メビック発のコラボレーション事例の紹介

ブランディング、それは原点であり道標。
「菓子工房エリオス」ブランディング

縄本修嗣氏とエサキヨシノリ氏
縄本修嗣氏(左)、エサキヨシノリ氏(右)

出会いが仕事への意識まで変えた

大阪市東住吉区。下町の風景が残る住宅地にひっそりと佇む、菓子工房エリオス。サーモンピンクを基調にした店内からはやわらかな光がもれ、ガラス越しに見える美しい洋菓子に思わず足が止まる。「もともとは、店内を自分の好きな紺色で統一していたのですが、エサキさんとブランディングをしていく中で、漠然としていた想いが整理されていき、カラーも紺色ではないと気づきました。今ではエリオスにはこの色しかないと思っています」と語り始める縄本氏。エサキ氏との出会いが店舗や商品のみならず、自身の意識まで変えていったという。一方、「私は縄本さんの中にあったものを引き出しただけ」と朗らかに笑うエサキ氏。和やかな雰囲気の中で取材が始まった。

「ブランディングって何ですか?」それが全ての始まり

菓子工房エリオスの前身は、父親が営んでいた和菓子の製造・卸業、縄本日栄堂。「将来は後を継ぐのかなと子供心に感じていた」という縄本氏は、専門学校で洋菓子を学び、その後いくつかの店舗でパティシエ修業。2002年に父親から場所を譲り受け、菓子工房エリオスとしてオープンさせた。「夢に見た店舗だったのですが、開業4、5年たった頃から、事業について思い悩むようになってきたんです。そんな時にブランディングという言葉を知り、エサキさんと出会いました。今となっては絶妙なタイミングでの最高の出会いだったと思います」と語る縄本氏。一方、メビック扇町にプロデューサーサポートオフィスを持つ、情熱の学校・代表エサキ氏は「縄本さんに初めてお会いしたときに、ブランディングって何ですか?と直球で問いかけられたんです。謙虚でまっすぐな方だと感じました。そしてこの方と仕事をすると楽しいだろうなと直感したんです」

想いは熱く、方法はロジカルに

縄本氏の中に、ただならぬ情熱を感じたというエサキ氏。「一番大切なのは熱い想い。それを精神論に終わらせず、明確な言葉に置き換えて形にしていく作業がブランディングなんです。縄本さんの場合は、ビジョンがはっきりしていたので成功を確信していました」。協働作業ではまず、新規開拓を試みるエリオスにとっての“理想の新規顧客”を架空の人物として設定。その人物に対してエリオスができることを考え、明文化した。「まるでラブレターを書くように」というその方法は、情熱が基礎にありながら実にロジカルで明快。一方、縄本氏は洋菓子や先代への想い、将来の夢などをエサキ氏に語り尽くした。「エリオスはギリシャ語で“太陽神”という意味。先代・縄本日栄堂の名が由来です。先代があってこそだと思うので、それを大切にしたいという想いが基盤にありました」

ブランディングとは道しるべをつくるもの

こうして生まれたのが店舗のコンセプト「お陽さまの笑顔から生まれた、スイーツ」。それが基となったブランドカラー。そしてお客さまとの約束である経営理念。全てが縄本さんにとっての原点であり、次のステップへの道標だという。「目標は2号店ですね」と語る縄本氏に「ブランディングとは何でしたか?」と直球で問いかけてみた。すると「エサキさんと共に紡ぎ出した、揺らぐことのない大黒柱。そして足下を照らす光のようなもの」と迷いのない答え。その笑顔は、お陽さまのように晴れやかだった。

プレゼン資料
架空の新規顧客イメージが、詳細に描かれている。

菓子工房エリオス

代表・菓子職人
縄本修嗣氏

http://helios-smile.com/

情熱の学校

情熱ブランディングプロデューサー
エサキヨシノリ氏

http://www.jounetsu.jp/

公開:2013年7月23日(火)
取材・文:岩村彩氏(株式会社ランデザイン

*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。