「共感してもらいたい」の思いで販促企画
西幡 治美氏:(株)スイッチ

肩書きは「コピーライター/プランナー」として、販促企画の提案から商品開発の助言まで、得意のスポーツの分野で幅広く活躍する西幡治美さん。「ユーザーに共感してもらいたい」という思いを胸に、企業と密接に連携しながらプランニングをされています。自身もトライアスロンなどに出場するアスリート。スポーツのジャンルを軸にしながらも、今後は「もっといろんな分野の販促を手がけたい」と意欲に満ちあふれておられます。

目指すはシナリオライター!

西幡氏

高校時代は美術部でひっそり絵を描いていたという西幡さん。映画が大好きで、その世界を夢見て大阪芸術大学の映像学科へ進みます。映画や映像と言っても、西幡さんが目指したのは「ドラマの設計図」とも言える脚本を書くシナリオライター。大学卒業後もさらに深く勉強しようと、東京のシナリオ専門学校の門を叩きます。が、この「東京時代」に得難い人生経験を積み重ねます。

東京時代の体当たりな人生経験

東京ではゴーストライターとしてライティングの仕事をするかたわら、「興味が向いたものは片っ端からやろう」と、新宿の下町で広告代理店、浅草で庭師、銀座や歌舞伎町でさまざまな水商売を経験します。
意外な地位や立場にある人が客としてやって来るなど人間の裏の顔も目の当たりに。
「奥の深い、哲学の世界です」。しかし、それらは「私にとっての通過点」と、貴重な経験を手に約1年でその世界から「卒業」します。

販促の仕事と出会い、スポーツにも出会う


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故郷の京都に戻ってからは、派遣社員としてワコールに入ります。ちょうど「体力に自信のある人が欲しい」という部署があり、西幡さんは「肉体的にも精神的にも壊れない自信があります」と手を挙げ採用されることに。そこは、アスリートに向けた「Cw-X」という筋肉や関節をサポートするウエアの販促を行う部署でした。

少人数のチームだったこともあり、机上のプランニングだけでなく、大会会場に出向いて写真を撮ったり取材をしたり、販促物の制作やWebサイトの記事や動画もこなすというマルチな働きで鍛えられます。同時に、自身もスポーツに触れ、アスリートとしても目覚めます。

得意ジャンルだけに特化はしない

その後、3年間勤めたワコールを退社しますが、そのワコールをはじめスポーツ関係の広告をメインにしている株式会社スイッチと行動をともにする、フリーのブレーンとして独立します。西幡さんは、これまで培った販促企画のノウハウとスポーツに関連する知識を武器に、スポーツ関連商品のプランニングを打ち出します。しかし、「スポーツ以外にも広げたい」と、スポーツのジャンルが得意だけれども特化するつもりはありません。

また、マーケティング事務所でもこの秋から仕事を始め、「ユーザー視点を見失わず、企業が自信作をヒットさせる仕組み作り」を最初から最後まで提案するということにも力を入れています。

「今はもっといろんな人に会って、多くの人と関わりたい」。2008年の夏に独立したばかりと言うこともあり、まだまだ行く先を決め込まない方針です。

販促企画も映画製作も根底は同じ

西幡氏

ずっと映画作りへの憧れはあるものの、今はちょっとお休み。けれど、大学当時に映画の世界を志していた時から「相手に共感してもらう仕事をしたい」との思いはずっと抱いていたと言います。それは現在の仕事への思いと同じで「ユーザーとクライアント、両方にいかに共感してもらう提案ができるか」を常に念頭に置いているそうです。

クライアントとの打ち合わせで「何が欲しいのだろう」「何がやりたいのだろう」「何で私がこの席に呼ばれてるのだろう」を考えながら、相手が求めているものと自身がやりたいものとをすり合わせ、一緒に「共感できるもの」を作り上げて行く。販促企画も映画製作も、西幡さんの根底に流れているものは同じなのだと感じました。

公開日:2009年01月05日(月)
取材・文:福 信行氏
取材班:つくり図案屋  藤井 保氏