レポート:11月13日開催 この街のクリエイター博覧会2007テーマ04「はじまりは、教室展」トークセッション

第4クールは「はじまりは、教室展」。クリエイターが「モノ作り」の楽しさに目覚めた“原点”は「教室」であるというコンセプトで、学校の教室のようにディスプレーされた会場に作品が並びました。
今回の出展者は、ほとんどが30歳以下の若手クリエイター。初日のトークセッションでは開幕にいたるまでの葛藤や「モノ作り」に対する熱い想いなどが語られました。
2007年11月13日(火)18:30〜21:30
ミーティング 18:30〜19:30
交流会 19:30〜21:00


このクールの展示コンセプトは「原点を振り返る」です。クリエイターの仕事はそのモノ自体の本質を深く掘り下げていくことからはじまりますが、大人のいろいろな常識がジャマをしてなかなかできないことがあります。だから一度クリエイティブの原点にもどろうと企画しました。美術や図工の時間が大好きだったり、授業中ずっと落書きしていたり、“学校の教室”がクリエイティブの原点になっているのではないかと考えて、会場を学校の教室にしてしまいました。
出展メンバーはみんな30歳以下です。原点をただ振り返るだけではなく「今の自分だったらこうできる」というということを表現してくれました。
コンセプトを伝えるポスターを5種類作ったのですが、まずそのポスターの撮影協力をしてくださったスタジオエポックの福永幸治さんにお話をお聞きしたいと思います。
北さんと上瀬さんから「何歳になっても、学校の教室で学んだことは勉強になるんだ」という展示のコンセプトを聞き、撮影協力させていただきました。私なりに解釈したとき、学校の教室で学んだ人が大人になって社会で働いているイメージが浮かんだんです。そこでまず学校の教室を撮り、その後机とイスを1セット持ち出して、工場や会社に設置して撮影しました。
室内を肉眼で見渡した感じで撮りたくて、3枚の写真を合成してつないでワイドな写真に仕上げました。なるべく自然に見せたかったので、あえて魚眼レンズは使っていません。
この写真たちは、背景が“現在の自分”で、机とイスが“原点”を表しています。福永さん、すてきな写真を撮っていただいて非常に興奮しました。ありがとうございます。ギャラリーには大きな写真が展示してありますので、みなさんじっくりご覧ください。
では、出展メンバーに各自の作品の見どころやコンセプトを語っていただきますが、彼らはこの部屋におりません。実は展示会場と中継でつながっていて、ライブカメラで作品の解説をしてもらおうという試みです。では、オフィス・トキノヤの齊藤さんにつなげてみましょう。
この展示の話をいただいたとき「クリエイティブの原点とは何か」を深く考えました。デザインには人を元気にする力がありますよね。そういうことが「原点」なのではないかと思って、自分なりに表現しました。
出展した作品は「大人の道徳」と「大人の保健体育」です。カード型の心理テストのようなものになっていて、めくっていくと診断ができます。見に来てくださった方が何かに気づいてほしいという思いを込めました。
次はドライブの大西さん、お願いします。
これは、小学生のときいつも描いていたパラパラマンガを題材にした作品です。
私の経験でもあるのですが、定規やロケット鉛筆を武器にするなど、子どもの道具の使い方はおもしろいですよね。だから「いろいろなモノの変わった使い方を考えたら、モノの見方も変わる」ということを、パラパラマンガで表現しました。
「マサルくんの夜の授業」や「不良のつくり方」など、怪しいタイトルの本がならんでいますが、みなさんぜひ手にとって見てください。
ファースト・ブランドの富永さんは、いかがでしょう。富永さんは出展メンバーの中で唯一の30代で、がんばってくださいましたね。
はい。どうせ出展するならおもしろいことがしたいと思い、この「はじまりは、教室展」のメインテーマ曲「このクリ第四小学校校歌」とフライヤーをつくりました。このギャラリーでずっと流していますので、じっくり聞いてください。
この校歌のフライヤーに「ただいま0円で予約受付中!」とありますが、タダで配布するんですか?
完全予約制ですが、無料で配布しています。欲しい方は声をかけてくださいね。
次はランデザインの浪本さんです。浪本さんは3つも作品を出展してくださいました。
1つ目の作品はダンボールでつくったハンコです。子どものころ、ハンコを見るとどうしても押さずにいられなかったのを思い出して企画したものです。ダンボールのハンコを来場者の方々に押してもらうことで、パターンが集まって勝手に作品ができていくとおもしろいと思ってつくりました。
2つ目は巨大なマーブリングです。これも小さなころに遊んだ記憶から思いつきました。今回の作品は、父に頼んで家に巨大なプールをつくってもらい、そこにインクをたらしてつくったものです。来場者の方々にも楽しんでもらえるように、小さな作品がつくれるマーブリングセットをご用意しているので、遊んでいってください。
最後は、小学校の運動会でよくやる「組体操」の原理を利用した積み木です。「組体操」のバランスを取り合って支え合う美しさを表現したいと思って企画しました。置いてあるマッチ箱と棒は、ある「約束」を見つけることができればちゃんとカタチになるので、みなさん挑戦してくださいね。
ありがとうございます。
さて、次は学生でありながら出展してくれたメンバー、バンタンキャリアスクールの岩田さん。解説をお願いします。
私がクリエイターを目指した原点は、小学生のときハサミでいろいろなモノを切って遊んだことです。そこで紙を折りたたんで切れ目を入れる「切り紙アート」で、卓上ライトやTシャツ、フォトフレーム等の小物をつくりました。
小さな紙とハサミを用意しているので、来場者の方々にも「切り紙アート」にチャレンジしていただき、モノ作りの楽しさを再確認してくださればうれしいです。
同じくバンタンキャリアスクールの森さんは、いかがでしょう。
中学や高校のころって、みんな上履きに落書きをすることで自己主張していましたよね。そこで、今現在の自分たちが落書きしたらどんな上履きになるだろうと思って企画したんです。まっさらの上履きもたくさん用意しているので、いろいろな人に落書きしてもらいたいと思います。
森さんはもう1点、作品を出してくれましたね。この「バカの机」とはなんでしょう?
机に穴を開けたり、落書きしたり、純粋な「おバカさ」を持つ小学生のために改良した机です。これでも一応商品化を想定してつくりました(笑)だから解説書もついていますよ。机には誰でも自由に落書きしてもらうことができます。
続いてはオフィス・トキノヤの粟田さん、お願いします。
私の原点は「とにかく書くこと」です。手を動かして書くことで、頭の中も整理できるし、自由な発想ができるんじゃないかと思います。だから、来場者の方々にも「書くこと」を楽しんでもらいたいというコンセプトで、システム手帳のレフィルをデザインしました。
これは持って帰ってもいいんでしょうか?
はい。随時補充しますので、ぜひ持って帰っていろいろ書き込んでください。
次は福永藍さんです。実は、福永藍さんは撮影協力をいただいた福永幸治さんの娘さんです。では、よろしくお願いします。
学生時代、手近にあるもので授業中の暇つぶしをしたことを思い出して、それを映像で表現しました。作品名は「只今授業中」です。
机をくり抜いてあるのがすごいですね。
次の今村さんの作品は切り抜いた漢字がたくさんありますが、これはすべて今村さんの手作業ですよね。
そうです。400文字くらいあるので、準備が大変でした。漢字のパーツがバラバラになっているので、ギャラリー奥の黒板に貼り付けて、自由に組み合わせて文字をつくってみてください。
ありがとうございました。では、メンバーのみなさん、会場に戻ってきてください。


それにしても、9月半ばに第1回目の会議をしてから今日まで、いろいろなことがありましたね。
10月に「このクリ博」が開幕したころからメンバーが集まり始め、10月の2週目からは毎週木曜日を「ミーティングの日」と決めて、みんなでこまめに顔を合わすように努めました。
若手クリエイターばかりなので、私たちがいると遠慮して話がすすまず、わざと席をはずしたりしましたね。
あのときは、席に戻ってみるとみんなが激論を交わしていたので驚きました。でも、最初からギクシャクすることもなく、若い力で制作をすすめてくれてよかったです。
では、出展メンバーが戻ってきましたので、あらためて作品への意気込みを語ってもらいましょう。奥にいらっしゃる粟田さんから、お願いします。
システム手帳のレフィルをデザインした粟田です。私の机には色鉛筆が完備されているので、好きなように書いて、好きなだけ持って帰っていただけたらうれしいです。
次は浪本さん。今回の展示に参加してみていかがでしたか?
毎週、みんなで夜中まで集まって議論できたことが楽しかったです。
学生で参加してくれた岩田さんと森さんは、どうでしょう。
切り紙の制作はとても細かい作業だったので、気を遣いました。でも、実際にクリエイティブの現場で働いている人たちと一緒に展示会を作り上げることができたので、いろいろなことを学ぶことができて感謝しています。
私も「プロ」として活躍している方々と一緒に制作できて、とてもいい刺激になりました。
私の場合、普段は年上の人を相手に仕事をすることばかりなので、今回は年の近い人と一緒にできてうれしかったです。
実は私がいちばん年下なので、最初はとても緊張しました。でもみなさんといろいろなお話ができ、打ち解けることができたので、参加してよかったです。
作品のモニターを机にはめこむの、大変だったでしょう。
そうですね。自分で机の4隅に穴を開けて切り取ったので、思ったより時間がかかりました。
次は大西さん、お願いします。
パラパラマンガを5点、出展させていただきました。見ていただいたらわかりますが「パラパラマンガにはこういう使い方もあったのか!?」という意外性も用意しています。
ものすごく時間をかけて制作された今村さんは、いかがでしょう。
漢字の数を1000文字まで増やすことを目指して、まだがんばっています。ひとつのパーツを切るのに15〜20分くらいかかるので、木曜のミーティングのたびにみなさんに「今何文字目?」と聞かれるのがツラかったです(笑)
校歌をつくってくれた富永さん、レコーディングのときは楽しかったですね。
参加メンバー全員で歌って、ジャケット写真もみんなで撮影したので、かなりテンションが上がりました。この曲を作曲してくれた同じ会社の古上くんは元ミュージシャンなので、ロックバージョンや女性バージョンなど、いろいろつくって遊べたのが楽しかったです。
1ヶ月以上みんなでミーティングを重ねてきましたが、その中でなにかおもしろいエピソードはありましたか?
私は仕事の関係で、なかなかミーティングに参加できませんでした。ある日、夜中の2時くらいに「出られなくてごめんなさい」と北さんに連絡したんです。そうしたら「まだやってるから、おいで」と言われて驚いたことがありました。
最初は「飲み会」という感じでしたが、だんだん切羽詰ってお酒を飲まなくなりましたね(笑)その場でキチンと話し合わないと1週間後まで会えないので、とにかくミーティングすることに意義を感じました。
今考えると、ミーティングがなかったら自分の作品がまったく違うものになっていたかもしれないと思います。話し合うことで視野が広がったり、コミュニケーションの大事さにも気づくことができましたから。
最年長の富永さんは、いかがでしたか?
今だから言えますが、私より若い人ばかりなので「はじめからこうしておけばよかったのに……」と思ったことはいくつかありました。よくみんなに「スケジュールはある程度頭に入れておいたほうがいいよ」ということを話していました。
齊藤さんは、どうでしょう。
仕事は規定やシバリが多いけれど、今回の展示では何をやっても良くて、好きなようにアウトプットできたのでうれしかったです。
「ミーティングは大事だ」ということは、私も痛感しました。みんなで話し合うことで、自分の頭の中を整理できたことも多かったので……。
岩田さん、学校でつくる課題との違いは感じましたか?
責任の重さが全然違います。「たくさんの人に見てもらうんだ」という意識で制作したので、常に緊張感がありましたね。


今回、こんなに若い人たちばかりで何かをするのが初めてだったので、実は最初はとても不安でした。でもやってみると「若いクリエイターでも意外と芯が強くてしっかりしているんだな」ということを感じました。
「若いからバカができる」んじゃなくて、意外に真面目で真剣なので驚きました。 実はギリギリに離脱したメンバーもいて、原因を考えると、若いから仕事と両立できなかったのかな、と思います。
私は“撮影協力”なので遠巻きに見ていましたが、内心「若いパワーってすばらしいな」と思いましたよ。
こうして、みんなで力を合わせてつくりあげた「はじまりは、教室展」ですが、私もこの日を迎えられてとてもうれしいです。展示物はすべて手にとって遊べるものだし、2日ごとに新しいフライヤーをお渡ししているので、何度来ても楽しい展示会です。今日ご来場くださったみなさんも、ぜひまた足を運んでくださいね。
取材:野上 智美氏 真柴 マキ氏:組立通信・天満スイッち編集室(浪花町)
文責 事務局
粟田 健史:オフィス・トキノヤ
今村 冬士:キネトグラフ社
岩田 佑樹:バンタンキャリアスクール梅田校
大西 ろか:DRIVE,Inc
齊藤 桃子:オフィス・トキノヤ
富永 マサキ:(株)ファーストブランド
浪本 佳苗:ランデザイン
福永 藍:スタジオエポック
森 敬太:バンタンキャリアスクール梅田校
福永 幸治:スタジオエポック
上瀬 正洋氏:(株)アドフェッション
北 直旺哉氏:キネトグラフ社