、自治体であろうとメーカーであろうと、何かプロジェクトをやるにはデザインの力が必要だね、ってところまでは来たかなって思います。ただ、まだデザインが技術としか思われていないところがもったいないなと。今我々が話してるのは、あらゆる課題を整理して、思考を組み立てていく作業がデザインだよってことなんだけど、そこには理解がまだ追いついていない気がします。

三木健氏
三木
本来は、見る目を共有して一緒に作っていくプロセスがデザインの中に宿ってないとダメなんだけど、デザインの技術や成果品ばかりに目を取られるから、あなたは作る人、私は依頼する人、みたいな関係になってしまう。今僕が大学で学生たちとやっている「APPLE」という授業は、考え方、作り方、伝え方、学び方を、リンゴの観察を通してひもといてみようというものです。見るというと英語でsee、look、watchの3つがあるけど、seeは景色として見ている感覚ですよね。僕たちはリンゴを「知っている」と言うけど、それはseeで知覚しているだけで、洞察力をもって対象を観察するというlookやwatchはできていないのがほとんど。でもその観察が、僕たちの仕事の中ではすごく重要で。


APPLE+学び方のデザイン「りんご」と日常の仕事|三木健展 / 2015年3月 / ギンザ・グラフィック・ギャラリー
三木氏による大阪芸術大学デザイン学科の授業「APPLE」のプロセスを俯瞰する「APPLE+展」は、国内外の美術館やギャラリーを巡回し、注目を集めた。

サイエンスやテクノロジーを「翻訳」するのもクリエイターの役割。

江副直樹氏
江副
僕らは見えないものを感じて、それを抽出してコンセプトとして可視化する。そうするとたくさんの人が理解できる。僕はこのコンセプトの可視化は、感覚でしかできないことだと思ってます。数字ってのは誰でもわかる、可視化の一番簡単な方法ですね。5と10どちらが大きいかっていうのは子どもでもわかる。だからMBAは数字で説明できるものだけを扱って、感覚的なものを排除した方法論でずっとやってきたけど、その反動か、5〜6年前からコンサルティングの世界もデザイン思考と言い始めています。おそらく頭のいい人たちが、気づき始めたんでしょうね。

服部滋樹氏
服部
おととしぐらいにNYで聞いた話では、これまでアフターファイブにMBA勉強してた連中が、そっちやめてアートスクールに行き始めてるって。MBAだけでは世界で通用しなくなってるように、ただのブランディングじゃ通用しない時代になって、最近はどこに行っても「グローカルブランディング」って言葉が共通語になってるのを見ると、20年振り返って変化の速さを感じますね。昔は一生懸命海外を意識してたのが、ローカルなことやってるだけで世界につながり、お金だけじゃない評価を得ていくというのが……。

江副直樹氏
江副
今ここにいる3人も拠点は東京じゃない。おふたりは大阪、僕は九州を出たことがなくて、それも福岡じゃなくて、好きな釣りをしたいがために大分の日田っていう内陸部にいるんです。


2013年に移住した日田で趣味である鮎の友釣りを楽しむ江副氏。「宝は足元にある」を信条とし、田舎者の定義とは「答えが外にあると思っている人」だと語る。 photo:川嶋克

三木健氏
三木
「グローバル=着眼大局」「ローカル=着手小局」を行ったり来たりするのが、ネット社会も含めて今や普通になってますね。さっきの江副さんの、感覚をいかにビジネスの世界に持ち込むかって話で思い出したのが、グラフィックデザイナーの杉浦康平が手がけた、感覚を図化するっていう実験。彼は、お寿司を食べた時のワサビとトロが口の中で混じっていく感覚をダイアグラムで表して、それをフランス料理や中国料理、インド料理を食べた時の感覚と比較したんです。それらの差異によって日本料理の繊細な味覚が視覚化されているんですが、それってサイエンスと感性の融合ですよね。僕がお付き合いしてる経営者も、「感動とそろばん」っていう考え方を強く持ち始めてる人が多い。

服部滋樹氏
服部
今ってすごく面白い時代で、サイエンスやテクノロジーの発達によって、感覚を数値化するセンサーも進化してますよね。だから次のフェーズで僕らがやるべきことは、そういった成果を、いかにクリエイティブに変換して活かすかってことじゃないですかね。科学分野では膨大な費用をかけていろんな研究をしているのに、目的が特化してしまってるせいで100分の1ぐらいしか研究成果が採用されていない。でも捨てられる99%の成果を我々クリエイターが見て、これってこのジャンルでも使えるんじゃないの?っていう変換と翻訳作業をするべきじゃないかな。

江副直樹氏
江副
ほんとにクリエイティブのポテンシャルはそこにあって、数値化するっていう科学のベクトル、感覚を脇へよけないと分析が成り立たないという状況がまだ未熟なんだと思うんですね。それがもっと繊細になっていくんじゃないかと……。これまでクリエイターと呼ばれてきた人種は、それを職人技的に個人の感覚で体得して、アウトプットができる人ってことだったのかなと思います。ただそれが職人技の世界に閉じ込められてきた気はするので、それを外に向けて翻訳できればいいのかなと思っていて。

クリエイターのセンサーを活かし、社会に機能する「OS」をつくること。

服部滋樹氏
服部
Macとかのツールが発達して、デザイナー誰もがある程度テクニックらしきものは持てるようになったけど、本来、体感的感度の持ち主である僕らの、センサーとしてのデータ処理能力がまだ活用しきれてないんじゃないかと思います。僕はリサーチ大好きで、新しいプロジェクトに当たってはネット検索したり、文献を読んだり、フィールドワークしたりインタビューしたり、とにかくあらゆるリサーチをするんです。映像民俗学っていう学問があるぐらいに、映像記録を行うことも重要なリサーチ手法のひとつだし。

三木健氏
三木
今和次郎さんが昭和の初期に手がけた「考現学」にも近いね。銀座を行き交う人の服装や、街のディテールなどをひたすらスケッチして記録し、コレクションしていくという。

江副直樹氏
江副
生活を数値化し記録したものってこれまで統計とかデータベースでしたよね。その数値化の手法がもっと進化すれば、感性を取り込んでいける予感がするけど、今の統計だったら行間が空きすぎて、読み取れない部分が多すぎるし、時間がたつと文脈もわからなくなるっていう弱点があるんじゃないかな。映像だとそれがまんべんなく面になる。

服部滋樹氏
服部
映像民俗学がすぐれているのは、アーカイブとして何層ものレイヤーが積層されてて、後で映像を見返す時に、着眼点が変わってもそれぞれに価値があるところ。ある時はファッションに注目したり、ある時は食生活に注目したり……。いろんな応用に耐えうる、未来のためのアーカイブなんです。今僕らが、生みの苦しみの中で現代に何かを残す行為には、たとえば10年後の視点で見られた時に、「あぁ、あの頃はこうだったね」っていえる時代の文脈みたいなものを、デザインにいかに格納していくかっていう使命もあるんじゃないかって思ってます。


服部氏が滋賀県ブランディングディレクターとして取り組んだ「湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA」プロジェクトでも、数々のアーカイブ動画を制作。

江副直樹氏
江副
僕の持論として、クリエイティブは力も価値もすごくあるけど、できる人は少数。でもすべての人は感じることができるから、感じるということにおいてはプロアマはないと思ってるし、だからデザインが有効なんですね。ただ作れる人が少ない中で、ここにいるおふたりは、細分化されたデザインをしてる人ではないですね。もっと全体とか暮らしを見ている。

三木健氏
三木
江副さんが自分の会社をブンボって名付けた理由もそういうこと?

江副直樹氏
江副
分数の分母を考えると、根底にあるもの=分母がすごく重要で、パソコンにたとえて言うとOSが分母、アプリケーションが分子です。堅牢なOSがないとアプリケーションは動きませんよね。スポーツでいうと基礎体力が分母で、テクニックが分子。僕がやるべきことは分子じゃなくて分母の仕事じゃないかと……。

服部滋樹氏
服部
めっちゃいいですね。僕もgrafはものづくりのOSみたいになったらいいなと思ってたので。

三木健氏
三木
普遍的なOSになれば、みんなが使えますよね。アグロフォレストリって言葉聞いたことありますか? 生態系を考えて、植栽と農林業を両立させる持続可能な仕組みのことなんですが、これもOS的です。環境破壊を防ぎつつ、収益も地域に還元していこうという取り組みの中で、住民の働き方も育っていくし、森も育つ。そういう「共育ち」できるような仕組みがデザインのOSになれば、多くの人たちに喜びをリレーできるような素地ができるんじゃないかなと思いました。

江副直樹氏
江副
今の多くのデザインにはOSが脆弱で機能していないものが多いのかもしれませんね。

三木健氏
三木
ワクワクやドキドキを届けることもデザインのOSにはすごく重要だと思います。Macのインターフェイスでいうと、データをごみ箱に捨てる時、自分のアクションに反応して紙がごみ箱にシュパッと落ちていく楽しさとかね。

江副直樹氏
江副
機能的には、わざわざごみ箱がシュパッと音を立てる必要はないはずだけど、それがWindowsにはないMacの魅力ですよね。

服部滋樹氏
服部
でも最近はクリエイターの中でアンチMac派も出てきてますね。今まで作ったモノを経済効率性だけでブラッシュアップすることしかやっていなくて。いや、言い過ぎたか……(笑)。

江副直樹氏
江副
それってさっきのコンセプトにも通じる話ですね。コンセプトって属人性が強くて、とくに個性の強い創業者が掲げたコンセプトを引き継げるのはなかなかまれなんじゃないかと。ジョブスがいなくなったアップル社がこれからどうなるのかという疑問はあります。

三木健氏
三木
創業者の持っている熱いフィロソフィーが薄れてくるんですね。フィロソフィーってフィロス(愛)とソフィア(知性)でできてて、この2つがないと成り立たないんです。地域や世界と、フィロソフィーを通して絆を結んでいくというのがブランディングです。さらに古代ギリシャでは、学びのことをフィロソフィーって言ったそうで、つまり愛と知が重なっていないと学びにはならないと。愛なんて気恥ずかしい言葉に聞こえるかもしれないけど、とっても重要ですよ。

三木健氏

クリエイターよ野性を磨き、ぶつかり合い、愛を生み出す力になれ。

服部滋樹氏
服部
最近博物館の方と話す機会が多いんですが、博物館が目指す方向性って、20世紀と21世紀ではずいぶん変わってきていて、3.11以降さらに変化してるんですね。今までは資料をつぶさに残すことが博物館の目標だったわけだけど、今重要なのは未来を想像しながら、今遺すべきものは何かという思考的フィルターとしての役割を果たすことなんだと……。

江副直樹氏
江副
偶然にもこの本番前に三木さんと雑談してる時もそんな話が出てたんです。今までだったら美術館や博物館はストックデータの場所だったけど、ただ溜め込むだけじゃなくて、誰かが編集することでより価値あるものになる、広義のキュレーションが求められているという話をしてました。

服部滋樹氏
服部
学びのスタイルもそうで、今までは子どものための考古学ワークショップといえば、「古代の壺のかけらを発掘しました」と言って子どもの目の前にピースを並べて、これをどう組み立てたら壺になる?と問う、つまり完成形に辿りつかせるワークショップですね。でもそれだと、その壺がどんな背景のもとで生まれたかわからないじゃないですか。そこで次のフェーズだと、縄文の器のかけらと、弥生時代の器のかけらを並べて、さあどんな時代だったと思う?って問いかけて思考を膨らませるワークショップだったりする。そこでの子どもたちの表現が素晴らしかったんですよ。

三木健氏
三木
想像力を養うには、ある種の不自由さと、考える隙間を作っておくことが大事ですね。

服部滋樹氏
服部
もうあれこれ用意されすぎてしまったんです、我々は。今の若い世代を「スラッシュ世代」って呼ぶんですけど、あらゆるモノが用意されてるけど、すべてスラッシュで分断されて羅列してて、文脈はない、という。これって「0」と「1」でできてるコンピューターと同じですね。

三木健氏
三木
新潟の燕三条にスノーピークっていうアウトドアの会社がありますよね。あの会社が面白いのは、「人生に野遊びを」ってコンセプトのとおり、社長も社員もしょっちゅうキャンプをしていて、とくに社長は最近の公園法によってキャンプで焚火が禁止されてることに非常に憤慨して、それで作った焚火台が今や大ベストセラーなんですよね。自分たちの好きなもの大切にしているものを、きちんと作って届けていく姿勢があって、そんな人たちが作る衣・食・住・遊・休・知・美ってどんなものになるんだろう、って期待感があります。

江副直樹氏
江副
僕もずっとOSを鍛えるには自然の中が一番だと思っています。去年、あるキャンプのプログラムをお手伝いしましたが、コンセプトで重要視したのが、必ず火とナイフを与えるということなんです。人間の原初的な感覚を体感させるにはそれが一番いい。

三木健氏
三木
便利になりすぎてしまうと、そこが研ぎ澄まされないんですよね。人間がもともと持っていた野性を取り戻していくことが、クリエイティブにも重要な時代になってきたなと思います。好きになった人に夢中で告白するような、あの感覚って大事よね。やっぱり愛だよ。

服部滋樹氏
服部
摩擦や衝突や出会いがあるからエネルギーが生まれるし、文明や生活も豊かになる。衝突や出会いって愛が始まるきっかけなのに、それがないのが問題。僕らのやってることは、愛を生み出すためのきっかけづくりだと思うんです。あまり興味持ってない人に興味持ってもらうには、振り向いてもらうにはどうしたらいいんだと考えたり、本当の想いを伝えるにはどうしたらいいんだって考えたり……。愛の始まりをどんなふうに考えるかですよね。

服部滋樹氏

クリエイティブのOSを鍛え直す異分野との越境的対話を始めよう。

三木健氏
三木
さっきフィロソフィーは愛と知性で、古代ギリシャではそれを学問と呼んだという話をしましたが、「学問」ってひっくり返すと「問いを学ぶ」ってなる。結局、今の社会課題をいかに問うていくかというのがクリエイターの大きな役割になると思います。

江副直樹氏
江副
「答えを学ぶ」んじゃないということですね。

三木健氏
三木
1足す1は2って答えを学ぶんじゃなくて、問いをいかにつくり続けていくかということ。それは従来のアンチテーゼとは違うんです。そういったことも含めて受け止めながら、社会の動きをしっかり見つめて問いを投げかけ続けていくことだと思います。

江副直樹氏
江副
それはたぶん職種とかに関係なく、現代人すべてに必要なことなんでしょうけど、そこでクリエイターが先陣切ってOSを鍛え直して、社会に働きかける存在になれたらいいですね。僕は、今日のこの話は公開ブレストのようなもので、実はこれがゼロ回だと思っています。今日を始まりとして、今後いろんな領域、とくにクリエイティブがこれまであまり関わってこなかった領域から、感覚を共有できる人たちをゲストでお呼びしてセッションを重ねていきたいと考えていて……。こういう発信が東京じゃなく大阪からできたら、痛快ですね。

江副直樹氏

服部滋樹氏
服部
そういうのやりましょうよ。僕も今感じてることをみんなに言いたいし共有したいので、続けていけたらいいですね。

江副直樹氏
江副
できるだけこのライブ感を活かしつつ、対話をアーカイブ化していって、最終的には今後のクリエイティブの新しい定義としてまとめて、世界に発信できたら面白いなと思っています。同時代的に同じこと考えてる人は海外にもいると思うので……。

服部滋樹氏
服部
いますいます! 最近「久々にオルタナティブなスペース見たわ!」って思った場所がパリにあるんだけど、そこのメンバーがやってるフォーラムもすごく実験的で面白いので、今度会ったらそこのリーダーにも声かけてみます。

江副直樹氏
江副
旅をするっていうのは、つまり越境です。国境を超えて外国に行くと、言語や文化が違いますよね。それと同じく産業が違えば、言語も文化も違っている。たぶん僕らクリエイターはその翻訳・通訳をしないといけない立場だと思うので、これからいろんなゲストとの対話を通して、その翻訳ぶりを可視化しつつアーカイブしていきたいですね。ということで、古い辞書を捨てて旅に出ましょうか(笑)。今日は本当にありがとうございました。

イベントの様子

公開日:2018年03月30日(金)
取材・文:松本幸氏(クイール

イベント概要

クリエイティブは旅に出よ。
メビック扇町開設15周年&リニューアルオープン7周年記念フォーラム・パーティー

この度、メビック扇町開設15周年とリニューアルオープン7周年を記念して、次のステージに向けた契機となるよう、クリエイティブの世界で発信力を持つ3人のゲストスピーカーから「クリエイティブは旅に出よ。」をテーマにお話しを頂きます。
これからの若いクリエイターが競争力を持って活発に活動していくためには、自分自身の殻を破って、積極的に異業種・異分野との関わりを持ち、互いに知の共有や技術の融合等を通して、新しいビジネスや事業を生み出していく姿勢が必要となります。
本フォーラムでは、3人のゲストスピーカーの鼎談を通して、クリエイター自らが異業種・異分野と関わる際に必要な意識や行動様式等についてヒントを得られればと思います。そして、実際に異業種・異分野の人々とのリアルなコミュニケーションを深めることができる場になればと考えています。

開催日:2018年3月29日(木)18:30〜22:30
会場:カンテレ扇町スクエア1F アトリウム