メビック扇町企画「イタリアのデザイン思考の原点を探る」ツアー

公開日:2015年09月11日(金)

ローマ在住の演出家で写真家である多木陽介氏のコーディネートにより、ミラノ、ボローニャ、トリノの3都市を訪問し、そこに根ざすデザインの本質を現地のデザイナーやデザイン関係者を通じて学ぶセミナー、ワークショップを開催することになりました。訪問先、スケジュールは下記の通りです。
参加者の募集は締め切りました。


撮影:多木陽介氏

日程

2015年11月29日(日)〜12月6日(日)

【申込締切】2015年9月10日(火)

訪問都市

イタリア(ミラノ、ボローニャ、トリノの3都市)

スケジュール

11月29日(日) 出発
  • 大阪 → ミラノへ移動、ホテルへ各自現地集合
11月30日(月) ミラノ滞在
  • カスティリオーニスタジオの見学
  • 基礎セミナー
    「地球的創造力ーイタリアンデザインの源流に現代世界における創造に有効な方法を探る」
    講師:多木陽介氏
  • ミラノトリエンナーレミュージアム見学とデザイン解説
12月1日(火) ミラノ滞在
  • ワークショップ「ブルーノ・ムナーリの方法」
    講師:ブルーノ・ムナーリ協会 シルヴァーナ・スペラーティ氏(予定)
12月2日(水)ミラノ → ボローニャへ移動(ボローニャ泊)
  • サラ・ボルサ図書館見学
  • セミナー「現代社会における図書館の役割」 講師:アントネッラ・アンニョリ氏
12月3日(木)ボローニャ → トリノへ移動(トリノ泊)
  • サン・サルヴァリオ地区、地区の家(Casa del quartiere)の見学
  • アンドレア・ボッコ氏とのディスカッション
12月4日(金)トリノ → ミラノへ移動(ミラノ泊)
  • カヴァリアスタジオ訪問
  • ジャンフランコ・カヴァリア氏(建築家、トリノ工科大学教授)とのディスカッション
12月5日(土)
  • 現地自由解散、ミラノ → 大阪へ移動
12月6日(日)
  • 大阪着

※上記内容はやむを得ない事情により変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

総合プロデューサー
多木陽介氏 演出家・写真家

多木氏

早稲田大学文学研究科(演劇専攻)在籍中の1988年に渡伊。現在ローマ在住。演劇活動の他、現在写真を中心にした展覧会を各地で展開。スタジオ及び模型のビデオ撮影をきっかけに、カスティリオーニスタジオに2004年より通い始めそのまま研究に至り、アクシスでの連載の後、『アッキレ・カスティリオーニ - 自由の探求としてのデザイン -』を2007年12月に上梓。書籍出版後、多様な分野で未来を考えた持続可能な作業を進める人々を扱った『優しき生の耕人たち』(アクシス誌)を連載。2014年度よりメビック扇町エリアサポーターに就任。今回のツアーでは、訪問先の選定やアポイントメントをお願いしました。現地滞在期間中全日程ツアーに同行頂き、訪問先についての解説や、通訳、基礎セミナー講師などをご担当いただきます。

訪問先概要

カスティリオーニスタジオ

アッキレ・カスティリオーニ氏が利用していたスタジオは、現在は遺族が中心になって作った財団の運営するミュージアムになっています。多木陽介氏は、カスティリオーニ氏が存命中から、スタジオに出入りしていて、カスティリオーニ氏のデザイン思考について、氏の教えをさらに体系づけて分析し直した数少ない研究者です。その多木氏の案内で、スタジオを見て回りながら、カスティリオーニという人が一体どういうものの考え方をし、どういう形で作業をしていたのか、そしてミュージアムとして何を伝えようとしているのかを、多木氏からレクチャーしていただきます。

アッキレ・カスティリオーニ氏

1918年イタリア、ミラノ生まれ。ミラノ工科大学の建築学科を卒業後、1944年から兄とともに建築家・デザイナーとして働き始めます。1962年のフロス社の創設にデザイン部門の責任者として兄弟で招聘され、新しいテクノロジーと多様な素材を用いて、実験的なフォルムと伝統的なフォルムを表現し続けました。中でも優美なアーチを描くランプ「アルコランプ」は、知恵に溢れ、照明器具から人間が解放されるために作られた軽やかな照明器具です。一度見たら忘れない存在感があります。手がけたデザインは照明にとどまらず、家具やテーブルウェアなどを広く 多くの人たちに愛される作品を世に残しています。その他、代表作には、ラッカーで塗装されたトラクターのシートをスチールを折り曲げた脚に取り付けた「メッツァードロ」や、競技用自転車のサドルを利用したスツール「セラ」など、独創的な作品が多数あります。
「目の前にある現実を鵜呑みにせず、ごくありきたりになってしまっている物のあり方も、もう一度批判的に見直し、そうでない物事のあり方を探す。」その考えを持ってして彼にしか生み出す事が出来なかった作品たちは、どれも好奇心をくすぐり刺激的です。
1970年以降、ミラノ工科大学建築学科の教授も勤め、若いデザイナーを育てることにも大きく貢献し、その後も数々の作品を発表。コンパッソ・ドーロを9回受賞するなど、受賞も多数におよびます。
デザインの分野においてイタリアの巨匠と称され、賞賛の言葉とともに世界的に高い評価を得たイタリアを代表するデザイナー。作品はニューヨーク近代美術館、ビクトリア&アルバート博物館など多数の美術館に収蔵されています。

【参考文献】
多木 陽介著『アッキレ・カスティリオーニ 自由の探求としてのデザイン』アクシス 2007年

基礎セミナー「地球的創造力ーイタリアンデザインの源流に現代世界における創造に有効な方法を探る」

講師:多木陽介氏
カスティリオーニら戦後のイタリアンデザインを支えた人々の作業のメソッド(プロジェッタツィオーネ)の特徴を紹介しながら、現代のデザインが失ってしまった社会性、倫理性などの価値観を見直すとともに、そこに実は環境、社会、精神の各次元での危機的な状況を改善するための、根本的にエコロジカルな思考方法のヒントをそこから学び直そうとする基礎レクチャーです。それぞれが自分の仕事のあり方をより広い視野で見直すきっかけになるでしょう。

ミラノトリエンナーレデザイン美術館見学

ミラノのデザインの歴史を辿ることができる「トリエンナーレデザイン美術館」等を、多木氏と一緒に訪問し、ミラノで活躍した建築家、デザイナーなどの作品群の展示を通して、イタリアのデザインの本質を探るとともに、展覧会のあり方についても学ぶ機会にします。

ワークショップ「ブルーノ・ムナーリの方法」

講師予定:ブルーノ・ムナーリ協会 シルヴァーナ・スペラーティ氏
ブルーノ・ムナーリ協会の講師により「ブルーノ・ムナーリ・メソッド」を受講していただきます。
「ブルーノ・ムナーリ・メソッド」とは、イタリアの美術家で、グラフィック・デザイナー、プロダクト・デザイナーであり、また、美術教育者であり絵本作家であるブルーノ・ムナーリ(Bruno Munari、1907-1998)が、1970年代に考案した美術教育、創造的思考の育成を促すための教育法です。カスティリオーニ氏とも親友で付き合いも長かった同時代の人だけに、プロジェッタツィオーネという創造の方法についての共通の意識、認識があったと思われます。
本セミナーでは、ムナーリが如何に合理的、分析的に創造力を発揮するメソッドを探っていたのか、そしてそれが、前日のプロジェッタツィオーネの話とどうつながるか、実践も含めて学ぶワークショップを行います。

【参考文献】
ブルーノ・ムナーリ著、萱野有美訳『モノからモノが生まれる』みすず書房 2007年
ブルーノ・ムナーリ著、小山清男訳『芸術としてのデザイン』ダヴィッド社 1973年

サラ・ボルサ図書見学とセミナー「コミュニティにおける図書館の役割」


サラ・ボルサ図書館

イタリア・ボローニャの中心にあるマッジョーレ広場に面し、2001年に元証券取引場の建物を改修して開設された新しい時代の図書館。敷居の高さやネットの普及で深刻化する図書館離れを解決するため、誰もが気軽に入れる屋根付きの広場のような雰囲気を整え、毎日数千人の利用者が訪れる場所になっています。
今回は、同図書館の設置にも関わったアントネッラ・アンニョリ氏を講師に、図書館が最近どういう場所として作られて来ており、また、図書館的な空間が社会の中で今後どのような意義をもつようになって来るのかについてお話しいただきます。図書館は、建築家が勝手に作るのではなく、むしろ如何に図書館の専門家と協力して仕事をすることが大事か、その時にプロジェッタツィオーネの本当の姿が具体的に見えて来ます。

アントネッラ・アンニョリ氏

図書館員歴30余年。国際的に注目されたイタリア・ペーザロ市のサン・ジョヴァンニ図書館(02年〜)の創立に中心的に関わり、ロンドンの外国人移民の多い地区で近年大きな注目を集めたカフェ付き店舗のような多機能図書館、アイデア・ストアの創立にも部分的に参加。現在は建築家と行政の間に入って複数の計画に携わる、図書館づくりのプロフェッショナル。

【参考文献】
アントネッラ・アンニョリ『知の広場——図書館と自由』みすず書房 2011年

サン・サルヴァリオ地区、地区の家(Casa del quartiere)の見学とディスカッション

1990年代の半ば、移民の大量流入により悪評が立ち、不安になったイタリア人との間で一触即発の雰囲気が漂うなど、生活環境が悪くなった地域の再興を図るため、建築家のアンドレア・ボッコ氏を中心に、住民のための住民による生活環境づくりに取り組み、地域の環境改善に成功したサン・サルヴァリオ地区を、元サン・サルヴァリオ地区発展事務所所長でもあるボッコ氏、多木氏とともに見学し、意見交換を行います。
生活環境を具体的に改善していく都市デザインの事例として、目につく物理的な建築物の建設による都市開発ではなく、建築家自身が目に見えない形で人間関係を再建設することを中心に進めてきたソフトな地域開発作業であった点を学びたいと思います。

アンドレア・ボッコ氏

元サン・サルヴァリオ地区発展事務所所長、建築家、トリノ工科大学建築学科建築技術専攻准教授。1966年生まれ。建築家ではあるが、むしろ社会運動家、そして批評家として活躍する。大学院生だった1994年より、地域生活の再生に関わる問題に取り組み、トリノのポルタ・ヌオーヴァ駅に隣接し、大量の外国人移民の流入のために危機的状況を招いたサン・サルヴァリオ地区に「サン・サルヴァリオ地区発展事務所」を創設し、長年ディレクターを務めた。幅広い執筆活動の主題は、バーナード・ルドフスキー、施行技術、とくに自然素材を使ったローテク技術の分析、建築におけるサステイナビリティ、山村再生など。

カヴァリアスタジオ訪問とディスカッション

建築家、トリノ工科大学教授であるジャンフランコ・カヴァリア氏を、彼のスタジオに訪問し、現代における建築家の真の役割やプロジェッタツィオーネのあり方について、展示空間に限らず、展示、建築、都市整備的作業など、いくつかのプロジェクトを通して お話しいただき、意見交換を行います。

ジャンフランコ・カヴァリア氏

トリノ工科大学教授であり、同時に30年間カスティリオーニと数々のコラボレーションを実施してきた建築家。

【参考文献】
アンドレア ボッコ、ジャンフランコ カヴァリア『石造りのように柔軟な: 北イタリア山村地帯の建築技術と生活の戦略』鹿島出版会 2015年