メビック発のコラボレーション事例の紹介

クライアント目線の提案力が評価され通販商品デザインへ
「千趣会」ファブリックデザイン

清水敬二郎氏、浅井瞳氏、二瓶江麻氏、岩井沙樹氏
左から清水敬二郎氏、浅井瞳氏、二瓶江麻氏、岩井沙樹氏

タイミングの良かった出会い

「恋愛にたとえるなら一目惚れって感じですね(笑)。3月末に出会って4月にはお仕事を依頼してましたから」。そう語るのは株式会社千趣会 商品開発本部 ファブリック開発部の浅井氏。ファブリック部門だけでも年間アイテム数は数千点近くになり、常に外部からの新しいアイデアを求めていた。クリエイターの知人が多くいることからメビック扇町を知っていた岩井氏が、テキスタイルデザイナーの紹介を打診したのが、出会いのきっかけ。
タイミングよくメビック扇町の交流会があり、そこで紹介されたのが彩飾案の清水氏。アパレル業界で培った経験とイラストレーターとしての腕前を活かし、雑貨などの商品デザインと共にイベント販売などにも企画段階から携わるなど、イラストレーターの枠を超えて活躍する業界でも希有な存在だ。

交流会で名刺交換したその日のうちに日程を決め、ポートフォリオを持って訪問した。作品を見た二瓶氏の印象は「作品の幅が広くて、そのまま商品化できそうなものがいっぱいありました」。他の2人も同様の感想で、ちょうど春号の制作に入る頃だったので、すぐに発注があった。以来コンスタントに仕事が続いている。「こちらも商品をつくっているので、失敗したら次につなぐことは難しいのですが、清水さんにデザインしていただいたものは、売れ行きも好調なんです」(岩井氏)
クリエイターに求められるのは、同社が提案するさまざまなスタイル−−ナチュラル、モダン、北欧、パリ、それぞれのニュアンスをつかみ、それをカタチにしていく、アイデアの引き出しの多さ。たとえばハワイアン柄などは安定した人気があり、毎年新作を出すゆえに、マンネリ化しがちだった。「そこで清水さんにお願いしたら、グラデーションのすごくきれいなハワイアン柄を提出していただいて。こういうアレンジって私たちでは想像できなかったので、感激しました」(岩井氏)

クライアントに寄り添ったデザインを提案

清水氏は素材や縫製の知識が豊富で、専門的な製造工程にも関わりつつデザインできる強みもある。「パッチワークは製品をつくる上で制約がありまして、数種類のピースが均等に入るようにするので大変でした。清水さんと図案から何度もやり直す作業をして、一緒につくり上げたという感じです」(浅井氏)
「本当に分かりやすくイメージを作って投げていただけるので、感覚的にすっと入っていけるんです」と清水氏が言えば、「あまり細かく説明しなくても、ニュアンスをつかんでいただけるので、ありがたいです」(岩井氏)。このやりとりを見ているだけでも、両者が非常にいい関係を築いているのがわかる。

「細かく注文をつけるのであれば、清水さんをご指名させていただく意味がない。清水さんの個性やデザイン力でご協力いただきながら、私たちもお客様に喜んでいただくことを見据えて売れるようにもっていく」(岩井氏)
清水氏も「売れないと意味がないので、どうやったら売れるかを常にイメージしてます」。意外にそういう風に考えられるクリエイターは少ない、と浅井氏。「私たちに寄り添って考えて下さるのは、とてもありがたいです。今後はデザインやインテリア全体のご提案をしていただけるようになればいいですね」

商品カタログ
清水氏のデザインした商品は売れ行き好調である。

株式会社千趣会

商品開発本部ファブリック開発部 ファブリック開発2チーム
浅井瞳氏 岩井沙樹氏 二瓶江麻氏

http://www.senshukai.co.jp/

彩飾案

テキスタイルデザイナー
清水敬二郎氏

公開:2013年7月23日(火)
取材・文:町田佳子氏

*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。