メビック発のコラボレーション事例の紹介

赤ちゃんとお母さんをすこやかに育む食事「産育食」を伝えたい
「産育食」提案企業のブランディング

イラスト

赤ちゃんとお母さんの濃密で幸せな時間をおいしく、楽しく、健やかに

株式会社みらいたべるは、神戸を拠点に主に産婦人科病院で食事を提供している給食会社。産まれたての赤ちゃんと、お産を終えたばかりのお母さんが寄りそう産院で、これから続く家族の暮らしのために、厨房から食のよろこびや大切さを伝えたい。代表・小附孝氏は、そんな気持ちで2008年から、みらいたべるの活動を続けてきた。

コーポレートサイト
今回のコラボから生まれたコーポレートサイト。「みらいたべる」が大切にしていることや事業内容を、やさしく伝える。サイトの雰囲気に惹かれて、という問い合わせも多いという。

「何を食べるかとはつまり、どう暮らすか、どう生きるかにつながり、それは産まれ来る赤ちゃんの未来でもあります。そんな気持ちで、産前産後食を“うみそだてる人の食”、「産育食」と名づけました。赤ちゃんとお母さんの大切な時期、そして家族のあたらしい物語がはじまる節目に、もう一度、食と暮らしを見なおせたらという想いから生まれた言葉です」と語る小附氏。産前産後は、赤ちゃんとの濃密なかかわりの中で、心が揺れる時期。たまらなく幸せな瞬間もあれば、疲れて泣きたい日もある。そんな大切な時期だからこそ、普段の食事に、赤ちゃんと自分をいつくしむ工夫をちょっとプラスして、おいしく健やかな食卓にしようという提案だという。

「産育食」とは、よりよい食と暮らしの知恵
そこからつながる家族の未来

「産育食」は、2012年に商標登録を取得。そこで「産育食」の商品を開発し、販売しようと考えた小附氏は、ショッピングサイトを立ち上げるべく、ウェブデザイナーの中塚琴美氏に相談した。ところが話は思わぬ方向に。「お話を聞いたときに、これはブランドづくりから始めるべきではないかと思いました」という中塚氏は、コピーライターの松本幸氏に相談。その後、メビック扇町を通じて知り合ったデザイナーの江竜陽子氏にも話しを持ちかけた。まず会社として、何を伝えていくべきかという方向性をさぐることから始まったというブランド作り。クリエイターと社員一緒にディスカッションを重ね、まず「産育食」の概念を広めるためのツールとして、情報サイトを立ち上げることに。
「サイト名『月とみのり』には、女性の身体や赤ちゃんの成長を象徴する“月”に、“実り”と“身の理”の意味を込めました。絵本のタイトルのように、何かのはじまりを予感させるような名前にしたいと考えました」と語る松本氏。一方ロゴをデザインした江竜氏は「お母さんの、幸せと不安の入り交じった気持ちを、十五夜を待つ“十三夜の月”に見立ててデザインしました」と語る。

ウェブサイトと会社案内
月とみのり」のサイトロゴは、まん丸ではない十三夜の月がモチーフ。サイト全体にも、会社案内(右)にも「ゆっくりおかあさんになっていいんだよ」というメッセージが込められている。

世界観構築のため、メビック扇町を通じて知り合ったイラストレーター福田真子氏や、デザイナー森国雅子氏にも協力を依頼。福田氏の柔らかなタッチのキービジュアル、森国氏が提案するハンドメイドのコンテンツは、どちらも子育てママとしての実感から生まれたものだ。さらにカメラマンの樋口裕美氏も加わり、「月とみのり」サイトと、「みらいたべる」社の理念を伝える冊子が生まれた。母と子の食と暮らしをやさしく照らす「月とみのり」は、今も徐々にコンテンツを増やし充実中だ。

「みなさんとのブランド作りの中で、会社が向かうべき方向が見えてきました。まず大切なのは『産育食』という概念を広め、それを提案しているのが『みらいたべる』という会社だと認知されること。物販は将来的に取り組みたい課題ですが、まずは根を張ることからだと気づきました」と語る小附氏。

食のプロが生み出した「産育食」という言葉は、6人のクリエイターたちとの出逢いによって、単なる食の提案を越え、「食を軸としたよりよい暮らしの提案」に変化していった。それは、家族とつむぐ手ざわりのあるくらし。風土に根ざした食のあり方。時代や地域にかかわらず、繰り返されてきた人のいとなみそのものだ。

森国氏、江竜氏、中塚氏、小附氏、樋口氏、松本氏、福田氏
後列左から、森国氏、江竜氏、中塚氏、小附氏、樋口氏、松本氏、そして前列中央の福田氏。

タウグラフィック

江竜陽子氏

http://tau-graphic.com/

ことや堂

中塚琴美氏

https://kotoyado.com/

Abri de photo

樋口裕美氏

http://abri-de-photo.com/

クイール

松本幸氏

http://quill.jp.net/

forest design / 大枝活版室

森国雅子氏

http://www.oeda-kappan.com/

株式会社みらいたべる

小附孝氏

http://miraitaberu.com/

公開:2015年5月29日(金)
取材・文:岩村彩氏(株式会社ランデザイン

*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。