スポーツメダル
社外デザイナーを活用し、製品ラインナップの幅を広げた


カズ・オオモリ氏(左)、大橋正起氏(中)、青木良彰氏(右)

全く新しいデザインを求め、
社外のデザイナーに依頼

表彰で使われるカップや楯、トロフィーやメダルをはじめ、周年記念品や参加賞といった記念品のオリジナル専門メーカー、株式会社大橋金属工芸。代表取締役の大橋正起氏は、今までにないデザインのメダルを作りたくて、メビック扇町に相談した。
「これまではすべて自社デザイナーによるデザインでしたが、既存のものとは全く異なった動きのあるデザインのメダルが作りたかったんです。そこで、メビックが紹介してくれたデザイナーに会い、『動きのあるデザインのメダルを作りたい』と相談したところ、カズ・オオモリ氏を推薦してくれました」と大橋氏。
カズ・オオモリ氏は、イラストレーションをはじめとした自分のアートワークを生かしたグラフィックデザイン、広告などを行っており、アートとグラフィックの間を行き来するグラフィック・アーティストだ。
「従来のメダルを見ると、リアルを追求するあまり、躍動感やスピード感の表現が重視されていなかった。そこで、動きを重視したデザインやメダル形状を何点かスケッチでご提案させていただきました」
大橋氏はスケッチを見た瞬間に依頼を決意した。
「当社のデザイナーでは生み出せないデザインだと確信したからです。当社のデザイナーも作れそうなデザインなら、コラボレーションはストップしていたでしょうね」

社内デザイナーとコラボし、
初めての立体表現もクリア

最初のスケッチから、どんなシーンを表現するか打ち合わせを重ねたオオモリ氏。制作を進める中で、最も大変だったことについて語ってくれた。
「メダルでは図柄を凹凸で表現するのですが、どこをどのぐらい膨らませてどこをどのぐらい凹ませるのか、それを立体を作る原形師に上手に伝えられなくて悩みましたね」
通常はデザイナーから原形師に膨らみや凹みを数値で伝えるのだが、立体経験が少ないオオモリ氏にとって、数値では頭の中のイメージが表現されているかわからなかった。そこで、スケッチ上で膨らみと凹みを表現して口頭でイメージを伝え、社内デザイナーに数値化してもらうことで解決した。
「私の頭の中にある立体をデッサンで表現したものをもとに、社内デザイナーの方とコラボしながら、原形師の方に凹凸を伝えていきました。完成した原形があまりにもイメージ通りでビックリしたのを覚えています」

デザインの個性を尊重しながら、
社内外のデザイン力を活用する

バラエティ豊かな商品ラインナップを目指し、今回のコラボを推進した大橋氏。最も危惧していたのは、社内デザイナーのモチベーションだった。
「外部のデザイナーを活用することで、社内デザイナーにマイナスの影響を与えるのではないかと危惧しました。そういう意味では依頼することにリスクがあったと思います。でも、オオモリ氏のデザインを見て、これは社内デザイナーでは生まれてこないと直感しました。だからゴーサインを出せたんです」
実はオオモリ氏自身にも同様のプレッシャーがあったそうだ。
「ずっとメダルデザインをしている方がいるにも関わらず、初めてメダルデザインを経験する私に依頼していただいた。だからこそ期待に応えなければならない、という心地よいプレッシャーはありましたね(笑)」
今後も社内デザイナーの個性を生かしながら商品づくりを進めることに変わりはない。
「ただ、今回のような躍動感やスピード感を重視したデザインは、社内デザイナーの個性にはなかった。今後も、社内デザイナーが納得できる形で外部デザイナーのデザインも活用していきたいですね」と大橋氏。
「メダルは勝者や参加者にとって一生の思い出になる。その重みを理解して、ふさわしいデザインを追求しました」というカズ・オオモリ氏のひと言に、コラボレーションの成果が凝縮されていると感じた。



カズ・オオモリ氏の躍動感あふれたデザインを青木氏ら社内デザイナーが立体化し、8種類のメダルを制作した。
写真左からイーグル、勝利の女神、サッカー。

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公開日:2013年07月24日(水)
取材・文:株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏