メビック発のコラボレーション事例の紹介

美容一筋のサロンがはじめて伝えた想い
エステサロンが開発した化粧品のプロモーション

「雫」ウェブサイトトップページ

「私がプレゼンするの?!」戸惑いながらも踏み出した一歩

エステティックサロン「Praia」を開業して以来、施術一本で走り続けてきた松本優子さん。酷使する手の痛みや、コロナ禍での事業に限界を感じ、もう一つの事業の柱として独自の化粧品の開発を進めていた。それが、細胞を活性化すると話題のヒト幹細胞に美容成分をプラスした化粧品「雫」。完成を目前に控え、残る問題はプロモーションだった。右も左も分からないまま、ECサイトの構築ができるクリエイターを求めてメビックに相談。そこで「企業によるクリエイター募集プレゼンテーション」への参加を提案された。この時を振り返って、松本さんは「人前に立つのが苦手。正直、なんで私がプレゼンしないといけないの、逆じゃないの?と思っていました」と苦笑する。

「お客様にもっと良いものを安心の価格で提供したい」。プレゼンではその想いを懸命に伝え、数十人のクリエイターと名刺交換。すると翌朝、10人ほどからフォローメールが届いた。「一通一通読みながら、想いを理解してくれてるな、やりたいことを叶えてくれる実績があるな、とメモを片手にチェック。チェックが一番多かったのが、natume-designの内海さんでした」。とくに松本さんが「まさにこれ!」と思ったのが、「最小限でローリスク」な提案内容だ。内海重光さんは「プレゼンを聞いて、松本さんがリスクを抑えて小規模で進めていきたいと考えていることが見て取れました。サイトの構築だけでなく、これまで大小の事業運営に携わってきた経験からも、私にできることはあるなと感じました」と穏やかに話す。

同時にもう一通、松本さんの目を引いたメールがあった。それが、シェアードプラスの景山タロウさん。「LPの中に動画も入れたいと思っていたところに、景山さんからの写真付きメールが。名刺交換の時から印象的だったので、すぐに“あの人だ”と思い出しました(笑)」。想いも理解した上での提案内容と良心的な価格設定に、一も二もなく依頼を決定。ここに、がむしゃらな松本さんをがっちりと支える2人のプロとのコラボレーションが始まった。

クリエイター募集プレゼンに登壇した松本さん。苦手な人前で、懸命に想いを伝える。

お互いの世界に足を踏み入れて深まるコラボレーション

松本さんのリクエストは、訴求力の高いランディングページ(LP)のようなECサイト。そのイメージをもとに、サイトと動画でテイストがブレないように、内海さんと景山さんがオンラインで事前に認識をすり合わせ、それぞれ要望に応えるデザインや構成を作りあげていった。

とはいえ、ECサイトさえあればどんどん商品が売れるわけではない。「広告費をかけず低予算で運営するには、お客様から商品の感想と写真をいただいて、それをホームページと同時にSNSにも反映して拡散することが大切。地道に継続することでコンテンツがサイトに蓄積されます。SEOにもいいし商品への信用にもなりますよ、とお話ししました」と内海さん。美容一筋の松本さんには慣れない世界だったが、参考動画などを紹介しながら、内海さんが優しく手を引いていく。

内海さんもまた、教わることが多かった。「松本さんから“ターンオーバー”という言葉を聞いて、専門用語かと聞いたら『一般的には知られていますよ、内海さん』と。薬機法で規制されている文章表現を含め、一つひとつの言葉をチェックしてもらいながら、何度もメールでやりとりしました」。サイトのメインコピーは、やりとりを続ける中で松本さんが口にした言葉「美は一日にしてならず」に決定。お互いに刺激を受けながら、サイト制作は着実に進んでいった。

「雫」Webサイトスクリーンショット
打ち合わせの中で松本さんから出てきた言葉「美は一日にしてならず」をメインキャッチコピーに。

心配事にも、頼りになるのはやっぱりクリエイター

ただ、松本さんには心配事が一つあった。別会社にサロンのアプリ開発を頼んでいたのだが、決して安くはない投資だけに、導入によって本当に効果があるのか、また実際に自分で運用していけるのか悩んでいたのだ。思いきって内海さんに相談すると、内海さんは開発会社との打ち合わせに同席し話を聞いた上で、「確かに安くはありませんが、顧客管理ができるしSNSの拡散にも使えます。一度現状を整理しましょう」と、アプリを使ったビジネスモデルを紙に書き出し、松本さんと一緒に事業の可能性を探ってくれた。この時の内海さんは、どれほど頼りになったか。結果的にはシステムの問題でアプリ開発は中止となったが、それ以前に気持ちがずいぶん軽くなっていたという松本さん。正式にサイト制作を依頼してからわずか10日ほどの出来事だったが、想いを掘り下げながら、事業全体を見通して適切なアドバイスをくれる内海さんにすっかり心を許していた。

「雫」ウェブサイトスクリーンショット
お客様の声を掲載。松本さん自身で追加・更新することで検索にヒットしやすくなり商品への信頼度もアップ。

想いを伝えたからこそ築けた最高の信頼関係

こうしてできあがったECサイトは、LPのような訴求力を持ちながらも、自分で更新ができる要素も持ち合わせた優れもの。「カラーもテイストも、これこれ!という感じ。イメージ通りで、よくここまで仕上げて下さったなと思います」

動画はというと、丸一日を使い、景山さんが提案した構成で撮影を行った。モデルは当初お姉さんにお願いする予定だったが、都合により急遽、松本さん自身が出演することに。それが結果的に良い効果を生んだ。当初から本人の出演を勧めていた景山さんは「開発者が語れば買い手も安心します。口達者ではなくても、松本さんが頑張ってくれたから誠実さが伝わる動画になりました」と話す。緊張でセリフはうまく言えなかったが、「あんなにたどたどしかったのに、よくここまで!」と松本さんが感心するほどシームレスに編集され、人柄の良さもひしひしと伝わってくる。

化粧品のPR動画。開発者自身が出演することで使用感をリアルに伝え、商品への信頼感を高めている。

プレゼンへの登壇も動画への出演も、当初は乗り気ではなかった。しかし「今になって、やって良かったと思えます」と松本さん。「どんな想いでどんな商品を作ったのか、やっぱり自分が表に出て伝えないと。内海さんも景山さんも、受け身ではなく私から想いを伝えて選んだ人たち。想いを汲んでくださる人に出会えて本当に良かったです」

これからの課題は、サイトの更新とSNSでの拡散。内海さんもまだまだ心配で、松本さんのことがいつも頭をよぎるという。「サイトを作ったからにはメリットを還元できるようにしたい。様子をうかがいながら、新しいアイデアを提案したいと思います」。コラボレーションは、堅いパートナーシップとなってこれからも続いていく。

集合写真
左より、松本優子氏、内海重光氏、景山タロウ氏

エステティックサロンPraia

代表
松本優子氏

https://shizuku-praia.com/

natume-design

事業ブランディング、立上、運営サポート
内海重光氏

https://www.natume-design.com/

シェアードプラス

映像制作
景山タロウ氏

https://www.mebic.com/cluster/shared-plus.html

公開:2022年5月30日(月)
取材・文:山本佳弥氏

*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。