メビック発のコラボレーション事例の紹介

初挑戦同士で臨む、オリジナル腕時計開発。
腕時計のデザインとブランド展開

UNIFY(ユニファイ)

クラウドソーシングから予定を変更。

レトロモダン。この言葉から何が連想されるだろう? 建築、インテリア、ファッションなど。人によってさまざまだと思うが、これからご紹介するコラボレーションは、このレトロモダンをテーマにした腕時計開発事例。自社で初めて取り組むオリジナル腕時計のパッケージデザインについて相談するため、ワンダークエスト株式会社社長の岩田正信さんは懇意にしている株式会社ファイコム社長・浅野由裕さんを訪ねた。そのとき、「商品はどのようにデザインするのか」と質問され、「クラウドソーシングを使うつもりだ」と答えたところ、メビック扇町を活用すればその手法を用いなくてもクリエイターと出逢えることを教わった。アドバイスに従い、岩田さんはメビック扇町に相談。「企業等によるクリエイター募集プレゼンテーション」への参加を勧められ、2016年6月に登壇した。
テーマは「レトロモダン」、ブランド名は「UNIFY(ユニファイ)」。オリジナルウォッチのプロダクトデザインを任せるデザイナーと出逢うために、熱のこもったプレゼンテーションを行い、引き続き行われた交流会に同社COOの宮本樹里さんらと参加した。
「その日は名刺入れがパンパンになる程たくさんの名刺を持参しましたが、それがほとんど無くなるくらい大勢の人と名刺交換しましたね」と岩田さんは大盛況の夜を振り返る。

ロゴ
鈴木さん作のロゴタイプとマークは、腕時計だけでなく同プロジェクトで広く使われることに。

ブランドが形成されていく過程まで提案。

Breath. Design代表の鈴木康祐さんとはその会場で出逢った。鈴木さんは大学卒業後、輸入家具商社で家具デザインの経験を積み、2009年からデンマークにあるデザインオフィスでアシスタントプロダクトデザイナーとして就業。帰国後、仲間とデザインスタジオを立ち上げ、2016年にBreath.Designを設立した。屋号は「呼吸するように無意識に使ってもらえる息の長いプロダクトデザイン」を理想とした活動に由来している。
プレゼン後、同社は後日4~5社からデザイン案を提案してもらうことになった。「時計のデザインをされている人はそれ程いらっしゃらないと思っていたので、多くの方に興味を持っていただけたのはとてもありがたいことでしたね」と宮本さんは語る。
鈴木さんは3Dプリンターで制作した原寸大モデルまで用意して、自作のロゴタイプやシンボルマーク、商品リーフレットと共に提案した。「テーマが決まっていたので、絵は約1~2週間で頭の中で出来上がっていましたが、それをどう伝えたら伝わるのか、というところに特に注意しました」
提案を受けた岩田さんは「皆さんからのご提案はどれもいい案でしたが、鈴木さんは他の人と違って、ブランドの将来的な部分まで提案してくれました。今回は第一弾ですが、第二弾・第三弾という風にブランドが形成されていく過程をイメージしやすかったですね。プレゼンにかける時間やデザイン周辺のものも含めて、群を抜いていました」とその提案を高く評価した。

腕時計プランイメージ図
1950〜1960年代のアメリカ車を彷彿とさせる有機的なフォルム。モダンな薄型も印象的。

ちゃんとした商品を、思いを込めて。

腕時計の卸売を行う岩田さんたちは、それまでは時計メーカーが提案する図案に対してYESかNOかで答えるだけだった。よく売れている型と似たものを作って薄利で多売すれば、売れることは売れるが、それではおもしろくない。ちゃんとした商品を提供したい。今回はそんな思いを込めて形にしていった。
8月末に今回の契約が正式に結ばれ、デザインのブラッシュアップが始まった。カラーバリエーション以外は、最初に鈴木さんが提案したものから基本的には変わっていない。テーマである「レトロモダン」のレトロの部分は、1950~1960年代のアメリカ車のイメージをカラーで表現。モダンの部分はシンプルな文字盤、薄型フォルムに反映されている。
「人生の中でなかなか腕時計のデザインをできる機会はないと思うので、純粋に嬉しいですね。すべてが初めてなので新鮮です。自分もいろいろと勉強させていただいています」という鈴木さんのコメントから充実感が伺える。

腕時計
今回は、2型6色の計12種のラインアップ。インターネットだけでなく実店舗でも販売。

ブランド名のように一丸となって。

プロジェクトを成功させるには円滑な意思疎通が欠かせないが、そのきっかけとなったのが最初のミーティング。鈴木さんからの提案で打合せ場所は会議室ではなく飲食店になり、会食を交えて行われた。「会議室だと互いに固くなって、言いたいことが言えなくなると思ったんです」。そんな鈴木さんは、年末には社外の人として唯ひとり社内忘年会に参加させてもらえるほどになっていた。
一回目の試作品は3月末に仕上がり、商品はこの夏から販売される予定だ。「今後はウェブサイトだけでなく実店舗でも販売したいので、その準備も進めています。カフェかバーも併設するつもりです」(岩田さん)
「第一弾を成功させ、第二弾のデザインも鈴木さんと一緒に仕事が出来ればと思っています」(宮本さん)
ブランド名「UNIFY」には「結束する、一丸となる」という思いが込められている。自社オリジナルウォッチブランドを初めて立ち上げる企業と、腕時計を初めてデザインするデザイナーの挑戦。思いを重ね、一丸となって取り組んだ夢の舞台の幕開けに、乞うご期待!

打合せ風景

Breath.Design

鈴木康祐氏

http://www.breath-d.com/

ワンダークエスト株式会社

岩田正信氏

宮本樹里氏

http://www.wonque.com/

公開:2017年4月13日(木)
取材・文:中島公次氏(有限会社中島事務所

*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。