
第6回目となる今回の議題は「クリエイターでよかったと感じる瞬間」や「クリエイターと経営者、どちらの立場で仕事をしているか」。スピーカーの皆さんのクリエイティブに対する熱い想いが伝わってきました。
季節柄「サンタクロースに提案する企画」などのユニークな質問もあり、会場のオーディエンスも楽しそうに聞き入っていました。
2006年12月19日(火)18:30〜21:30
ミーティング 18:30〜20:30
交流会 20:30〜21:30
堂野 智史|メビック扇町所長


皆さんは事務所にいるとき「クリエイター」と「経営者」どちらの意識でいることが多いのでしょうか。
吉田マロンさんは「完全に経営者」とお答えでしたが?
もともとディレクションをメインに仕事をしてきたので、まずはお金のことを考えてしまいます。仕事ではある程度のカタチを作ったら、あとはクリエイターにお願いするのが理想なので、私の場合は完全にマネジメント寄りなのだと思います。
「経営者100%、クリエイター30%」という謎の答えの三浦さんはいかがでしょう?
経営者の立場としては、何をするにもまずはお金のことを考えるので、経営者の意識は常に100%です。
自分自身の中であまりクリエイターとしての意識はないのですが「クリエイター30%」と答えたのは、マニュアルや企画書作りなどのクリエイティブな作業が仕事の3割ほどあるからです。
真柴さんは「スイッチ切り替えタイプ」だそうですね?
もともと「経営者」をやっている意識はなかったのですが、金融関係の方々に鍛えられて自然と経営者としての意識が出てくるようになりました。
ただ、制作しているときは100%クリエイターです。制作していて煮詰まったら事務や経理などの他の作業をして、切り替えていくタイプだと思います。実際、クリエイティブな作業量とその他の作業量は半々くらいです。
クリエイティブ以外の仕事が半分もあったら、しんどくならないですか? クリエイターの悩みだと思うのですが。
逆に、ずっとクリエイティブだけをやっている方が、テンションを持続できませんよ。
私もスイッチを切り替えていかなければと思うのですが、なかなか出来ないのでうらやましいです。気が付けばすぐにクリエイターのスイッチが入って、夜中まで仕事をしてしまいます。ほとんど「壊れかけのスイッチ」です。
私もそういうことが多いですよ。時間やお金のことを忘れて、つい夢中になってしまいます。
私の場合は逆で、常に経営者寄りです。でもたまにクリエイターのスイッチが入ることがあって、そうなると自分自身のバッテリーが切れるまでずっと仕事をしてしまいます。
本当はバッテリーが切れたら2日間ほど冷却期間が欲しいのですが、今の仕事の現状では難しいです。
「常時まぜこぜ」というお答えの松井さんはいかがですか?
予算とモノ作りを切り離して考えられないので、私の中では「経営者」と「クリエイター」の意識が床屋の看板のように、DNAの螺旋構造みたいにぐるぐる廻っています。サラリーマン時代から、予算と照らし合わせながら制作するのが当たり前でしたから。
松井さんは仕事が煮詰まったとき、どのように息抜きをしていらっしゃるんですか?
例えば“A”という案件の仕事をしていて煮詰まった場合、別の“B”という仕事をする。私の場合、それが息抜きになるんです。
どちらもが常にぐるぐる廻っているのは、理想的でうらやましいですね。
一つの案件でも、デザイン、編集、コピーなど、色々な作業があって、それぞれ頭を切り替えていかなければならないので、私の場合もそれが息抜きになることはあります。
仕事が息抜きになるなんて素晴らしいと思います。きっとご自分の仕事が本当にお好きなんでしょうね。


皆さんが「クリエイターでよかった」と実感するのはどんな時ですか?
「軌跡として残ったとき」と答えたのは、池田さんですね。
建築やインテリアに携わっていると、自分の仕事がカタチとして残るので、何年も前に関わった建物が気になって、見てまわることがあります。自分が関わった当時のまま残っていると、とても嬉しくて「やっててよかったな」と思います。
あとは、実際にその建物を使う人が「池田に頼んでよかった」という嬉しいレスポンスをくれることも軌跡の一つです。
私もお客様に「これからもよろしく頼む」と言っていただいた時は本当にクリエイターでよかったと思います。仕事をとってきて、制作して、請求までトータルにこなしているので、一生懸命にやったことを評価してもらえたときが一番嬉しいですね。
三浦さんは「新しい仕事や取引先が見つかった瞬間」というお答えでしたが?
仕事をしていて楽しいのが、営業の瞬間です。特に、初めて仕事をもらうときはとても嬉しいです。仕事をもらって一生懸命やって、お客様に満足してもらうとまた次の仕事が頂ける。そういう嬉しいサイクルを延々と続けられたらと思います。
頑張ってプレゼンテーションして、仕事が決まった瞬間は嬉しいですよね。でも、その後で話が具体的に決まってくると「どうしよう……」と焦ることはないですか?
そうですね。打合せが終わった後は「これからどうしよう……」と焦りますよ。そこからはスケジュールやお金のことなど、色々考えて気が重くなります。
営業をされていると、クライアントと制作側の板ばさみになったり、プレッシャーを感じることはないですか? クライアントと制作側が食い違わないように、クリエイターとは積極的に話をされているんでしょうか?
もちろん、話しますよ。真ん中で挟まれる立場ではありますが、どっち寄りということもないです。でも、最終的にはクライアント側の意見に合わせます。
私としては、次の新しい仕事をとるために考えることをしたいので、出来れば仕事をとった後は全てを取り仕切るプロデューサーに任せることが理想です。
私は会社員としてデザイナーをしていたとき、ディレクターが持って帰った訂正によく文句を言っていました。クリエイターも打合せに連れて行くと、文句はあまり言われなくなると思います。
分業がきっちりしている大きな会社でも、クライアントがどんな人で、どんなことを考えているのか、制作する側も知っておくべきですよね。仕事は人とするものなので。
「売上アップ」と答えた吉田透さんは、どう思われますか?
作ったものをクライアントさんに喜んでもらって、その後さらに売上も上がったと聞くと「やっててよかったな」と思います。
でもたまに、何年も前にした仕事を、たとえクライアントさんに気に入ってもらっていても「今の自分ならもっとこうするのに」と思って恥ずかしくなることはあります(笑)。
「売上アップ」というお話で思い出したのですが、以前飲食店の店舗を手がけたことがあって、オーナーさんに「これで売上はあがるでしょうか?」と聞かれました。でも飲食店の売上が上がる要素というのは、店舗の雰囲気だけではなくて味や人柄もあるので、何とも言えませんでしたが……
ただ、クリエイターとしては、オーナーさんの売上を裏からバックアップできる立場でいられたらいいなとは思います。
中川さんの答えは「おもしろいと感じる心」ということですが?
ずっと雑誌のライティングをしてきて、自分の趣味でないものでも、どんなことでも「おもしろい」と思える自分になったことがとてもよかったなと思います。雑誌の仕事は何にでも興味を持たないとできませんから。
私は福永さんの「誰も気付かなかった魅力を表現できた瞬間」というお答えに非常に興味を持ったのですが。
コミュニケーション手段としての広告の魅力を、クリエイターとしてきっちり表現できた時は「やっててよかった」と思います。ついでにガバッとお金が入って来たら、最高なのですが……
「誰も気付かなかった魅力」というのはどうやって見つけるのですか?
例えば「本人は気付いていないけれど周りの人たちにはわかる魅力」ってありますよね。そういったものを探求して、写真や広告に表現できたら嬉しいです。
短い撮影時間で魅力に気付くことって、難しくないですか?
確かに、長年の訓練は必要だと思います。
カメラマンさんと観光マップ制作の仕事をしていて感じた事ですが、指示通りではなくて「もっとこうしませんか」と提案してくれる人と一緒に仕事をすると嬉しくなります。
クリエイティブな仕事をしていると、クライアントさんの言うとおりに作ったら「もっと捻れないの?」と言われることも結構あるので、普通のものを普通にやっていてはダメだなと思います。

もうすぐクリスマスですが、もし皆さんに本物のサンタクロースからクリスマスキャンペーンの依頼があったら、どんな提案をしますか?
「両親対象のキャンペーン」と答えた三浦さん、具体的に教えて下さい。
現実的ですが、今どきの子供たちは家におもちゃがたくさんあるので、クリスマスにプレゼントをもらっても大して喜びません。サンタクロースの存在価値は、1年1回プレゼントをあげて喜んでもらうことにあるはずなのに、そうでなくなって来ています。
そこで、両親を対象にするんです。1年間の子供の頑張りや成長の度合いを両親が評価し、それに相応するプレゼントをもらえる。1年に1回、親子の間の対話やつながりを振り返るいい機会にもなります。
辻さんの「パパ、ときどき、サンタ」というお答え。これはどういうことでしょうか。
「最近の子供達はサンタクロースを信じてくれない」とサンタがぼやいている気がするんです。そこで「ときどきはパパではなくてサンタが来るんだよ」ということをアピールするキャンペーンを考えました。
イブの夜は日本全国天空ショーとして、サンタクロースをヘリで追跡して現在位置をグーグルマップでリアルタイムに告知したり、サンタさんが来た子供の家から花火をあげるんです。そういうことをしないと、今の子供はサンタクロースを信じてくれないと思います。
「Anata no Uti ni Kuru」というお答えの福永さんはいかがでしょう?
欲しいと思っているものをちゃんとくれるから嬉しいのではなく、サンタクロースからもらうから嬉しいんだという事を再認識させるキャンペーンです。子供のうちから欲しいものだけをもらっていると、プレゼントが“報酬”のようになって良くないと思います。
サンタクロースはイブの夜に一瞬時を止めて、世界中のみんなに平等にプレゼントを配るという話があります。一瞬時を止めて、“Santa Claus Is Coming To You”と書いた小さなダイレクトメールを世界中の人々のポケットに入れる、というのはどうでしょうか。あとはもらった本人が信じるか、信じないか、それだけです。
ロマンチックで素敵な話ですね。
吉田マロンさんは「街ヒゲFes」というお答えでしたが。
サンタクロースといえば白いヒゲです。だから、ヒゲを生やしたタレントをフューチャーさせ、街中の人々がヒゲをつけて練り歩くようになれば面白いんじゃないかと思ったんです。
単純に「クリスマスをもっと楽しもう」という趣旨の企画です。
私は「本物のサンタクロースから依頼が来たら」の“本物”という部分に引っかかって、本物のサンタクロースは“ニセモノ”を撃退したいのではと考えました。
そこで「コピーのサンタにだまされるな!」と子供たちに呼びかける「コピー撲滅キャンペーン」をしたり、仏教徒を踏み絵と嘘発見器で見分けたり、選挙のポスターのように色んなパパサンタのポスターを並べて“ダウト”と書いた黄色い帯を貼るというキャンペーンを考えました。キレイな落ちですね(笑)。

今日最後の質問になります。皆さんが「クリエイター」としてこの街にできるこ
とは何だと思いますか?
池田さんは「売込活動!」というお答えですね。
クリエイティブの情報がたくさん集まって発信される「クリエイティブのメッカ」として、扇町を連想してもらえるようになるために、ここに来れば「何か楽しいことがあるよ」と呼びかけていくことです。大掛かりな“売込活動”というよりは、自然とそういう風になればいいなと思います。
私は“この街”に限らず大阪や神戸、京都などの関西全体に広げる事を考えています。個人や少人数のクリエイターが何かをするのではなく、もっと関西のクリエイターをたくさん集めてクリエイターたちの結びつきを強化することだと思うんです。全体の規模でイベントやムーブメントを起こしたら、必ず浸透するはずです。
「とりあえず、騒ぐ」と答えた福永さんはいかがですか?
街というのは、どうにかしようとしてどうなるものではないので、個人のクリエイターができることなんてたかが知れています。
とりあえず、飲んで騒いで楽しんだら、少しはこの街も元気になるんじゃないでしょうか。私は以前アメリカ村にいたので、それに比べるとこの街はすごくおとなしいなと感じます。クリエイターはパソコンのある部屋の中だけでクリエイティブをしてい
るのではなく、外に出てもっと色々やってみてはと思うんです。
福永さんの意見に似ているのですが、とりあえずみんなで飲んで騒いで何かが始まると思います。おいしい飲み屋さんやごはん屋さんを開拓して、その情報を広めていけば、色んなことがついて来ると思いますよ。
吉田マロンさんは「ビジネスによったデザイン」という回答でしたが?
以前は南船場に私の事務所があって、ミナミでも街を盛り上げるためのアートイベントがたくさんありました。アートは切り口としてはわかりやすいですが「流行らないし、根付かないな」ということも率直に感じました。だからアートというよりは、例えば商店街の買い物袋のような、デザインとしてもっと身近にあるものを利用しないと、街に根付かないと思うんです。
真柴さんの回答は「街を編集する」。これは「天満スイッち」ならではのご意見ですね。
「天満スイッち」を発行していて感じたことですが、この街の人々は街のことには冷静だけど、結構街のことを好きなんです。でも帰属意識は薄い。それはなぜかというと「楽しいこと」を街が発信していないからだと考えました。
「天満・天神」というくくりで見ても、住人にとっては情報がよくわからない。その「わからない、知らない」が無関心を招いていると思います。せっかく有名な街なのに、この知名度を使って、もっと面白いことを発信してつながった人達と楽しいことをしたいなと思います。
「主体的には何もできない」というお答えの松井さんは、どう思われますか?
ずっと考えているんですが出てきません。そもそも「この街に対してできること」を考えること自体がおこがましいことのような気がします。
ただ、この街で自分が仕事として七転八倒して成果をあげれば、後になって「あれは扇町時代の作品だな」と思うことはできます。自分が仕事で名を残せば「扇町時代の作品」として痕跡を残せたり、他の人へ影響を与えられるのかもしれませんが……
でもそんなことより、今の自分の足元を深く掘って自分の庭を耕すことに精力を傾けるほうが先だと思います。
取材:野上 智美氏 真柴 マキ氏:組立通信・天満スイッち編集室(浪花町)
文責 事務局




企画分析力をコアにした「伝わる」「売れる」コミュニケーションをモットーに、広告・カタログ・CI・ウェブサイト等の企画・制作・管理を行う。得意分野は住宅関係。
商品開発から企画制作、CIコントロールまで。小さいからこそ、強みにこだわりたい。


イラストレーターやアニメーター、ダンサーなど関西で活躍するアーティスト達のスキルを、広告や雑誌、CMとマッチングさせ、広告代理店・各種プロダクションなどに売り込みを行っている。
フットワークは軽く、仕事は丁寧に。クリエイターたちの繋がりが、仕事の幅を広げていきます。


広報・広告物、雑誌・新聞、ウェブの写真撮影及び制作をメインに活動している。広告物ではアパレルや化粧品から建築、インテリア等々幅広い分野で写真を制作。他にも企画展出品や作品展等を開催している。
人も物も匂いも素材を活かし、目的に応じた写真を世に送り出していきたいと考えています。

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人物取材やコラム執筆、編集ディレクションやブックデザインなどの「読み物」の制作が得意分野。他にもパッケージやロゴなど、手描き感のある和モダンな表現に強い。ご当地生活情報誌「天満スイッち」の企画発行も行う。
編集デザインは「魅せるメッセージ」。街メディアの可能性に手応えを感じています。

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クライアントとの対話を大切にしながら、グラフィックデザイン(チラシ・カタログ等商業印刷物)やブランディング(新商品の企画開発、ロゴ・パッケージの開発)、販促企画・制作(総合的企画立案と販売ツールのデザイン開発)等を行う。
対話の積み重ねの結果として、デザインがプリッと出てくるんです。

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カタログ制作をメインに、WEB関連サービス全般、プレミアムグッズ企画制作、各種イベントの企画運営などのマーケティング&セールスプロモーション関連事業を行う。
「日々成長」をモットーに、社会に貢献していきたいと思います。


クロスメディア、メディアミックスをプロデュース。コンテンツ制作会社としてのノウハウを基に、テレビ・ラジオなど映像、音響、紙媒体、インターネットなどを有効に連動させ、クライアントの情報展開をバックアップしている。
十数年この業界に携わって、ワタシが感じたコトがみなさんと共感できたらと思っています。

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スポーツをテーマにしたフリーペーパーの編集発行のほか、ウェブデザイン、システム開発、データベース構築、DTPデザイン、SP、マーケティング、コンサルティング等を行う。
当たり前のことを当たり前に。目の前のことをコツコツしっかりと。
公開:2007年01月09日
取材:組立通信LLC. 野上 智美氏 真柴 マキ氏
3次元的なモノ作りに時間軸を加え、メンテナンスや活用法に配慮した4Dデザインを提唱。自身はインテリアが得意分野だが、デザインの分野を問わずに融合する「クロスオーバーデザイン」を掲げている。
「ノウハウだけでは売れない」、「市場で売れるものを模索」そこにデザインを注入。
http://www.h5.dion.ne.jp/~kepla/k-despa/