まいどらむ
画一的な「産業用容器」に個性を持たせ、「まいどらむ」として新しい価値を

イラスト

「強くて軽くてエコ」な産業用紙製ドラムを、
一般の消費者へ

カラフルなもの、イラストが可愛いもの、インテリアに合いそうなおしゃれなもの…さまざまなデザインは見ているだけでも楽しい。「まいどらむ」は、収納にも椅子にもなる紙製のドラム缶だ。もともとは粉状または固形の化学品や医薬品などの輸送容器として一般的に使用されている「ファイバードラム」という製品。この産業用容器メーカー、ダイカン株式会社の主力製品に、テレビCMなどを手がける企画制作会社、株式会社ブッシュマンが、「まいどらむ」として新たな命を吹き込んだ。
2社の出会いは、2013年2月のメビック扇町のクリエイターと企業をつなぐイベント「プレゼンテーション大会」でのことだった。
ダイカン株式会社は、ファイバードラムを業界だけでなく一般消費者に販売できないかと用途開発を模索していた。「ファイバードラムは、紙製でとても軽いのに約700キロの重圧に耐えるほどの強度があり、薬品など重いものを入れて重ねてもびくともしない。この優れた製品を一般の人々にも使ってもらいたいとプロジェクトを立ち上げたんです」と、ダイカン株式会社営業本部の西口佳孝さん。近年、工場の海外移転が増えたことで国内のファイバードラムの需要が減り、生産余力を活用したいということも背景にはあったという。「しかしながら、弊社は一般家庭向けの企画や販売ルート開拓に悩んでいました。そこで、クリエイターに託してみようと考えたんです」。

使い方は使う人次第。30種類ものデザインでスタート


量産のデザインものとオリジナルの一点もの、二本柱での展開も商品のポイントだ。

株式会社ブッシュマンの代表取締役社長、渋谷一彦さんは、製品を見た瞬間に「これはいける!」と確信した。「ファイバードラムは紙ならではの見た目の優しさがあるだけでなく、高い技術の集結です。これはぜひ消費者に届けたい、という思いが湧いてきました。でも、いくらモノがよくても押し付けでは誰も買いません。価値を付けなければ」。
最初は、「小さな子どものおもちゃ箱として」など用途を提示することも考えたが、いろいろ考えた末、最終的には「使い方は使う人に委ねる」ことにした。
というのは、「もともと最近の人はものを考えないということに気に入らん気持ちがあったから」だという。「昔は、綺麗な洋菓子の箱をとっておいて好きなものを入れたり、モノを工夫して使っていました。それがいつの間にか何にでも“○○用”と明記される世の中に。でも、みんな知恵はあるはずです。気に入った柄だったら、自分なりの使い方を考えて愛着を持って使ってくれるんじゃないかと。私たちが広告やテレビCMを作るときは、まず年齢層などターゲットを考えて、そこに訴求するデザインなりキャラクターなりを考えるのですが、今回は“誰がどう使ってもいい商品”として、あえてその作業はしませんでした。その代わり、いろんな人が各々好きなデザインを想像力を持って選べるように、とにかくたくさんのデザインを作ることにしたんです」と渋谷さん。

消費者の想像力を刺激する「デザインの力」を実感


オフィスには、制作した30種の「まいどらむ」がズラリ!

デザインを一気に30種類も作る。それを聞いたとき、西口さんは「一色刷りのシンプルなデザインのものを手がけたことがあるが、それでも大変だった。さすがクリエイターだと思うとともに、“ブッシュマンさんの熱い思い”を感じた」という。両社は2ヶ月に1度のペースで会議を開き、ファイバードラムの仕様にも改良を重ねた。紙の色とミシン目を高級感のある白色に統一。椅子としても使えるように設えた座面や、表面のラミネート加工を何度となく調整した。
ようやく全てが完成した時には、両社の出会いから実に1年半が経っていた。展示会に出してみると、案の定、ズラリと華やかなデザインが並ぶ「まいどらむ」は人々の目を引いた。そして渋谷さんの願った通り、「使い方は使う人が好き勝手に考えてくれた」という。可愛い魚の柄のものは子どもがブーツを履くときに座る椅子として。ピアノのイラストのものは音楽をする人がCDやテープを入れるケースに。「使う人にとっても想像力が膨らむ、楽しくてユニークな商品になったと思います」と渋谷さん。展示会に訪れた人の「いくつか重ねて収納できたら」という意見も取り入れ、スタッキングできるタイプも誕生した。
「当初はファイバードラムの素材や機能性を前面に出してエンドユーザーのユーズを探っていた」という西口さんは、今回の展開で「製品に服を着せるデザインの力」の大きさを改めて感じたという。

2社一丸となって、「まいどらむ」を届けたい


「まいどらむ」のキャラクターも登場!長年、キャラクター制作を手がけるブッシュマンらしい広告戦略だ。

「まいどらむ」は、まだまだデビューしたばかり。「今後もデザインをもっと増やして展示会にも積極的に参加してお披露目していきたい」と渋谷さん。すでに数社のバイヤーの目に留まり、2015年には、期間限定で堺 北花田阪急の催事場で扱われる予定だ。
実は、ブッシュマンが今回のように商品の販売ルートの開拓や実際の販売にまでかかわるのは初めてだという。「弊社は、設立以来37年にわたって商品の広告やPRの企画制作に携わってきましたが、今回の事業は新しい挑戦です。自分たちが愛着を持てる製品にせっかく出会ってコラボできたのだから、みんなで大切に世に送り出していきたいですね」。


共に「まいどらむ」を育ててきたダイカン株式会社と株式会社ブッシュマンのスタッフ!

株式会社ブッシュマン
大阪市中央区瓦町2-3-15 瓦町ビルディング2F
TEL:06-6223-0063
Web:bushman
クリエイティブクラスター:(株)ブッシュマン

ダイカン株式会社
大阪市此花区島屋2-11-63
TEL:06-6466-4501
Web:ダイカン株式会社

コラボ図解帖 2015メビック扇町から生まれた「協働」のカタチ
コラボ図解帖2015

メビック扇町を起点に生まれたクリエイターと企業等、またクリエイター同士のコラボレーション事例をまとめた『メビック扇町から生まれた「協働」のカタチ コラボ図解帖2015』を無料で配布しております。ご希望の方は、メビック扇町事務局までお越しください。

公開日:2015年02月16日(月)
取材・文:わかはら 真理子氏