“パーソナルブランド”を軸に事業を展開
河本 扶美子氏:(株)ファーストブランド

事業家の祖父の影響で、幼い頃から将来は自分の事業を持ちたいと考えていたという河本扶美子社長。将来の独立を見据え、大学卒業後は銀行、外資系航空会社に勤務し、2002年に有限会社ファーストブランド工房を設立。人脈もコネもない大阪での仕事。まずは情報収集を、とSOHOオフィスからスタートしたといいます。今では全国に「マイベストプロ」というWebサービスを展開する河本社長。今回は、日本全国を東奔西走する河本社長に、お話をうかがいました。

“起業”“ビジネスで全国に”という夢を抱いた少女

河本氏

「事業をやりたい」。そんな思いを持った小学生だったという河本社長。生まれる前に亡くなったという祖父の影響が大きいと語ります。
「事業家の祖父に気性が似ていると幼い頃から祖母に言われていました。祖父がやっていた事業の話に心躍らせる幼少期で(笑)。祖父は、戦後、喫茶店や個人のお屋敷に絵を貸し出す事業を始めたそうです。自分で絵をどんどん描いて、『1ヶ月に1回絵を取り替えます』と売り込んだ。とても当たったそうです。日本でナンバー1の貸し絵画業を目指し、いよいよ全国展開するというときに急逝した、という話をよく聞かされました」とのこと。幼な心に「1つのアイデアが日本全国に広がって、社会に影響を与えるなんて!ビジネスってすごい!」と感じたそうです。

パソコン教室に通うところからビジネスをスタート!?


2012年4月に発刊された著書。5月には三省堂、紀伊国屋書店でビジネス書ランキング一位に。

起業への熱い思いを胸に、大学卒業後、ビジネスにはお金の勉強が必要、と都市銀行に就職。その後、会社設立資金を貯めるために転職し、アメリカの外資系航空会社に客室乗務員として勤務し始めます。航空会社勤務時代にアメリカで出会ったのが、パーソナルブランディングでした。

「“個人のブランディングが事業の成功に大きく起因する”という考え方が、注目されていたんです。その考えに深い感銘を受けました。事業を起こすにあたって、パーソナルブランディングを軸として、インターネットを利用したビジネスができないかと模索し、2002年にファーストブランド工房を設立しました。とはいえ、勤務時代は、1年のほぼ半分をアメリカを中心とした海外で過ごしていた為、大阪には人脈もないし、パソコンスキルもないという状況でしたので、とりあえずパソコン教室に通うところからはじめて、SOHOオフィスに入居し、知識と人脈を広げていきました」と河本社長。独立してセミナー講師として活躍する一で、社会に提供できる商品やサービスを、と考え、“ファーストプット”という壁紙カレンダーを製作します。ベンチャーキャピタルを5,60社回って出資金を集め、開発部隊の人選、その他気の遠くなるほどの段取りを整えてリリース。しかし、間もなく同様の機能を持つフリーソフトが出回り、苦戦する日々が続いたといいます。

「唯一よかったのは、この件で特許が取れたこと。おかげでインターネットのビジネスモデルを電通と共同開発する土壌ができました。企業のブランディングサイトを構築する制作部門の芽が出だしたのもこの頃でした」。

創業の精神を具現化した“マイベストプロ”。全国制覇に向けて日々猛進中

2007から2008年にかけては、危機とチャンスが同時にやってきたという河本社長。“ファーストプット”の後にリリースした無料のブログパーツ“ファーストバズ”が企業のPRツールとして好調だったにも関わらず、継続コストが膨らみ、リストラを余儀なくされた。追い討ちをかけるようにリーマンショックの影響が企業の広告予算を削っていった。

「ちょうど“マイベストプロ”の準備をしていた頃でした。大変な状況の中、制作社員も営業に回るなど、スタッフ全員で支えてくれました。辞めてもらわなければならなかったスタッフからも“絶対に実現してください”と温かい声をかけてもらって、生まれたのが“マイベストプロ”でした」。

“マイベストプロ”は、各地の地方メディアと提携し、インターネットを通じて地域の専門家のパーソナルブランド構築をサポートするサービス。個人がメディアの信用力を持って、社会に自分の商品やサービスをアピールできる画期的なビジネスモデルとして、各方面から注目を集めています。

「最初は神戸新聞の“マイベストプロ神戸”からスタートし、現在では、47都道府県中26エリアでサービスを提供しています」と河本社長。祖父の成し得なかった全国展開の夢を着々と実現しています。

河本氏

「パーソナルブランドを構築するには、情報発信の仕方がポイント。あくまで場を提供しているだけなので、掲載したからといって、お客様が来てくださるわけではありません。バックアップ体制を整え、登録プロだけが閲覧出来るサイトや実際のセミナーなどで効果的な情報発信の仕方をお伝えしています。サイトへの集客やプロモーションは、登録エリアの各メディアが担当してくれますので、プロは専門的な情報発信に専念していただけます」とのこと。“マイベストプロ”はテレビや雑誌の関係者の閲覧率も高く、このサイトをきっかけとして、本を出版したり、テレビに出演したりと、全国区で認知されていくケースもあるそうです。

「いい技術やサービスを持っているのに、PRやセールスの苦手な方は多いもの。そういう方にこそ、ぜひ“マイベストプロ”でパーソナルブランドを構築し、認知、顧客獲得につなげていただきたい。多角的な視野で、各プロの方のバックアップ、サポートを実施していきます」。

2012年12月からは求人サイト「マイベストジョブ」もオープンし、ますます事業の厚みを増している株式会社ファーストブランド。河本社長の瞳はまっすぐに、個人とブランディングの未来を見つめ続けています。


マイベストプロ神戸:
兵庫県の専門家・プロが見つかる - 神戸新聞


マイベストプロ大阪:
大阪府の専門家・プロが見つかる - 読売新聞グループ

マイベストプロ京都:
京都府・滋賀県の専門家・プロが見つかる - 京都新聞社

公開日:2012年12月20日(木)
取材・文:ユーモア株式会社 漆垣 美也子氏
取材班:情熱の学校 エサキ ヨシノリ、森口 耕次