イベントレポート - レポート:10月30日開催 この街のクリエイター博覧会2007テーマ03「大阪名物★博覧会」トークセッションクリエイター・起業家支援施設「扇町インキュベーションプラザ」

レポート:10月30日開催 この街のクリエイター博覧会2007
テーマ03「大阪名物★博覧会」トークセッション

「大阪名物★広辞苑」チラシ
「大阪名物★広辞苑」展示風景

クリエイターが真面目に(?)語る
未来の「大阪名物」ができるまで

第3クールのテーマは「大阪名物★広辞苑」。「2045年の大阪名物」が、広辞苑風の解説付きで展示されました。
初日のトークセッションのテーマは「“大阪名物”をどう見て、どう表現したか」。業種も職種も様々な各出展者たちが、それぞれの思いを語りました。

日時

2007年10月30日(火)18:30〜21:30

プログラム

ミーティング 18:30〜19:30
交流会 19:30〜21:00

ミーティングレポート

ミーティング風景
ミーティング風景
ミーティング風景

真柴

1、2クールはデザインの展示会でしたが、今回は編集者やライター、カメラマン、SPコンサルなどいろいろな職業のメンバーが、2045年の未来の大阪名物を企画した展示会です。
企画の中身をガッチリかためず「展覧会で楽しくてスカッとできることをやっちゃおう!」というノリで、メビックで知り合ったおもしろそうな方々に声をかけました。ものを作るのに、最初から企画や役割をハッキリ決めてしまって、「これを作って」と発注するとお仕事のような関係になってしまうのがイヤでした。だから、かなりゆるくはじめてしまい、みなさんを混乱させながら作品づくりに入ったのですが、思いのほか楽しくまとまったものになったんじゃないかと思います。
では、入り口から。プロジェクターに映っている4枚連作の作品「北浜ボールペン」「大阪定規」「岩おこし」「シグナルダッシュ」は、組立通信の企画です。

2045年の『通販生活』のカタログに載っていたらいいなと思ってつくったものです。できるだけ“アホくさく”なるように真面目に考えました(笑)。

真柴

「岩おこし」は太田さんにいただいた岩おこしの写真が美しくて、こう味つけました。

野上

「シグナルダッシュ」は私が企画したもので、「いらち」のためのメガネです。横断歩道を渡るとき、歩行者用の信号でなく横にある車用の信号を見て、赤になったらすぐ渡るという“いらちな大阪人気質”に目をつけました。

真柴

次は、ブリューナクの波多野さんがデザインしたロボットです。私はロボットが大阪名物であることをあまり意識していなくて、「b-platz press」を編集されているメンバーの浅野さんに教えていただいたんです。

波多野

今回出展したロボットの「pul(プル)」は「ロボットラボラトリー」さんの協力を得て、大阪のロボット製作会社さんとコラボレーションして生まれました。大阪はコミュニケーションが豊かな土壌ということから、今後コミュニケーションロボットが発展するのではと考え、企画しました。造形のコンセプトは、コミュニケーションロボットというものを「媒介するもの=中間に位置するもの」と捉えて、また、誰もが親しみやすいカタチが必要であるとも考えたため、「ニュートラル」として、それを造形に反映させています。

真柴

最初はデザイン画を展示すると聞いていましたが、ロボットがちゃんと形になってうれしいです。波多野さん、大変だったでしょう。

波多野

はい、まともに睡眠がとれてません(笑)。でも、ヒムカさんはじめいろいろな方にご協力いただいてとても感謝しています。ロボットの目の部分に音声で反応するランプが仕込んであるんですが、それもここにいらっしゃる木村さんが提供してくださったものなんです。

ミーティング風景
ミーティング風景

真柴

その木村さんがつくられた万華鏡についてお聞きしたいと思います。万華鏡はガラスでできていまして、ガラスはこの街・天満が発祥の地なんです。木村さんは代々続くガラス屋さんが母体となった店舗施工の会社と万華鏡教室を経営されています。

木村

2〜3年前から万華鏡の魅力にとりつかれて製作をはじめました。でも、私はクリエイターではなくガラスの職人なので、主に素材提供をさせていただきました。考えつかないような万華鏡ができて楽しかったです。ガラスやLEDライトもうちの製品ですので、みなさんじっくりご覧ください。

真柴

カメラマンの宮田さんは、万華鏡の中に新世界の写真を入れて撮影してくださいましたよね。宮田さん、こんなふうに万華鏡をご覧になったのは初めてなんじゃないですか?

宮田

「万華鏡を写真に撮れますか?」と聞かれたとき、子どものころに見たようなもっと小さな万華鏡を想像していたので、のぞき穴にレンズが入るかどうか心配でしたが、無事撮影することができました。
「大阪名物を万華鏡に入れて」というお話だったので、とにかく大阪の街中を撮り歩き、その写真をコラージュしたものを撮影し、今回のDMに使っていただくことになりました。DMを人に見せると「何の写真ですか?」とよく質問されるんですが、これは新世界や串かつ屋、ビリケンさんが万華鏡に映った写真なんです。

真柴

ビリケンさんが双子に見えます! この写真は「ミーツトランプ」の表にも使わせていただきました。
次は浅野さんにお話を聞いていきましょうか。ファイコムさんはおもしろい企画の大型パネルをたくさん出展してくださいましたね。

浅野

うちは『b-platz press』という大阪の企業を特集するマガジンの編集プロデュースをやっているので、大阪全体がもっと盛り上がってほしいという願いをこめて出展させていただきました。
まずはこの「本町駅の蛍光灯」ですが、よく見るとローマ字で「HOMMACHI」という順番に蛍光灯が並んでいるんです。誰がどんな予算で設置したのか考えるとおもしろくて、それを少しひねってコピーを書きました。
「裏グリコ」は「グリコの看板のうしろはどうなっているんだろう」という想像で、うちの社員が友達にたのんでTバックの後姿の撮影をしたものです。
次のパネルの「鴨なんばん」は、東京では「鴨なんば」と言うらしく、その薀蓄をパネルにしました。 波多野さんに写真合成をご協力いただいた「水泳大会」は、大阪の「もってけ泥棒」という気質を表現したくて企画した未来のバーゲンです。タダで商品がとり放題だけど、水を流してプールのようになった地下街を泳いで商品を取り合わなければいけないという過酷な大セールです(笑)。

真柴

はい、それを組立通信が阪神百貨店のチラシにしました(笑)。

浅野

最後の「大阪のおばちゃんの品格」は、最近はやっている「品格」シリーズの本からアイデアをいただきました。法律上もうすぐなくなってしまう「さすべえ」をおばちゃんネタと組み合わせました。

真柴

おばちゃんといえば、あめちゃん。パインあめや黄金糖のアクセサリーのコーナーもお見逃しなく。
続いて「大阪都市迷彩」をつくってくださった波多野さんにお聞きします。企画の段階ではかなり盛り上がりましたが、つくるのには大変苦労されたようですね。

波多野

ロボットの方に時間をとられて、ゆっくり制作ができなかったんです……。展示の中にある「大阪モノポリー」の盤にも使われるということだったので、商いの街である大阪を表現しようと思って大阪発祥企業のロゴを使って迷彩柄をつくりました。
ちなみにノルウェー軍の迷彩パターンを参考にしたのですが、大阪のコーポレートカラーは赤が多いので、色のバランスをとるのに苦労しました。

真柴

それを「目がちかちかしないように」加工したものが、モノポリーのデザインになっています。
次はゼック・エンタープライズさんの「2045年の通販」です。ダンボールの穴からのぞくと通販番組が見られるという仕組みなんですよね。長尾さんとさとうさん、解説をお願いします。

長尾

まずは商品を「売る」お手伝いをするセールスプロモーションの企業の立場として、2045年に大阪名物として何が残ってくるのか考えました。そこで、2045年には人とのコミュニケーションが減ってきて、物を買うのも通販の需要がもっと増えると思ったんです。でも、大阪の街からコミュニケーションが消えていくとこの街のカラーがなくなってしまうので、通販番組として大阪のカラーを出そうと企画しました。
売っているものは、値引きしたように見せかける電卓「ピンハネ電卓ニュー老松くん」と、淀川の水から“天然パーマがなおる”というすごい効能が発見されて商品化されたという設定の「淀川の水」です。 ダンボールにはのぞき穴が2つあるのですが、それぞれの穴から見えたものが本当に2045年の大阪の誇りであってほしいという願いを込めました。

さとう

私が特にこだわったのは「のぞき穴」です。せっかく来場してくださった方々に「見てみたい!」と思っていただきたかったんです。特に下から2段目の穴はじっくりご覧いただきたいと思います。

真柴

出口にある「メリー福笹」をつくってくださったx敬寓さんは、いかがでしょう。

大阪名物で福笹ははずせないなと思いまして……。そこで、ただの福笹ではなく由緒あるサンタクロースの人形をつけて世界の西と東を融合させ、オリエンタルな感じを出しました。

真柴

次は「ねねバッグ」ですね。ありさださん、お願いします。

ありさだ

大阪名物である太閤さんの妻「ねね」さんは当時のファッションリーダーで、実はケリーバッグのもとになったものを使っていたという設定で考え出したものです。知り合いの鞄デザイナーさんに、帯地でつくっていただきました。アクリルケースの中に入っているので手にとってもらうことはできないですが、ポケットもあってかなり本格的なつくりになっていますよ。

真柴

ありさださんにはバービー人形の衣装もつくっていただきましたね。

ありさだ

万華鏡の中に入って回っているのが「北新地バービー」、2体並んでいるのは性別不明の「堂山バービー」と天神橋筋商店街の「おばちゃんバービー」です。今回のバービーの衣装は、全部あまった布や古着の生地でつくりました。

真柴

「おばちゃんバービー」が履いているスパッツのヒョウ柄が細かくて驚いたんですが、あれも古着なんですか?

ありさだ

はい。Tシャツの袖を切ってつくったんです。バービーちゃんはスタイルがいいので何でも着こなしてしまい、「おばちゃん」に見せるのに苦労しました(笑)。

ミーティング風景
ミーティング風景

真柴

続いては、みんなで協力してつくった「大阪モノポリー」です。最初は浅野さんと波多野さんと福さんと私の企画からはじまりました。

浅野

秋田県版や六本木ヒルズ版などの“ご当地モノポリー”が意外と売れているという話を聞いて、盤の一枠をそれぞれの企業に売っていったら儲かるんじゃないかという気がして、だんだんやる気になりました(笑)。

波多野

大阪名物を調べたら有名な企業が多くて、企業のロゴをモノポリーの盤にはめこんでいくことになったんです。

会場に日本モノポリー協会から植田さんが来てくださっています。一言ご感想をいただけますか?

植田

モノポリー協会では本当に2008年版の大阪モノポリーをつくろうという企画をしておりまして、今回の「大阪名物★広辞苑」の企画がピッタリだったので、私からお話を持ちかけたのがキッカケでした。この大阪モノポリーは、モノポリー協会会長の糸井重里のホームページでも紹介させてもらったので、この機会にモノポリーファンをもっと増やせたらいいなと思っています。
みなさんには、本当に製品化できるくらい完成度の高いものをつくっていただいて感謝しています。

真柴

このモノポリーに出てくるカードなんですが、正露丸のロゴをモチーフにした「食い倒れ券」と牛乳石鹸の「牛乳石券」の2種類があり、各裏面には全部違うお金の動く文言が入っています。この文言を考えてくださったのが、会場にいらっしゃるオールワンズマイトの中村さんです。モノポリーには中村さんを含め、本当にいろいろな方に協力していただきました。ありがとうございます。
次の写真が、さっきのお話にも出てきたDMの万華鏡写真です。宮田さん、撮影でご苦労された点はありましたか?

宮田

まずは本物のビリケンさんを撮影しに通天閣に上りました。そして降りてきて周りを見回してみたら、通天閣から半径100mくらいのお店のどこにもビリケンさんがいっぱいいたので、全部撮影してまわったんです。
この写真の中には本物もニセモノも両方入っているので、じっくり見てくださいね。

真柴

太田さんも同じように大阪中を撮り歩いてくださったんですが、撮影中に発見したことはありますか?細かいお題がない中でいきなりロケに行ってくださったわけですが。

太田

大阪といえば、一般的にミナミや新世界のイメージが強いので、逆にキタで大阪らしいものを探しました。でもパッと目をひくものが少なくて、探すのに苦労しました。

真柴

うん、キタは確かに難しいですね。
では出口に鎮座する金色の像「ブリケン」をつくってくださった王さん、再び解説をお願いします。

ビリケンさんは、100年くらい前にアメリカの版画家が夢に現れた神様をモチーフにつくったもので、それがアメリカで流行ったのだそうです。それに目をつけた日本人が、通天閣ができる前にあったテーマパークにビリケンさんの像を置いたところ、人気が出て今に至るらしいです。なので、「通天閣のビリケンさん」のもとになったエピソードをでっち上げたらおもしろいんじゃないかと考えて、「ブリケン」さんを企画しました。
「ブリ」を選んだのは、ビリケンさんのとがった頭の形と、“ビリ”と“ブリ”という響きが似ているからというおバカな発想からです(笑)。

木村

私は「ブリケン」さんの顔をハンコにしたものも展示しています。ハンコの柄の部分が万華鏡になっているので、のぞいても、押しても、楽しく遊べますよ。

真柴

「ブリケン」さんの横にはブリをたくさんデッサンしたノートがあって、一点一点はとても真面目につくられています(笑)ブリケンさんを触るとご利益があるそうなので、みなさんどんどん触ってください。
今回の「大阪名物★広辞苑」の企画は、ウソものが結構多いです。実は最初、ウソものや本物が入り乱れた企画をどう表現しようかみんなが迷ってしまったんです。そのとき会議進行役の長尾さんに「“未来”という時間軸を入れたらまとまるんじゃないか」という意見をいただいて、とてもスッキリしました。
編集者の仕事は「探して」「つなげて」「伝えること」だと思っています。だから、見に来てくださったみなさんが、私たちが真剣に考えたくだらないアイデアを感じ取って「クスッ」と笑ってくださればいいなと思います。説明したらおもしろくないものもあるので、感性で見ていただければうれしいです。万華鏡やモノポリーのように遊べるものもたくさんあるので、少しでも長く会場に滞在していただきたいなと思っています。

長尾

みんなが集まってせっかく展示会をするのだから、何か意味があるものにしたいなと思ったんです。でも時間もギリギリに限られた中で、この日を迎えられてうれしいですね。楽しかったですよ。

浅野

今回の展示ではいろいろな企業を登場させて、真剣にふざけたことをやりました。この展示によって、大阪の街が元気になるような化学変化がおこればうれしいですね。この「大阪名物★広辞苑」をみんなで協力してこれからも続けていけたらいいなと思います。

「大阪はパワーがなくなっている」という話を聞きますが、いちばん大阪に欠けてるのは「バカバカしいことを、いかに真剣にやるか」のパワーだと思うんです。だから今回の展示が、その指針になればいいなと思っています。

宮田

この「広辞苑」がたくさんの人に引き継がれ、言葉も増えて、そうやってどんどん続いていったらうれしいですよね。

真柴

私はみなさんとこの展示会ができて本当に楽しかったです。いろいろな業種の方が集まって、考え方も頭の使い方もまったく違う。あれこれ考えたり、アイデアを出しあう時間がとても刺激的でした。

取材:野上 智美氏 真柴 マキ氏:組立通信天満スイッち編集室(浪花町)

文責 事務局

出展クリエイター

組立通信 天満スイッち編集室
福 信行(「大阪名物★広辞苑」コーディネーター)
真柴 マキ(「大阪名物★広辞苑」コーディネーター)
野上 智美

編集&出版

(株)ファイコム
浅野 由裕 岩城 卓 平岡 妙子 山田 亜矢

広告代理業・企画編集・webプロデュース

(有)ブリューナク
波多野 裕典 東 利親

プロダクトデザイン

(株)エムツーフォト
宮田 昌彦 太田 未来子

広告写真撮影

(株)ゼック・エンタープライズ
長尾 朋成 さとう さなえ

SPコンサル・プランニング

(株)KGE ワンタローの手作り店
木村 栄宏(ワンタロー)

万華鏡

Gallery HAY-ON-WYE
王 敬寓 ありさだ あきよ 古橋 麻千子

天満の遊び場

公開:2007年11月14日
取材:組立通信 野上 智美氏 真柴 マキ氏

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