イベントレポート

【クリエイティブ・クラスター・ミーティング】ブリーゼブリーゼ×メビック扇町

クリエイティブエキスポ

2月11日〜27日の17日間にわたり、ブリーゼブリーゼで開催された「クリエイティブ・エキスポ」。グラフィックデザイナーチームがデザインした個性豊かな「菰樽(こもだる)」、12名のイラストレーターによるイラスト展示や、手金活版印刷についての展示やワークショップなどを通し、クリエイティブとデザインの魅力を発信しようと企画されました。
そのイベントの中日である2月20日、主な出展者がブリーゼブリーゼの支配人・川内健司氏を交え、様々な角度から「クリエイティブ・エキスポ」を評議。企画に携わった産経新聞社の方々や会場設営や出展にかかわった関係者の皆さんをオブザーバーとして迎え、今イベントやクリエイティブについての意見交換を行いました。

開催日時

2011年02月20日(日)15:00〜18:00

コーディネーター
  • 浅野 由裕氏「(株)ファイコム」代表取締役

    浅野氏

    龍谷大学文学部を卒業後、広告代理店の営業の時にMacと出会う。創成期のパソコンに様々な業務が移行する中、新しいコミュニケーション手段のwebに興味を持ち、グラフィックソフト会社の子会社タワーズを1998年12月に買収、ファイコムに社名変更、代表取締役に就任。現在に至る。主に携わった仕事は「b-platz press」「関西どっとコム」「江崎グリコポッキー友の会」など。

メインスピーカー
  • 川内 健司氏「(株)サンケイビル」ブリーゼブリーゼ支配人

    川内氏

    早稲田大学理工学部建設学科卒業後、サンケイビル総合設計室にて32歳までのまさにバブル期に建設デザイン、設計業務に携わる。フランスのパリに2年間社費留学をして「文化施設の企画、設計」を学び、帰国後は空間とアートを融合させる「環境芸術」ビジネスに携わる。2003年からは東京にて商業施設とイベントのプロデュースを担当し、2008年7月に現職に着任した。

D+ こもらぼプロジェクト
  • 坊 雅和氏「(有)トライキッズ

    坊氏

    グラフィックを中心にCI、VI、パッケージデザイン、営業ツール、Webなど、様々な分野のデザインを要望に応じて提供。クリエイティブを主軸とし、コンセプトメイクから企画・ディレクションまで手がける。グラフィックデザイナーチームD+(ディープラス)では監督としてディレクターを担当。

  • 増永 明子氏「マスナガデザイン部」

    増永氏

    平面から立体、空間を含むデザイン全般で活動。国内外のコンペティションで多数入選、受賞。

  • 鈴木 信輔氏「(有)真之助事務所

    鈴木氏

    大阪芸術大学芸術学部デザイン学科を卒業後、杉崎真之助氏が率いるデザインスタジオ「真之助事務所」に入社。'98年から現在まで数多くの展覧会に出展し、HUBLOT IMAGE POSTER展や東京タイポディレクターズクラブなどで入賞を果たしている。当イベントの告知ツールのデザイン全般を担当。

  • 大垣 ガク氏「(株)リッシ」

    大垣氏

    広告企画・デザイン、CI、VI、パッケージデザイン、webなど、ブランディングを視野においたコンセプトからプロモーションまでコミュニケーション全般を手がけるアートディレクター。代表的な仕事に、朝日放送のCIプロジェクト、新社屋キャンペーン広告、「熱闘甲子園」ポスター、読売テレビの各種デザインやテレビ番組の番組宣伝広告など。
    その他主なクライアント:関西テレビ、GUNZE、アッシュ・セー・クレアシオンなど

活版EXPO 1
  • 花村 周寛氏「♭(フラット)」

    花村氏

    デザイナー、アーティスト、研究者、役者など様々な肩書きを持ち、風景を見る人のまなざしやコミュニケーションについて今までの関係性を組み替える「メディアランドスケープデザイン」という領域を横断した独自の表現と研究活動を行う。自身のアトリエである“♭”では、映画撮影所や芝居小屋、ギャラリーなどの機能も持たせ、様々なクリエイターとのネットワークの構築を通した生活風景を再考する「極東EXプロジェクト」を行っている。

  • 野村 いずみ氏「(有)山添」代表取締役

    野村氏

    学生時代から、父親の営む印刷会社を手伝いつつ版下・製版・デザインワークを勉強。工務・営業まで経験したのち、28歳で代表取締役に就任した。自身がグラフィックデザイナーを目指して専門学校へ通っていたこともあり、商業印刷だけでなく、想いのあるものや一緒に楽しめる「モノづくり」としての印刷に関わりたいという気持ちを持つ。

バタフライ・コンピレーション・コレクション2011
  • 高山 理氏「(有)TTDESIGN

    高山氏

    大阪を拠点とし、グラフィックデザインを中心にブランディングやイベント企画、販促ツール、ロゴ制作など幅広く活躍中。当イベントでは「バタフライ・コンピレーション・コレクション2011」のほか、「活版EXPO1」のイベント企画立案・グラフィック全般も担当。

  • 杉若 太郎氏「(株)スマイルヴィジョン

    杉若氏

    大学卒業後、広告代理店にてweb制作に従事。2004年に独立し、メビック扇町にて6名でスマイルヴィジョンを創業した。「宅ふぁいる便」、「JTB観光情報ナビ」、「産経関西」など高水準のサイトを構築し、自社運営ショップも展開。2010年から蝶の標本販売サイトをスタートさせ、TTDESIGNと共同で、蝶の標本とイラストを融合した「CollectionB」を立ち上げた。

kon-gara展
  • 牧野 博泰氏「ビジュアル計画 mare

    牧野氏

    自称、「招福図案家」。グラフィックデザイン制作会社・広告代理店制作部を経て、1990年にヴィジュアル計画マーレを設立。ポスターやDM、フライヤー、学校・会社案内などのデザイン制作に携わりつつ、企業・ブランドなどのシンボルマークやロゴタイプ、カリグラフィの企画・制作などにも力を入れている。

  • 河手 宏之氏「和紙商小野商店

    河手氏

    和紙商小野商店の企画営業担当。大阪市内の大学を卒業後、東京の外資系アウトソーサーに就職し、決算時期に行われる小売業の棚卸し業務を代行支援。25歳で帰阪して和紙の現場で作製工程や加工工程を学び、現在は祖父の代から65年続く和紙商いを継ぐべく修行中。

イラストレーター展
  • エサキ ヨシノリ氏「情熱の学校」校長!&情熱メイキングプロデューサー

    エサキ氏

    純日本系と外資系の広告代理店で営業に携わる中で、各種企業のコミュニケーション活動をプロデュース。'05年に独立し、中小企業のブランド力向上を目指して、“自社の想いをちゃんと伝えられる”会社を一社でも多く作り出すためのコンサルティング&セミナー事業を大阪を拠点に展開中。

  • 高橋 タケシ氏「takeshi factory

    高橋氏

    global communicator(グローバル コミュニケーター)として活動を開始する兵庫県出身のクリエイター。San Francisco Art Institute を卒業後帰国。IT関連や外食産業,広告代理店などでデザイン制作や営業を経て2007年の七夕の日にフリーランスに。持ち前のフットワークの軽さと直感を大切に国内外の企業において活動の場を開拓中。大阪人の胃袋から大阪を元気にする☆食のプロジェクト☆極上屋上プロジェクト☆主宰。

  • 清水 敬二郎氏「彩飾案

    清水氏

    イラストレーションを用いたビジュアルを通して、お客さまと共に笑顔になれるデザインを心がけている。その場所、そのモノ、その人自身を彩るお手伝いをするため、お客さまと共に歩んで創りあげていくのがモットー。

はじめに

浅野

このイベントは、産経新聞社の皆さんと一緒に「何かできないか?」と考えるうちにどんどん企画が大きくなり、昨年の夏前にメビック扇町から「この街のクリエイター博覧会」の会場を探している、という話を聞いたところから始まりました。いろんな方々に企画を出していただいてプロジェクトを進めていましたが、実際に詳細が決まったのが今年に入ってから。時間がない中で、皆さんに相当な苦労をしていただき、開催にこぎつけることができました。これまでの「このクリ博」はメビック扇町内での公開で、クリエイター同士で評価しあう場になっていましたが、今回は外に飛び出して“一般の方の目に触れる”というイメージを強く持ってやってきました。蓋を開けてみると、バレンタインデーというイベントにも恵まれ、初日からの三連休は「活版EXPO 1」に1000名ものお客さんがいらっしゃるなど、予想以上の反響に驚いています。
実は、今日のミーティングはテーマを設けていません。次回、その次と続けていきたいので、今日は皆さんの意見や要望を聞かせてもらえたらと思っています。できるだけ自由に発言してください。まずは、会場となったブリーゼブリーゼの支配人、川内さんからお言葉を頂戴したいと思います。

川内

皆さん、本当にありがとうございました。お恥ずかしい話ですが、このイベントの企画を担当部署にすべて任せており、今年1月後半にメビック扇町さんに挨拶に行くまで何も知りませんでした。私自身、東京の方でPMの仕事をしていたこともあり、こういったクリエイティブやアートのイベントが一番好きで興味深いのです。なので、もっと早くイベントのことを知っていれば、もう少し前向きな力添えができたのかもしれない、というのが私の中の反省点です。でも、非常にキレイで見る人が楽しくなるような展示ができたと思っています。今日は、ざっくばらんに色んなご意見を聞かせてください。

浅野

それでは早速ですが、一人ひとりから今回の出展についての説明と感想をいただきたいと思います。

ミーティング風景

ミーティング風景

D+ こもらぼプロジェクト


D+ こもらぼプロジェクト

今回、D+のメンバーと東京のグラフィックデザイナーで、「菰樽(こもだる)」のデザインをさせていただきました。個性的でおもしろいデザインが出揃ったと思っています。

増永

D+とは、関西を拠点に活動するグラフィックデザイナーが集い、企業さんとのコラボレーションなど、仕事とは違うフィールドで自分たちのデザインの幅を広げる活動です。

鈴木

僕はご縁があり、クリエイティブエキスポのロゴや告知ツールのデザインも手がけさせてもらいました。

浅野

産経新聞社の前日の夕刊10段×3面を使ってPRしましたが、そのデザインもすべて鈴木さんにお願いしました。時間のない中で臨機応変にやっていただき、いいものができたと思っています。鈴木さんご自身としては、今回の制作はいかがでしたか?

鈴木

イベント名に“クリエイティブ”という名前がついているので、完成度をしっかり重視しました。新聞広告は手がけたことがありますが、デザインの規制がとても厳しいんです。今回は記事のデザインを自由にさせてもらい、楽しんで仕事ができました。


クリエイティブエキスポフライヤー


2011年2月10日 産經新聞夕刊

浅野

産経新聞社の渡辺さん、広告については要望は出されなかったのでしょうか?

渡辺

新聞は子どもからお年寄りまで幅広い方が見るので、わかりやすい、字がよみやすい紙面をとお伝えしました。あとは、せっかくデザイナーさんに組んでいただけるなら、普段は紙面で見ることができないものを、と思っていたので、こちらから細かいことは言いませんでした。結果的に、とても楽しい紙面になったと思います。ありがとうございました。

大垣

最近D+のメンバーになり、こもだるのデザインを手がけさせてもらいました。展示の仕方も画期的でよかったと思います。隣の「活版EXPO 1」もおもしろく、個人的に楽しみました。そこがクリエイティブエキスポの良さ。そういった出会いや発見も含めて、すばらしいイベントだと思います。

活版EXPO 1


活版EXPO 1

花村

今回はデザイナーとして、活版EXPO 1の全体のアートディレクションと、「活字星」という作品を出させてもらいました。商業施設のなかで商業に乗らないアナクロな空間をデザインするのは、とても勉強になったと思います。コンセプトとしては活字が広がる空間を体験してもらいたかったので、ダンボールで作った活字を並べて、活字を組むように空間を編み上げていきました。そこで使われる文章は宮沢賢治作「銀河鉄道の夜」から引用しました。「銀河鉄道の夜」の2章では主人公のジョバンニが活版印刷所で活字を拾うシーンがあり、そのシーンをモチーフに全体の構成と活字星の展示へとイメージを膨らませました。「活字星」という作品は、夜空に広がる銀河と鉄道ステーションのミニチュアを活字で制作して展示した商品で、お客さんに好きな活字を選んでもらいキーホルダーにして販売します。昭和初期からの時間が刻み込まれた活字の良さを小さな空間に演出し、やって来たお客さんとのインターフェイスを作るという仕掛けは、普段、自分が手がけている空間デザインと少し趣の違う仕事ができたと思います。

野村

昨年に活版印刷所の二代目が集まって「関西活版倶楽部」を立ち上げ、活版印刷を後世に引き継いでいこうという想いを新たにしていたところだったので、今回のようなイベントで一般の方に広く知ってもらう機会に恵まれて、すごくよかったです。私たちの力だけでは、印刷物の展示や単なるワークショップになっていたと思いますが、高山さん、花村さんをはじめとするクリエイターさんと一緒に企画をすることで、ストーリー性のあるイベントができ、お子さんからお年を召した方まで幅広いお客さんに楽しんでいただくことができました。クリエイティブの力の必要性を感じましたね。想像以上にご来場いただいて、9日間で2000人を越えました。あと残り8日間で、3000人を越えるのではないかと思います。

バタフライ・コンピレーション・コレクション2011


バタフライ・コンピレーション・コレクション

高山

活版EXPO 1の企画立案と、「バタフライ・コンピレーション・コレクション2011」を手がけました。活版EXPO1は、野村さんを通じて関西活版倶楽部の立ち上げを知り、「活版印刷の魅力を多くの方に知ってもらい、ユーザーを広げるために最適の場ではないか」と思い、提案させてもらいました。バタフライ・コンピレーション・コレクション2011は、元々、杉若さんと一緒にイラストと蝶を組み合わせた作品を作っていました。いつもはweb上で販売しているので、お客さんの声を直接聞けません。そこで、今回のイベントで一般のお客さんにアンケートを取り、その統計を元に作品を絞って販売しました。マーケットリサーチの場として利用させてもらうことができ、いい機会になりました。

杉若

蝶の標本は珍しいということもあり、このイベントまでは平均1日1〜2個売れていました。しかし、買う人はマニアックな方が多く、蝶の愛好家や学校教材としての利用などが中心。日本では、そういったアート作品を一般の方が購入することがポピュラーではないんです。今回、初めてリアルな場で販売することができ、一般の方の様々な反応が見られたり、ハプニングがあったりと楽しかったです。

浅野

バタフライ・コンピレーション・コレクション2011のイラストを手がけているイラストレーターの坪田さんはいかがですか?

坪田

ステキな場所で展示をさせていただいて、たくさんの一般ユーザーの方に見てもらうことができ、とても勉強になりました。アンケートで厳しい言葉もいただいたし、お褒めの言葉もいただきました。すべて、今後の励みになります。もっといろんなところに展開していきたい! という意欲が沸いてきました。

Kon-gara展


kon-gara展

牧野

私は河手さんと鈴木さん中野さんの4人でチームを作り、和紙をモチーフにした作品を作ってこれまで様々なイベントに参加してきましたが、なかなか一般の方に見ていただく機会がありませんでした。今回は待望の機会なので新作を作ろう!と意気込み、3日連続で徹夜で作業を進めまして、耳から血が出るほど張り切りました。メンバーみんな、モチベーション高く制作ができました。

河手

牧野さんがおっしゃったように、今まで一般の方々に見ていただくことが無かったので、新鮮な気持ちで参加させてもらいました。ブリーゼブリーゼという申し分のない空間に恥じないような作品ができたと思います。

浅野

それでは、イラストレーター展の方々にも、今回の感想を聞いてみましょう。

イラストレーター展

エサキ

私はイラストレーターが本職ではありません。いつもはビジネス戦略のセミナーを開催しています。その際、内容をわかりやすく伝えるためにイラストでキャラクターを作り、ストーリー仕立てで説明をしてきました。そのセミナーを6年も続けていると、ネタが50ストーリーもできてキャラクターがたくさん生まれたので、どこかで日の目を見せてあげたいと思ったのです。僕の代わりに、イラストにストリートセミナーをやってもらった形ですね。

高橋

私は、「大阪を少しでもおもしろくできたら」という気持ちで、「極上屋上プロジェクト」などを開催しています。芸大を出てから“毛”をテーマにして作品を作ってきたこともあり、今回のイベントでは、「毛深いブリちゃん」のイラストを書きました。


エサキヨシノリ[情熱の学校]


高橋 武志[takeshi factory]

清水

Jonfiという名前で参加させてもらいました。それは僕のもう一つの名前です。国籍が韓国でそれがコンプレックスになっていたのですが、この機会に開放してしまおう、と。今回のイベントには多くのクリエイターが関わっているので、仕事に繋がる作品というより、クリエイターを刺激するような存在になれたらと意識して作品を作りました。

浅野

今日は、メインスピーカーの他にも、イラストレーター展に出展された方が来てくださっていますね。西村さん、海一さん、おおよどさん、山本さん、志水さん、参加されていかがでしたか?

西村

タコと顔文字グルグルの展示をさせていただきました。顔文字グルグルは女性が自分の名前を必死に探していたので、今後は女性ターゲットに顔文字グルグルを展開していきたいと思いました。商業スペースということで触ってもらえる作品を作ったところ、みんな触りまくっていまして(笑)。次回の提案としては、ワークショップ形式は誰かがついていなければいけませんが、それができない場合は作品に触れる要素を作るといいと思います。お客さんと、一歩踏み込んだコミュニケーションが取れるのでオススメです。


Johnfi


西村 有理[スタジオ・セサミ]

海一

なかなか作品を発表する機会がないので、感謝しております。イラストに無関心の方にも見ていただけて、これから自分でも冒険していこう、と意欲が沸いてきました。一般の方がどんな絵を受け入れ、好むのか、という部分をさらにリサーチしていきたいです。

おおよど

私はマンガも描いているので、次回は、新聞くらいの大きな紙にマンガを書いて何枚かを繋げた作品を作りたい。1階から6階までマンガをずらーっと連ねたら、面白いんじゃないかと思っています。


海一 慶子[スタジオ・チーズ]


おおよどながら

山本

5〜6年前にギャラリーをして以来で、久しぶりの展示でした。今後もこうした形で参加させていただけると嬉しいです。

志水

今回はギリギリにお声がけいただいたので、昔の原画を展示させてもらっています。アート系のイベントには出ていますが、これほど大きな展示は初めて。皆さんの作品を見て勉強させてもらいました。また次に呼んでいただけるなら、例えばキャラクター“ブリちゃん”を絡めたイラストなど、この場所だからこそできる作品にチャレンジしたいです。


山本 啓二[GRAPHSHOP]


志水 恵美

改善点、反省点など今後に繋げていくための提案

浅野

川内さん、東京などでクリエイティブ関係のスペースを多数作ってこられたそうですが、今回のイベントはどう映りましたか?

川内

活版EXPO 1展示風景

こんなにおもしろいものを発信し、参加していただけるお客さんがいるのなら、メインの1階を優先的に使えるようにしたかったですね。1階から全階通して、コンセプトを統一させたいな、と。私は花村さんのような経歴なので、私たちの空間の中にクリエイターの皆さんの作品がいかに入り込むか、溶け込むか、シンクロするのか、などの効果を考えています。皆さんには、この場所をメディアの媒体のひとつとして利用していただきたいのです。私たちはそれをバックアップしながら、斬新な色彩を空間に取り込むことができます。そうした相乗効果を意識しながら、これからどんどん一緒に新しい空間を作っていきたいです。
私の個人的な希望としては、牧野さんには、ブリちゃんの服を紙で作っていただきたいですね。高橋さん作の毛深いブリちゃんをイメージしてもおもしろいかもしれません。イラストレーターのJonfiさんは、あえて通路から見せないような展示の仕方をしていて、わざとそう演出するのもおもしろいなぁと思いました。作家の方たちに対して失礼なこともしてみたいです。4月以降はアート作品に本気で力を入れていこうと思っていますので、どんどんアイデアを持ってきてください。

浅野

ブリーゼブリーゼには小ホールがいくつかあり、その空間を使ってのワークショップやセミナー、ミーティングもやりたかったんです。そういった空間の使い方で、新たなアイデアが浮かんでいる人もいるんじゃないでしょうか。

高橋

3階か4階にグランドピアノが置いてあったんですが、ピアノを使っての音楽を絡めたイベントはされたことがあるのでしょうか? 私は絵描き歌もしているので、ピアノがなぜか端っこに追いやられていて寂しいなぁと思ったのですが。

川内

今はイベントがあるので休んでいますが、金・土・日の週末は学生に弾いてもらっています。あのピアノも、空間づくりのために私がピアノを借りたんです。かといって頻繁に有名な方を呼んでいるとお金が持たないので、やりたいという学生さんにお願いしました。有効なアイテムを眠らせておくのはもったいないので、そういったアイデアをください。私には賑わいをつくる商業施設の支配人としての顔もありますので、楽しいことの提案は大歓迎です。コードさえ踏み外さなければ問題ありません。「驚きこそ最高のおもてなし」をテーマに、ブリーゼブリーゼを盛り上げていきたいので、お力添えお願いします。

高山

当初は、ブリーゼブリーゼのテナントさんに蝶をモチーフにしたコーディネートを作ってもらい、一緒に空間を演出したいと考えていました。ちょうど春モノだし、合うかなぁと。今回はそれが叶わず残念でした。テナントの責任者の方にチラシを配ってもらったんですが、まず「クリエイティブエキスポって何なの?」という話から説明しないといけないし、各店のブランドイメージもあるので難しかったのかもしれません。でも、ブリーゼブリーゼで発信するのは誰のためか?と考えた時に、テナントさんの売り上げの増加も見据えた上で企画をしないと、クリエイターやアーティストの一方的な発信になってしまいます。次回は、テナントさんも巻き込んだイベントを考えたいです。

川内

私たちが間に入るとクリエイターの皆さんの想いが伝わりにくく、今回はうまくいきませんでした。次回はもう少し早めから準備して、月に1度ある店長会に参加していただき、直接アピールする場を設けたいと思っています。

エサキ

「クリエイティブエキスポ」というタイトルがよくわからず、伝わりづらかったかもしれないですね。ブリーゼブリーゼで行なうクリエイティブとはどんなクリエイティブなのか? 何を目的としているのか? というところを明確にすべきだと思いました。

浅野

高山さんがおっしゃったように、クライアント的な発想でテナントさんとコラボレーションをするのもいいですし、一般の方というターゲットに対しての打ち出し方、宣伝方法などでまだまだ改善すべきことがあると思います。もっと中小の企業さんにデザインの重要さを知ってもらい、ブランドを高めるという動きをしてもらいたいですね。クリエイティブエキスポという名前についても、代替案があれば参考にさせていただきます。次回はまだ具体的に決まっていませんが、6月にやろうとか、10月がブリーゼブリーゼ3年ということで、何かイベントをしたいという話は出ています。ほかに、このイベントへの意見はありませんか?

大垣

私は、店舗と直接絡むというより、イベント自体を盛り上げて人が集まることで店舗にも還元できたらいいと思いました。「クリエイティブ」というものは実験的で、いまいち市場に上手く流通していない気がします。クリエイティブが社会で機能するよう促すために、すべての展示物に値段とストーリーをつけて販売し、マーケットを作ってみてはいかがでしょうか。提供する側にも責任が発生するし、見る側にも緊張感が出る。こもだるの展示も、どこでいくらで売られているかを、もっとしっかり告知すべきだったと思っています。

増永

だけど、マーケットとなると値段をつけるのが前提になってしまうので、メビック扇町の「クリエイティブを発信する」という部分がブレてしまうかもしれませんよ。

その着地点を決めるべきですよね。コンセプトをしっかり決めて戦略を練っていけば、目的がはっきりしてくると思います。

杉若

クリエイティブエキスポの方向性や集客の方法について、もっと早い段階から話し合いたかったですね。私たちはバタフライを商売としてやっているので、もし「クリエイターが各々の作品を出し合いましょう」という企画であれば出展しなかったかもしれないし。

花村

僕は場所の“必然性”に興味があります。その場所でしかできないものをクリエイトしたいし発信したい。そう考えれば、このクリエイティブエキスポをブリーゼブリーゼでやる時に、場所との関係の中でどう必然性を持たせるのかということについて、今後議論していけば良いのではないでしょうか。ブリーゼブリーゼでしかできないことが、店舗とのコラボレーションなのか、西梅田というエリアで捉えられるべきことなのかわからないですが、ここ固有の場所性を活かしたイベントとしての発信が、ひいてはこの街の文化に繋がっていくのではないかと思います。

増永

私は、活版EXPO 1のスペースが手狭でかわいそうだなぁと思いました。

高山

活版EXPO 1展示風景

最初はエレベーターを上がったところに出展しようという話で、展示とワークショップを別の場所でするつもりでした。それがダメになったんです。核になるイベントになると信じていたので、本当は1階でやりたかったんですけど。イラスト展にしても、正面ではなく脇からしか見られないのが悲しいですよね。

増永

各階の通路に展示が点在しているのがわかりづらいですよね。1階でのアピール方法が弱いので、どんなイベントをしているのかがお客さんに伝わらず、触れられずに帰ってしまう。

鈴木

クリエイティブエキスポという括りだけではなく、共通のテーマを設けて各展示に繋がりを持たせてはどうでしょうか。

浅野

スポンサー絡みの話もありましたので、次回は展示方法、PRの仕方から考えたいと思っています。会場設営を担当された大洋工芸の方は、ご意見ございますか?

澤田

イラストレーター展風景

今回は個々の部分で関わったことや、まったく関わりのないところもあり、全体が見えなかったところもありますが、弊社では、ヴィジュアルマーチャンダイジングというアプローチを使って、百貨店や商業施設での全体イベントの現場デザインや施行も行っています。次回はそういった経験も活かして、誘導なども含めた全体部分からしっかりと関わり、皆さんと一緒にお客さまに喜んでいただける現場を作っていけたらと思います。
海外ではクリエイティブなものを無料で見られる場所が当たり前に存在しているけど、日本では有料のところが多いんです。なので、今回のように無料でステキな展示を見ることができるイベントは大切だと思います。店舗の売り上げには直接繋がらなくても、集客に繋がっていくかもしれません。お客さんが集まれば、また違った空間の作り方ができます。

浅野

産経新聞社の渡辺さん、ご意見ありますか?

渡辺

もともとグループ社だったブリーゼブリーゼ(サンケイビル)さんと弊社がメビック扇町さんと関わり合いを持つことになり、それぞれが持つリソースを広げられないか、ということで今回の催しが決まりました。正直なところ、第一回はやってみないとわからなかったので、実は「やってみたらどうなるのか」が今回の大きなテーマだったのかもしれません。「クリエイティブエキスポ」という名前も、何が出てきてもいいようにと大きな風呂敷を広げた形。次回は、さらに細分化したテーマがあったほうがPRもしやすくなると思います。
私たちは、こちらの営業局で持っているクライアントさんと、メビック扇町の活動に参加されているクリエイターの皆さんとのマッチングを考えています。今回も営業の担当者には積極的に見に来てもらっているし、気になったクリエイターがいたら連絡してと伝えてあります。ただ、展示をしているのに連絡先がどこにも書いていないものがあったのが残念。そこからどうビジネスに繋げていくのかも考えていってほしいですね。ネタを探している人はたくさんいると思うんです。そのショーケースとして、クリエイティブエキスポをうまく使っていただけたらと思います。

浅野

ブリーゼブリーゼの立場として、サンケイビルの宮原さんにお言葉をいただきたいのですが。

宮原

我々も、最初は一体何ができあがるのか想像がつきませんでしたが、出来上がってみると実に素晴らしい企画でした。できれば2、3と継続していきたいと思っています。このミーティングで皆さんの想いや考え方が色々あるんだということも把握できたので、これから施設としてご協力、ご提案できることがたくさんあると思います。展示方法についても、1階を使う、エスカレーター前を使うなど、柔軟に対応できるように検討していきます。

浅野

今日はたくさんの方にお集りいただいていますので、他の方からもご意見、感想をいただきたいと思います。

佐藤

D+として参加させていただいている佐藤です。今回のこもだるは、商業施設で展示することを意識して作ったのではなく、制作プロジェクトが先に進んでいたのを持ってきたものなので、「商業空間ならではのイベントをしたい」という意見に思わずうなずきました。私たちの展示は一方通行でお客さんに見せているだけだったので、そこが物足りず、反省点ですね。D+の活動やデザイナーの活動を広めることによって、若い人たちが刺激を受けてデザイン業界が盛り上がるといいな、と常々思っているので、若い人が集まる場所でのイベントができてよかったです。

孝橋

明成孝橋美術の孝橋です。バタフライコンピレーションのパッケージを担当しています。私たちは、普段、お客さまが商品を選んで買う場面を見ることができません。今回、蝶という商材を一般の方にアピールする場に携わらせていただき、とても勉強になりました。このイベントを通じてお客さんにも何かを感じていただいて、ブリーゼブリーゼから新しい文化が生まれるようになれば、私たちにとっても幸せなことです。

村上

孝橋さんと同じく、バタフライのパッケージに携わらせていただいた村上紙器工業所の村上です。最初は蝶の標本をインテリアっぽくできないかと依頼があり、今回はそれに加えてレース生地を貼るという挑戦をさせていただきました。実験的にやってみたんですが、とてもおもしろい作品になったと思います。皆さんからクリエイティブの刺激をもらうことで、私たちの商品も単なるモノではなくなり、価値が上がるんだなぁと実感しました。

浅野

ブリーゼブリーゼ×メビック扇町のコラボがこれから発展した場合に、取り入れたいアイデアがあればご意見をお願いします。

花村

訪れたお客さん自身もクリエイティブに参加できる仕組みがあればよりおもしろいと思います。今回の活版EXPO 1では文字を拾って印刷体験出来るワークショップや好きな活字を選んでキーホルダーにするなどをしましたが、そうした参加者のクリエイティブなまなざしを拾う仕組みがもっとあれば、クリエイターだけのお祭りというようにはならないんじゃないかな。

エサキ

そうなんです。我々クリエイターからのメッセージが強くなりすぎても問題。アイデンティティは提示するべきだけど、6:4の6くらいはお客さんのクリエイティブとして考えないといけません。ほかではそういったイベントをしていないと思うので、どんどん取り入れていくべきです。

花村

訪れた方の“クリエイティブ力”を引き出す方法を、クリエイターがしっかり考えなければいけませんね。商業施設であるブリーゼブリーゼでは、展示を見に来るお客さんだけではないので、そういった方々が積極的に関われる仕掛けを作ることを意識すれば、ここでしかできないことが生まれる可能性があるのではないかと思います。

堂野

イラストレーター展風景

メビック扇町としては、大阪のクリエイティブマーケットを広げる、というテーマが大前提にあります。大阪には、眠っているダイヤの原石はたくさんあるし、クリエイティブの必要性を知らない中小企業もたくさんあります。その方たちは、クリエイティブに対してお金をかけるという考えがありません。実際に見たり体験することで、「お金をかけなあかん」と気づくことができるのです。ところが、「メビック扇町にはクリエイターは集まるけどクライアントは集まらない」と言われてきました。そこが何よりの課題だったんです。でも、今回はブリーゼブリーゼさんでイベントを行い、クリエイターと一般のお客さんとの接点を作ることができたので、大いに意味のあるイベントだと思っています。次回はもっと早めに、じっくりと準備をしたいですね。

浅野

イベントは残り1週間ありますが、出てきた課題をどんどん提示していただいて、次回に繋げていきましょう。

クリエイティブエキスポ展示写真撮影:福永浩二[BANDITS]

終わりに

オブザーバーを含めて約40名が参加し、3時間を越える熱いミーティングとなりました。イベントはまだ続くため、ミーティングが終わって早速「明日からこうしようか」とアイデアの導入を相談するチームの姿も見られました。そしてこの後は、ブリーゼブリーゼ6階の「かもめキッチン」にて皆さんお待ちかねの懇親会。川内さんを中心にアイデアがぽんぽんと飛び出し、実現に向けて本格的に動き始めた企画もあるようです。これから大阪が更におもしろくなっていくことは間違いありません!

BREEZE BREEZE × この街のクリエイター「クリエイティブ・エキスポ」

開催日

2011年2月11日(祝・金)~2月27日(日)
※2月21日(月)休

会場

ブリーゼブリーゼ(大阪市北区梅田2-4-9)

展示
  • 活版EXPO 1
  • バタフライ・コンピレーション・コレクション
  • D+ こもらぼプロジェクト
  • kon-gara展
  • イラストレーター展
ワークショップ

西梅田サロン文化大学
2月18日(金)19:00〜20:30 4F

トークセッション

生活を豊かにするデザイン
2月25日(金)18:30〜21:00 7F

主催
  • 大阪市
  • 財団法人大阪市都市型産業振興センター メビック扇町
  • ブリーゼブリーゼ
  • 産経新聞社
企画・運営
  • 関西活版倶楽部
  • (株)スマイルヴィジョン
  • (有)TTDESIGN
  • D+
  • REALJAPANPROJECT
  • kon-gara
  • 狩野哲也事務所
会場構成協力

(株)大洋工芸

イベント情報はこちら

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