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クリエイティブクラスターイベントレポート
メビック扇町では、扇町・天満・南森町界隈で活動するクリエイター、デザイナー同士が互いに知り合い、顔の見える関係を築く「場」を提供するため、少人数による座談会「クリエイティブ・クラスター・ミーティング」を定期的に開催しています。
今年度は、業種や地域(扇町・天満・南森町界隈)にこだわらず、様々なジャンルの方々に集まっていただき、制作やディレクション、プロデュースにまつわる現場での経験談を中心に意見交換を行っていきます。
(今年度は、参加者、関係者のみによる非公開で開催しています)

「ひとつのプロジェクトを正しくゴールまで導くために、スタッフとクライアントの間でどう上手く立ち回るか?」。それは、クリエイターやデザイナーにとって、永遠のテーマともいえます。特に、大きな期待と責任を負った案件の場合、クリエイターワークだけに没頭する訳にはいかず、ときには対クライアントの営業窓口となり、ときには企画・政略プランナーとなり、ときには予算管理もし、また、プロジェクトに関わる人たちのモチベーションを上げるムードメーカーとならなくてはなりません。それらは言葉以上に難しく、実際は、経験豊富なデザイナーでさえ多くの課題を抱えています。
そこで、大阪で活躍するクリエイター、デザイナーのみなさんに集まっていただき、制作の現場における仕切りのノウハウをミーティング形式で交換していただきました。
2008年9月3日(水)18:30〜21:30

純日本系&外資系、両方の広告代理店営業マンとして各種企業のコミュニケーション活動をプロデュース。その後、05年に独立し、中小企業のブランド力向上を通じて、自社の想いをちゃんと伝えられる会社を一社でも多く創りだすためのコンサル&セミナー事業を大阪を拠点に展開中。

広告・SP企画制作から個人レベルの名刺やハガキのコピーなど、旺盛な好奇心のまま、さまざまな仕事に携わるフリーランス6年目のコピーライター。思わず口ずさんでしまう童謡のような、柔らかいコピーが書けるようになりたいと、日々、精進を重ねている。

6歳から書道を習い始め、22歳のときに創作書道を知る。OL勤務をしていたものの、公募展への出展や創作書道について学ぶうち、書の楽しさに触れ、自分もこの世界に飛び込みたいと思うように。25歳のとき、浪速書道会の公認講師の資格を取得。現在は、さまざまなアートとのコラボイベントなどを企画する書道家として活動中。

アミューズメント機器開発メーカーにて、CGシステムやサウンドシステムの開発、多数のゲームソフトの商品開発を経験。07年、株式会社ロッコンを設立。次世代映像メディアや映像マテリアルを主とした研究開発、映像制作、企画、プロトタイプ開発を事業化する。現在は東京・大阪のクリエイターと、モノづくりを通じたビジネスを展開中。

ゲーム会社ではデザイナーとしてプライズ機やケータイアプリ開発、スロットメーカーでは液晶開発を経験。前職では海外でのCG製作のプロジェクトのリーダーに任命され、国外のスタッフと共に仕事をする楽しさに触れる。08年、TORISAN L.L.C.を設立。現在はパチンコ、スロット向け映像製作からweb用ゲーム開発まで、CGコンテンツを軸に関連事業を展開する。

幼少の頃からピアノ、トロンボーンを習い、音楽に深く携わる環境に。フランスへ留学し、さまざまな音楽の知識を得る上で、DTM(デスクトップミュージック)を知る。帰国後、さらにDTMを極め、サウンドクリエイターとして就職。2年半後に独立する。現在は携帯や家庭用ゲーム、ラジオCMなどのほか、イベント用の音源制作などを請け負っている。

大阪市立工芸高校、リベラデッサン研究所を卒業。株式会社日宣やミディアムなどのデザイン会社を経て、85年イラストレーション・スパイスを設立する。広告・雑誌等のイラストを中心に活動するほか、web、ケータイコンテンツなどのFlashアニメーション、Flashゲームなども外部スタッフと連携して制作。また、個展グループ展などの開催実績や、数々の受賞歴を持つ。

デザイン事務所を経て、94年、有限会社ガラモンドを設立。吉本興業の広報誌「マンスリーよしもと」の全面改訂をはじめ、放送局初の雑誌の創刊、関西を代表する企業のエディトリアルデザインなど、幅広い分野の業務を手がける。将来、海外でワークショップを開催すべく、現在仕込みの真っ最中。

制作プロダクションで10年間勤務し、99年に独立。ビジュアル計画マーレを設立する。ポスター、会社案内、パッケージなどのグラフィックデザイン全般を製作する傍ら、最近では特に、企業や商品などのロゴタイプ、シンボルマーク、タイポグラフィなどに力を入れている。また、イラストレーターとのコラボ活動なども行っている。
独立カメラマンとして大阪を拠点に活動するあなたは、最近、ある悩みを抱えていました。
それはカメラマンとしての自身の価値が、見込み客であるクライアント企業広告代理店、雑誌社などの担当者に、ちゃんと伝わっていないのでは? という悩みでした。
特に、そう感じるのはポートフォリオを相手に見てもらっているとき。こちらは自信作を集め、見やすく作り、「この写真のここを見て欲しい!」という想いがあるのですが、どうも相手の反応が、いつもこちらの期待値を下回っている気がしてなりません(リアクションが薄く、あまり関心なさそう)。
さて、あなたの価値を見込み客にアピールするはずのツール、ポートフォリオを効果的なツールとして改良するとしたら、あなたはどんなアイデアをポートフォリオに盛り込みますか?

現場で起こる問題1
上記からも分かるように、カメラマン写真撮男さんは、まず自分の経歴、受賞歴などをズラリと並べたあと、2004年から2007年に撮り溜めた自慢の写真をキレイに区画整理して並べました。本人はかなり見やすいポートフォリオを作ったつもりでいます。いったい、彼には何が足りないのか。そして、何を加えればもっと効果的になるのか。皆さんの意見を伺いました。
本当にいい写真であれば、どんなプレゼンの仕方でも一緒。リアクションが薄いということは相手に見る目がないということなので、さっさとクライアント先をチェンジ。
という強気な意見もありましたが…。
キレイに写真を並べられても、「だから何なの?」となる。クライアントにとってのメリットを盛り込む必要があると思う。
全てが埋没してしまっている。ポートフォリオを作るのも編集と同じで、ポイントごとに強調したい作品が目に留まるよう考慮して配置すべき。例えば、写真に大小をつけてみるとか…。
年代別に並べても意味がない。クライアントに合わせてテーマ別に並べるなどの切り口を考えてみては? 合わせて、この写真がどう使われたのか、実用例を一緒に見せるといいかも。
クライアントの印象が薄いということは、相手の求めるものがその中にないということ。中身を一新してみてはどうだろう。
など、多くの方は、「メリハリがない」「クライアントの求めるものがそこにない」という意見に集中しました。確かに、クライアントは写真家の写真がみたいわけではありません。エサキさん曰く、「美しい写真をいくつ並べられても、それは他人の想い出アルバムを無理やり見せられているようなもので、クライアントの心には何も響かない」のです。
では、どのような情報を盛り込めば、“クライアントが求める”ポートフォリオになるのでしょう。

まず、相手の会社が求めていることを調べる。
元々、その会社が起用しているカメラマンに勝つための戦略を練る必要がある。
などの意見があがりましたが、クライアント側の求めるものを外部の人間が知ることは非常に難しく、なかなか実現できません。また、クライアントごとに調査するというのも面倒な話です。それ一冊で、どんな企業、どんな業種、どんなメーカーも納得できるようなポートフォリオは作れないのでしょうか。コーディネーター・エサキさんの質問に、参加者の皆さんは頭を悩ませましたが、なかなかいい案が浮かびません。
クライアントにとっては、その広告で自社の商品が売れるのか否かが重要で、それが達成されるのであれば、実は写真なんて何でもいいんです。ということは、逆に「このカメラマンなら、うちの広告意図を理解してくれる」「このカメラマンは物の売り方を理解している」と相手に思わせることができれば勝ちなわけです。それを前提に考えたとき、ポートフォリオに必要なものはなんでしょうか。
エサキさんがヒントを出した後、話は具体的なポートフォリオの事例へ。
例えばタイトルを「ブランドスイッチを生み出した写真」にしてみてはどうでしょう。この写真を使ったことによって、ある商品からこちらの商品に、実際に消費者が動きましたよ、と説明できる写真ばかりを集めるとか…。あるいは、「新商品発売キャンペーンの成功に一助した写真」はどうですか? こういうタイトルを見せられると、クライアントとしては気になりますよね。要は、クライアントは写真が見たいのではなく、あなたが関わった企業、メーカーはどう成功したか、が知りたいわけです。
約1時間をかけた第1の問題を、エサキさんが統括し、議題は第2の問題に進みました。

イラストレーターであるあなたは、今回、同業者6名と一緒に「イラストレーター同盟」というネットワークチームを設立。イラスト・タッチの違う同士が連携し、チームとしての活動を通じてビジネスチャンス拡大はもちろん、展覧会の企画・運営など、様々な事への相乗効果を期待していた。
しかし、現実は、あなたが思うほど甘くなかった…。6名が皆、ネットワーク組織に初めて属する職人タイプであったためか、新規顧客獲得はおろか、お互いの意見さえまとまらなくなり、チーム設立から半年もしない頃に、自然解散となってしまった。
さて、このようなネットワークチームを設立、運営する場合、あなたが必要と考える「チームの掟」を挙げてください。

現場で起こる問題2
組織を機能させるための掟。参加者の皆さんはいったいどんな掟を考えたのでしょう?

1、トップを決めて、その人に従う
2、抜け駆けをしない
3、月1のノルマで作品を1つずつ出し合う
4、月1のノルマで運営アイデア1つずつを発表
5、持ち回りでイベントを企画
6、上記5つを守るべし
1人1人が責任感をもつことが重要。

1、顔を合わせるときは、1人1つ課題を考える
(例えば、チームに関して思うことをディスカッションして、コミュニケーションはかる。ほかの仲間に褒め言葉を言う、など)
2、課題点を考える
3、情報を共有する
4、役割分担を決める
個人の責任感にプラスして、それぞれのコミュニケーションも大事にしていく。

1、お金を集めてマネージャーを雇う
2、そして、そのマネージャーに従う
職人タイプの人間は営業、運営などを同時にできない、というか僕がしたくない(笑)。運営だけやってくれる人と、作品を作る人を分けて考えてみる。

1、プロジェクトごとに役割を決め、担当者に一任する
2、お金の流れを明確にする
3、自分たちの最終目標を決める
4、飲み会には必ず出席

1、法人化
2、入会、退会基準を作る
3、運営費を分担する
4、提供範囲を明確に
5、契約を交わす
器をきっちり決めることで、簡単に崩壊しないような枠組みを最初に作っておく。

1、常にコミュニケーションをとる
(例えば、それぞれの思いや情報の共有、決定事項の共有、など)
2、それぞれの得意分野で仕事を分担する
3、お金の負担も明確に
4、新しい人や外部とのパイプも意識

1、リーダーには従う
2、窓口を1つに
3、基本的に上下関係を作らない

個々の収支をはっきりさせて、ガッチリフレームを決めて運営するのか、ゆる〜い感じで進めていくのか、組織の形は2種類。どちらにしろ相当覚悟のある6人じゃないとできないだろうなぁ。掟はほぼ、皆さんと一緒です。
上記のように、皆さんそれぞれの掟が上がりました。
法人化をしたり、マネージャーを雇ったりと、斬新な考えもあり。リーダーを立てて、小さな目標を作り、1つ1つ段階を踏んで成長していくスタイルもあり。掟作りに正解、不正解はありません。いずれ、誰かがこういう組織を立ち上げる際の参考にしてみてください。
ある日、顔の見えない(でも、名前は知っている)企業が新発売する商品の販促用VPに必要なBGM制作の依頼が仲介人から舞い込んで(電話がかかって)きた。
その仲介人とは、今まで仕事をしたことのない中堅広告代理店のクリエイティブディレクターで、共通の知人から、あなたのことを紹介されたらしい。彼曰く、「得意先へのプレゼンが5日後なので至急、癒しのイメージでサンプル音源を3種類作成し、メールで送ってくれ」とのこと。そして、その仲介人は、自分からの用件を伝え終えると電話を切ろうとした。
さて、このような依頼が舞い込んできた際、あなたはどのように対処しますか?

現場で起こる問題3
この問題で注目すべき点は…
・かなりの大企業の販促用VP制作であるということ
・タイムリミットは5日しかないということ
・詳しいオリエンは一切ないということ
上記のような依頼の場合、皆さんはどう対応するのでしょうか。
共通の知人が誰かによって受けるか受けないかを決めるかもしれないが、基本的には受ける。大企業の販促ということで、儲けが大きいかもしれないから。その場合、曲の長さはどれくらいなのか。1本でいくらもらえるのか。曲の権利関係の問題はどうなるのか。その辺りを聞くと思う。
時間があるなら受ける。相手には中橋さんと同じようなことを聞く。あと、相手がどういうメーカーで、どういった商品を発売するのかも…。作ったものが的外れにならないようにはしたい。ギャラが踏み倒されるかどうかの心配はしない。制作そのものが楽しいし、作品を作ったこと自体は自分の成長になるから。
受けてみる。今回の仕事が自分にとっての成果にならなかったとしても、短期間で作品を作り、提供したという事実は、それだけで相手へのプレゼンテーションになるし、いつかその依頼人から別の形で仕事の話が舞い込んでくるかもしれないから。
などの、受ける派に反して…
即断する。5日後に納期の迫った無茶な依頼をしているのに、詳しい説明を一切しないなんて相手の人格を疑わざるをえない。“クリエイターならやるやろう”という傲慢さが見えていて一緒に仕事をする気にはなれない。が、断るときは「申し訳ありません…別件が入っておりまして…」と、ひたすら低姿勢で(笑)。
その場で断る。仕事の内容や締めきりの問題ではなく、こういう対応自体が信じられない。(イラストを見る限り、すごく悪い人に見えるし(笑))マナーの問題として、生理的に受け付けない。でも、帆前さん同様、断るときは、これでもか、というほど丁寧に断る。業界は狭いので…。
基本的には受けない。電話の対応ですでに怪しいし、1度も会ったことのない人に自分の作品をメールで送信したくない。5日後にプレゼンという話なら、もっと事前に詳しく説明する義務があると思う。受けるとしたら、直接会って、話を聞いてからかなぁ。
きっぱり断る派も。
元広告代理店勤務のエサキさん曰く、このような期限の迫った依頼は、1人だけでなく複数にお願いしていることが多いのだそう。逆に言えば、何か不測の事態が起きたからこそ、無茶な納期の仕事をお願いするハメになっているのだとか。顔が見えない以上、相手の思惑がどこにあるのかはわかりません。皆さんの意見も十人十色で参考になりました。


第1の問題では、お互いに緊張した雰囲気を漂わせていた皆さんも、第2問、第3問と続くにつれて意見する頻度が増えていきました。懇親会ではさらに話に花が咲き、異様な盛り上がりに。
第2の問題で意見に挙がったように、会議室でのディスカッション以外にも、飲み会を開催すべきなのかもしれませんね。それが見事に実証された夜でした。