メビック発のコラボレーション事例の紹介
イベリコ豚専門店のイメージと売上アップ
イベリコ豚の販促ツール
ことのはじまり
イベリコ豚、鹿と茸と出会う
本物のイベリコ豚を広めると共に、環境問題を解決するナンバーワン企業になる。これをグランドデザインにして宣言しているタイシコーポレーション株式会社は、「最高級イベリコ豚専門店 イベリコ屋」の飲食店3店(北新地、心斎橋、六本木)と、デパ地下の惣菜店1店(渋谷)を展開している。今回のコラボは、同社代表取締役の山本真三さんがある勉強会で株式会社シカトキノコの代表取締役、藤田ツキトさんと知り合ったことから始まった。シカトキノコは「“ここにシカない価値”と“あキノコない魅力”」を企業スローガンとする広告・企画会社だ。ツキトさんと意気投合した山本さんは「変わった人だからおもしろいことを考えてくれるんじゃないかな」と期待して、ギフト用販促ツールのリニューアルを依頼した。担当したのはシカトキノコの取締役、金輪際セメ子さんだ。
広がったつながり
サイトを見て、直観。あっ、この人にぜひお願いしたい
セメ子さんは、まずカメラマンを探した。広告制作に携わって15年以上のキャリアを持つが「がっつりと飲食の写真を撮らせてもらうような仕事は、今回が初めてでした」と当時を振り返る。肉のシズル感をかっこよく撮れる人がいないかと探す中で、「ウチも載せてもらっているメビックのウェブサイトで探してみたら」とツキトさんから言われ、サイトをチェックしてクロワッサンを撮った写真を発見。「あっ、この人にお願いしたい」と思い、コンタクトを取った。
料理写真が専門のRinaさんは肉料理の写真もたくさん撮ってきたが、「よく探してくださったなぁ、というのが本音です」と感謝する。実際、メビック扇町のサイトにある「クリエイティブクラスター」(クリエイター情報掲載ページ)には、カメラマンや写真スタジオが多数掲載されていて、サイト内検索をかけると写真ジャンルだけで283件もヒットする。白羽の矢が立ったRinaさんの実感にも頷ける。
こだわりが生んだ成果
月商20万円が、なんと1500万円に
「私は、山本社長が最初の撮影で写真をご覧になったときのことが忘れられません。“めっちゃイイですやん!”と全身で喜んでくださいました」とRinaさん。「本当に感動しました。いままで自分たちがやってきたのは時間の無駄だった、と思ったくらいです(笑)」(山本さん)
Rinaさんはどのクライアントのときも、お店のカラーや雰囲気に近づけて撮るようにしている。だから、イベリコ屋の撮影ではコントラストをつけ、くっきりと肉の質感を出すことを心がけたという。
一方、セメ子さんはこれまで同店で使っていたA4サイズ両面印刷の一枚物チラシを、厚めの紙を使った2つ折リーフレットに変えることを提案。元の仕様だと、お店で食べた人がチラシをバッグに入れて持って帰っても、帰宅する頃にはクシャクシャになってしまうからだ。商品に同梱するリーフレットの紙面にイラストを添えて食べ方をわかりやすく紹介したり、注文の際に手書きしなければいけない箇所をチェックボックスにして面倒を少なくしたり。中元用、歳暮用、ギフトカタログと回を重ねるごとに改良を重ね、ウェブサイトやメニューの写真も入れ替えた。すべてが功を奏し、結果は如実に表れた。
「当初20万円ぐらいの月商が1500万円になりました。本当にありがたいです」と山本さんはうれしそうに話す。「食べ方がわからない」という問い合わせも激減し、スタッフの手間も大幅に減った。自社サイトへの訪問件数も伸びているという。何よりスタッフの反応が一番大きかったようだ。「社長、むちゃくちゃ変わりましたね!」という声を聞いた山本さんは、スタッフのモチベーションアップに手応えを感じた。
新たな気づき
写真やデザイン、コピーで売上が変わる!
セメ子さんが初めて制作費の見積もりを見せたときに、山本さんは「こんなに制作費にお金をかけたことがない」と言った。
「写真やデザインで売上が変わるとは思っていなかったから、それまでは予算を全然かけていませんでした。今では、あの見積もりは適正だと思いますよ」と山本さんは笑う。
「売り方や見せ方を変えるだけで同じものでもこんなに変わるんだ、ということがわかりました。お金をかけるところにはかけなければ、と思いましたね。次は初の試みとなる頒布会。何としても成功させたいですね」と春からの取り組みに思いを馳せる。
セメ子さんは「一旦ストップしていた仕事も動き出し、いい写真も上がってきたので、テンションが上がっています」と語り、Rinaさんは「これからも売上に貢献できる写真を撮っていきたいですね」と続けた。
メビック扇町のサイトから直接仕事につながるケースはそれ程多くない、と思われているかもしれないが、ジャンルや発信方法次第でクライアントやディレクターから仕事や協業の誘いが来る可能性も十分ある。今回の事例はそのことを実証している。メビック扇町の「クリエイティブクラスター」は、出会いを求める人のためのドア。クリエイターを探している方は、一度ノックしてはどうだろう。扉の向こうで、待ち人が微笑んでいるかも知れない。
公開:2018年4月19日(木)
取材・文:中島公次氏(有限会社中島事務所)
*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。