イベントレポート

クリエイティブ・クラスター・ミーティング Vol.34

クリエイティブクラスターミーティングとは

ミーティング風景

大阪の各地で活動するクリエイター同士が知り合い、情報やノウハウを交換することを目的として開催されている「クリエイティブ・クラスター・ミーティング」。「この街のクリエイター博覧会4」との連動企画として各クリエイターの事務所をお借りして行ってきた座談会も、最終回となりました。制作やディレクション、プロデュースにまつわる現場での悩みや思いを本音で語り合い、お互いのスキルアップに繋げていただきましょう。

今回、ミーティングの会場となったのは、家具などのプロダクトやインテリアなどの空間デザインを提案する「ISOLATION UNIT /」。白で統一された事務所内には、ユニークな発想から生まれた時計や花瓶などが飾られています。今回のメンバーは、建築士、デザイナー、プロデューサーなど9名のスピーカーと、オブザーバー2名。海外にブレーンやクライアントを持つスピーカーが多く、今回の議論はインターナショナルな内容になりそうです。

開催日時

2009年11月25日(水)18:30〜21:00

スピーカー
  • 岩口 清吾氏「DELIGHT design studio.」代表

    岩口氏

    専門学校にてDTPデザインを学び、編集プロダクションや販促会社などで経験を積んだ後、'04年に「DELIGHT design studio.」を立ち上げて独立。飲食関係を中心に多彩な広告・販促企画を行う傍ら、西脇けいこ女史とのイラストレーターズユニット「nicoworks」としても活躍している。

  • 潟沼 裕平氏「balance

    潟沼氏

    グラフィックデザイナー。近畿大学産業デザイン学科卒業。広告代理店でのデザイン業務を経てフリーランスで活動を始める。'09年、同じくフリーランスの島田智之氏と共にデザイン事務所「balance」を設立。広告を中心としたグラフィックデザイン、アートディレクションのほか、企業のプロモーションやブランディングも手がけている。

  • 塩見 和代氏「(株)Kukkia」代表

    塩見氏

    '07年、子どもとその家族に向けた木のおもちゃブランド「gg*」を立ち上げる。その翌年、世界と日本の架け橋になることを目標とした企画生産会社「株式会社Kukkia」を設立。インテリアアイテムの製造およびメーカーのOEM業務をスタートさせた。主に木製ステーショナリーやブロック、食器やオブジェなどのOEM受託生産を行っている。

  • 下山 幸三氏「参(マイル)

    下山氏

    インテリアデザイナー。筑波大学在学中、音響エンジニアの松尾伴大、ソフトウェアエンジニアの甲斐健太郎とデザインプロジェクトを結成。卒業後は各自がそれぞれの分野で活躍しながらプロジェクトを継続。“人・モノ・空間を心地よく結ぶデザイン”をコンセプトに、様々なプロジェクトに尽力している。

  • タカハシ タケシ氏「takeshi factory」代表

    タカハシ氏

    アイデア・企画・文化の伝達人!global communicator(グローバル コミュニケーター)として活動を開始する兵庫県出身のクリエーター。San Francisco Art Institute を卒業後帰国。IT関連や外食産業,広告代理店などでデザイン制作や営業を経て2007年の七夕の日にフリーランスに。持ち前のフットワークの軽さと直感を大切に国内外の企業において活動の場を開拓中。

  • 藤田 豪氏「合同会社GOSiZE」代表

    藤田氏

    一級建築士。建築家高松伸氏に師事後、'99年に商業施設、ホテル・旅館、住宅などの幅広い空間を手がける建築設計事務所「合同会社 GOSiZE」を立ち上げる。日本特有の素材や技術を生かした建築デザインで、日本人の感性に訴えかける“美”を追求し続けている。'04年インテリアプランニング賞「国土交通大臣賞」など、コンペでの受賞歴も多数。

  • 古久保 ひかり氏「堂島リバーフォーラム

    古久保氏

    和歌山県生まれ。かねてからファッションコーディネーターとして日本とヨーロッパを行き来しており、'97年からニューヨークへ移住。3年後に帰国し、ファッションや音楽関係の仕事に携わる。現在は「堂島リバーフォーラム」のプロダクションマネージャーとして、魅力的なイベントを企画・発信している。

  • 南 啓史氏「(株)ライフサイズ

    南氏

    一級建築士。高校時代に読んだマンガに影響を受けて建築業を志し、大学と大学院で建築を学ぶ。卒業後は設計事務所に入社し、幼稚園や小学校、消防庁舎などの公共建築を担当。5年間の勤務の後、大学時代の友人である杉山貴伸氏が率いる「株式会社ライフサイズ」に合流した。現在は大学の非常勤講師も勤めている。

  • 柳原 照弘氏「ISOLATION UNIT / CO.LTD.」代表

    柳原氏

    プロダクト/空間デザイナー。大阪芸術大学デザイン学科を卒業し、'02年に「“TERUHIRO YANAGIHARA/ISOLATION UNIT”」を立ち上げる。'08年に「ISOLATION UNIT / CO.LTD.」を設立。オブジェクトが完成するまでの過程を含めた“デザインする状況をデザインすること”が重要と考え、創造力豊かなデザインを生み出し続けている。

ミーティング風景

柳原

今回進行役を務めさせていただくのですが、実はトークテーマを決めていません。いわゆるデザイン事務所ってクライアントからの依頼があり、目的がある中でプロダクトを作り上げていくことが多いですよね。でも、僕たちアイソレーションユニットは、そういうプロセスを踏むデザイン事務所ではないんです。というのも、考えて作り出されたものはあくまで結果であり、そのプロダクトが生まれるまでの経緯がすごく重要だと考えているからです。
これはグラフィックデザイナーの三木健さんに教えていただいた言葉ですが、ヴァールブルクという人が説いた「良き隣人の法則」をご存知でしょうか。例えば本棚があったとして、本のジャンルをアーカイブ化して綺麗に並べてあると、自分が探している本しか見えないですよね。でも、バラバラに並べてあると、自分が欲しい本とは異なる本にも興味が沸くかもしれない。僕の作品の一つであるキャンドルホルダーも、「キャンドルホルダーを作ろう」と思って作ったのではありません。ミラノでおこなったデザイナー合同展で捕色を使うというテーマをいただいた時、補色に対してストーリーを考えていくうちに結果的にキャンドルホルダーになったというわけです。
普段考えていることがどこかに繋がり、その結果がアウトプットされて商品になる。今回のミーティングも、そのようになればいいなと思っています。僕らのモノづくりのストーリーを意識してもらいながら談義し、この時間の中で何かが生まれることを期待します。

それでは、一番最初だけ僕からテーマを設けます。
「なぜ今、大阪にいて、このテーブルに座っているんですか?」
今日、僕がお誘いした下山さん。「参」の残りのメンバーは東京にいますが、なぜ下山さんは大阪で仕事をしているんですか。

下山

私が大阪にいる一番の理由は、妻がいるからです(笑)。私は大阪出身ではありませんが、縁があれば流されてみようと思いながら生きてきました。そうして流れ着いたところで自分に何ができるかを模索するため、人と人との出会いが重要と感じ、このミーティングに参加したんです。「参」での業務も、関西担当は僕、ほか2人が関東担当と分けられるので、結果的に活動のテリトリーが広まってよかったと思いますね。東京にいる2人は昼間に別の仕事をしているので、朝一にスカイプを使ってミーティングしたり、ネット上にオフィスをもったりして活動しています。

柳原

場所にこだわるよりも、流れに身を任せてその状況を楽しもうということですね。メンバーが離れて活動している「参」は、とても特殊な形態ですね。

藤田

最近、「東京で仕事をやりませんか」というオファーがあり、事務所を東京に移そうかどうかすごく悩んでいます。僕にとっては場所選びってすごく重要で、自分の波長に合った土地でじっくりと考えながらプロダクトを作り出していきたいと思っているので、下山さんの意見はとても新鮮でした。国内で一番好きな沖縄に行くという案も考えているのですが……。

柳原

それは、クリエイションのための場所選びが重要ということですか?

藤田

はい。その場所に身を置いて考えることが大切だと思っています。建築の場合はいろんな場所に建てるので、現地で考えたことを持ち帰り、自分の気持ちが安らぐ場所で改めて考え直す作業が必要。その場所が今は大阪だけど、最終着地点をどこにしようかで悩んでいるんです。

潟沼

建築の業界のことは詳しくわからないんですが、大阪にいながら違う土地の建築をやれるんですか? 住んでいるところ以外の建築って、やり辛くないんでしょうか。

藤田

奄美大島の住宅を建てるときは、やはりほとんど奄美に住みましたね。現地の大工さんに相談しつつ、周りの人とわいわい話し合いながら作り上げていくのが楽しかったです。

潟沼

僕は今、京都の商業施設の広告をやっているんですが、京の美意識って凝り固まっていて、京都の人はそれに飽きているんじゃないかと思うんです。でも、よその土地の人間には現地の人の本当の思考はわかりませんよね。だから、地域にいないとその地域の仕事ができないのかなぁと思って、まさしく今行き詰まっているところなんです。

ミーティング風景

ミーティング風景

柳原

海外と日本を行き来されている古久保さんは、その辺はどうお考えですか?

古久保

私は下山さんと同じで、どこに住んでいようが同じだと考えますね。ただ、魂は大阪に残して、気持ちだけはいろんなところに飛ばす。そうしていれば、世界中からいろんなものが集まって来ると思います。相手のことを無理やりに理解するのではなく、教えてもらうんです。

柳原

僕は何でもやると言いながら、住宅は断っています。なぜかというと、そこに僕が住むわけじゃないから。商業施設の場合はクライアントの要求以外のものが作れる自信があるけど、住居は住む人が満足できなければ意味がない。住居以外の仕事では、京都を客観的に見ることができる立場は逆に大切なので、その土地に住むすまないは問題じゃないと思います。

下山

自分は変えられませんからね。例え数年住んだってその土地の人にはなれないので、コミュニケーションをとって近づいていくしかないですね。

岩口

僕の場合は、クライアントから「焼肉店をやるので看板のロゴマークを描いてください」と依頼があってそれに答えるのが仕事なので、柳原さんとは違うんだなぁと思って話を聞いていました。向こうが2しか伝えて来なくても、それを10にするために全力を注ぐのが、僕たちデザイナーの仕事じゃないかと思っているんですよね。

下山

私は大学で非常勤講師をしているのですが、その授業の一環として器を作る課題があります。ですが、いきなり器の設計をするのではなく、器とは何か、なぜ器を作るのかのストーリーを考えてもらった上で設計してもらいます。その結果、器に行き着かなくてもいい。そういった授業をしています。柳原さんがしていることは、それと近いかもしれません。

柳原

そうですね。建築の依頼が来ても、それは本当に建築が必要なのか、ということまで一緒に考えたい。ライフサイズさんは建築設計事務所なので、まず設計しないと業務にならないですよね?

そうなんです。柳原さんが言っていることは僕もやりたいことなんですが、それを成り立たせるためにはまず業務(設計)をしなければいけません。それを業務にするにはどうしたらいいのかを知りたいです。

柳原

建築事務所でアルバイトをしていた時、肩書きを“建築家”にすると建築をしなければ自分の立ち位置が定まらないことに気づいたんです。その反面、“デザイナー”って曖昧な感じだけど、建築をしようが建築をやめようが、生活をデザインすることはできますよね。

すると、クライアントから自分がやりたいこと以外の依頼が来た場合はどのように対処するのですか?

柳原

クライアントからの依頼はほとんどありません。依頼を待つのではなく、自分たちのやりたいことを考えて、それをカタチにできる場所を探すという風にしているんです。依頼があったとしても、求めているものと僕らが思っているものが違う場合は、一緒に考えながら方向性を修正します。デザイナーって、プロジェクトが立ち上がってやることが決まった段階で仕事が来るのが普通ですが、僕はプロジェクトの段階で関わりたいんです。プロデューサーやディレクターじゃなくて、デザイナーとしてそこに関わりたい。

やりたくない仕事を頼まれた時は、どうしているんですか?

柳原

やりたくない仕事っていうのはほとんどないですね。自分の気持ちの転換で、やりたくないことをやりたいことに変えることはできますから。

下山

最近テレビで見たんですが、中学校の理科クラブでやっている授業がとても面白いんです。箱の中にいろいろなものが入っていて、それを見ながら「なんで?」と思うことを5分以内に書けるだけ書き出していくという訓練。わからないこと、不思議に思うことを探すって面白いですよね。わからないということをわかることが、とても大切だと思います。

柳原

そうなんです。この時計を見てください。時計ってそもそも何のためにあるのかを考えると、“時間”という見えないものを視覚化しているアイテムです。この時計はただの丸に見えますが、針代わりにポストイットを貼ると時間が動いているという事実に気づくことができる。時間は動くものなんだと再認識できる時計なんです。これが、うちのアプローチの象徴です。

ミーティング風景

タカハシ

僕はずっとサラリーマンでデザインをしていましたが、自分が楽しくないことはしたくないからフリーランスになりました。フリーになってからは、ハードルが高い相手にも自ら電話をかけて会いに行ったりと精力的に営業活動をしています。
大阪で仕事をすることは、直感で決めました。僕はワガママだし第六感で動くタイプだけど、行こうと決めたところでは何かしら結果が生まれてきています。この夏にフランスに行く機会があって、パソコンさえあれば向こうでも仕事ができると思って渡仏したんです。そこでたまたま僕の名簿を見た人から、トイレに絵を描いてほしいと依頼されました。「南フランスのイメージに合うように」、「この色は使って」と細かい縛りもありましたが、その中で自分の表現方法を探して、不思議な縁を感じることができましたね。

柳原

そのタカハシさんの経験は、藤田さんの悩みと繋がるところがあると思いますが、どうですか?

藤田

皆さんの話を聞いても、場所ってやっぱり大切だと思います。自分が納得できる場所で、お客さんが納得できるものを作っていきたい。

柳原

場所にすごくこだわっている中で、なぜ大阪を選んだんですか? 話を聞いていると、本当は場所の問題じゃないんじゃないかと思うんです。

藤田

確かに大阪は利便性で選びましたね。以前、沖縄で家を造りたいと思って沖縄の人に意見を聞くと、「雨と風さえしのげたらいい」という程度の認識だったんです。東京の人は見ため重視で細かいディティールにまでこだわりを持っている人が多いですが、沖縄に行って考えていると、細かいディティールにこだわることは生活において本当に必要なことなのかと考え込んでしまうんですよね。

古久保

すごくわかります。答えはないんじゃないかな。シンプルに生きることと、こだわることの2つを持ち合わせていていいと思います。ディティールにこだわっても、藤田さんのピュアな部分が出るはずだから。人柄ってすごく大切で、デザインはその後。藤田さんから人柄の良さがビンビン伝わってきますよ。

ミーティング風景

ミーティング風景

柳原

塩見さんの場合はいかがですか?

塩見

うちはパートナーが東京にいるので、やりにくい部分は多少なりともありますね。パートナーは東京でデザインをしていて、海外との交渉はすべて私がやっています。彼女のデザインを生かすには、工場の人にきっちり説明をして細かいディティールを伝えなくてはいけない。最初に上がってきたサンプルではデザイナーが満足しないケースが多いんです。パートナーには少しでも工場のことをわかってもらわなくてはいけないし、工場の人たちには日本のお客さんがいかにデザインにこだわっているかを伝えなくてはいけない。だから、頻繁にベトナムと中国の工場に足を運んで指導しています。最初は一緒に東京でやろうという話があったんですが、やっぱり生まれ育った大阪が好きだったから大阪にいることを選びました。ベトナムにもアパートを借りて、いつでも行けるようにしています。私の仕事は、どこにいてもできる仕事なんですよね。

潟沼

僕は、目と目を合わせてお客さんの意見をしっかりと聞いて仕事をしたい。東京の仕事だと何度も足を運ばなくてはいけないので、必然的に関西の仕事が多くなりますね。だから、フランスで住んでいればフランスの仕事しかできないんじゃないかなって思うんです。広告の仕事って、クライアントとのコミュニケーションがすべての鍵を握っているので。

岩口

確かに、僕も広告代理店と仕事をすることがあるので、よくわかります。実際に相手と会ってコミュニケーションがとれないと、不安になりますね。やるからには100%にしたいし、相手とフィーリングをしっかりと合わせたい。納得行くまでがっつり話し合った後は、トラブルも少なくなります。

柳原

僕は、海外でいてもコミュニケーションがとれると思うんです。会う回数は減るかもしれないけど、1回のミーティングで深いコミュニケーションがとれれば、距離は関係ないんじゃないかな。

下山

僕も、クライアントと相思相愛であれば、会う回数は関係ないと思います。「あの人と話したい」と思ったら、絶対話せるじゃないですか。そう思った瞬間に、気持ちの中のボールが相手に向かって転がっているから。だから、直感ってすごく大切だと思います。通常は互いのボールが出会っていいものが生まれるんだけど、広告の場合はそれが向いてないのになんとかして、というクライアントが多いんでしょうね。その矢印をこっちに向けるために何度も会わないといけないのかなぁと、話を聞いてて思いました。

柳原

その人を知ろうと思えば、相思相愛になれるんです。それは、ボールを投げているのを相手が察知してくれるから。

下山

そういえば、「やってみたいね」と言っていた企業から本当に話があったんです。会いたいと思えば会えるんだなぁと思いましたね。

古久保

そうなんですよ。私がNYで住んでいる時に、仲のいい子が2人いました。ひとりは香港の女の子、もう一人は日本の男の子。バラバラになるときに2人の連絡先を聞いたんだけど、帰国してすぐになくしちゃったんです。まったく連絡が取れなくなって数年が経ち、そして今年、この3人がたまたま同じ場所で再会したんです。東京の美術館で、15分の間に3人が会ったんですよ。信じていれば、何事もいい方向へ行くんだと思った出来事でした。あと、私は自分がいる場所に100%愛情を注ぐことをテーマにしています。大阪に愛情があるから、魅力的なイベントをどんどんやりたくなるんです。今年の夏に開催した「堂島リバービエンナーレ」を見に来てくださった方いますか?

柳原

行きました。ちょうど同じところで「DESIGN EAST」というデザインイベントをしていたので、立ち寄りました。大阪ってデザインのイベントが無いんですよね。無いんだったら自分たちで作ろうよ、ということで「DESIGN EAST」を立ち上げました。

藤田

「DESIGN EAST」では無印良品のデザイナーが来て話をされていたんですが、大阪で活躍しているデザイナーの講演にしなかった理由は?

柳原

大阪は昔から自分たちのものを発信する発信力はあるんだけど、受け入れ所がすごく少ないんです。だから、まずは大阪に、世界基準の状況を受け入れられる場所を作ろうと思いました。僕らも含め、大阪発のデザインの展示は一切しませんでした。これで終わりじゃなくて、あのイベントを見た大阪の人たちが、どう編集してどう発信していくのかということに本来の目的があります。以前、ミラノで見た日本のデザインがシンガポールに負けていたんです。その事実をまず認識しなければいけないと思って、デザインのイベントを企画しました。大阪のイベントが少ない原因は、僕らにありますよね。

ミーティング風景

タカハシ

正直、文化的レベルを上げるのはそう簡単なことではないと思う。海外や東京のものを持ってきても、土壌を簡単に変えることはできないんじゃないかなぁ、と個人的には思います。

柳原

それを、僕はやれるんじゃないかと思って「DESIGN EAST」を立ち上げたんです。場所や予算が決まったものって、エモーショナルじゃないから興味が沸かないんです。そんなものが多いから、大阪が面白くない町になってしまっている。イベントの結果、エモーショナルなものが集まることでやはり変われる可能性を掴んだと思っています。

古久保

うちのイベントも、大阪のお客さんはほとんどいなかったです。東京、北海道、九州のゲストが多かった。だから、タカハシさんの意見もすごくわかります。でも、何もやらないよりは小さなことでもやるほうがいいから、イベントをやっているんです。

柳原

僕も、正直言って諦めてました(笑)。自分の居場所は大阪には無いんだと思って、ミラノやスウェーデンでイベントをやりました。でも、ミラノやスウェーデンも元からデザインの文化があったわけじゃなくて、現地の人たちが自分で作り上げたものだったんです。じゃあ、大阪でも諦めるんじゃなくて、自分たちで作ればいいんだと思ったんです。

タカハシ

そうやって何かを変えたいというエネルギーがいろんなところで沸々と涌き出てきたら、少しずつ変わるかもしれないですね。海外の人に「大阪ってどんな町ですか?」と聞かれても、何も答えられないんです。飛行機で早朝の便で大阪に着いても、店が開いてなかったりバスが走っていなかったりして、ショッピングも夜中までやっているところはない。国際都市と言うわりにはイケてない部分が多いということを、みんなもっと突けばいいのにと思います。なかなか突けないんですかね。

柳原

突けるはずなんです。言うか言わないかの違いだけ。突いてみれば何か変わるかもしれないのに、言っていない。どれだけ自分たちが今いる場所を想っているか、なんですよね。

下山

大阪って食べ物ブログが圧倒的に多いんですよね。やはりそれだけ食に対して関心があるということで、そこは面白いなぁと思います。ミラノサローネに行くと、ママチャリのおばちゃんやおじいさんが普通に見に来ているんです。でも、大阪ってデザインを対岸の向こうのものだと感じている人が多いような気がする。だから、イベントもずっと続けていかないとなかなか一般の人たちに浸透しないと思います。

柳原

でも、浸透することばかり考えていると「やっぱり無理じゃないかな」と思ってしまいます。大阪の人たちが自分たちの文化を楽しんでいるのであれば、僕たちもまず自分が楽しめる環境を作ろうと。それくらいに思っていなければ続きません。なんだかまとまりのない話し合いですけど(笑)、最初に言った「良き隣人の法則」で、なんとなく繋がったんじゃないかなぁと思います。

古久保

困ったことがあれば、互いに助け合えるような繋がりになれたらいいですね。

塩見

私は今後、子ども向けのワークショップをどんどんやっていきたいと思っているんです。

柳原

僕も、子ども向けの事業をやろうとしていますよ。木製家具メーカーに向けて、家具がどういう形で育ってどういう流れで流通して家具になったのかを、デザインを通して子どもたちに伝えるのがブランドとしての責任じゃないかと提案したんです。海外では森の中で勉強することもありますよね。それと同じように、木製家具ができるまでのストーリーを子どもたちに伝えたいと思っています。

塩見

素敵ですね。あと、子どもたちにわかりやすく、かつ「これなんだろう」と思えるようなアイテムを作りたい。

柳原

そういえば、これも三木さんの話ですが、子どもたちに、ウサギがどういう動物かを話し合ってもらった上で絵を描かせるワークショップを教えていただきました。話し合って“ウサギにはふわふわの毛がある”ということを認識すると、輪郭ではなくふわふわの部分から書き始めるんです。考えることでインスピレーションが磨かれるんですよね。

下山

子どもが来るということは親も来るから、親に対してのワークショップにもなりますよね。そこから広く浸透していくといいですよね。子どもと一緒に何かやると達成感もあるし。

柳原

ということで、みんなでプロジェクトをやりましょう!

ミーティング風景

おわりに

テーマを設けないという珍しいカタチで進んだ今回のミーティング。一つの発言に対して様々な方向からの意見や提案が飛び交い、思わぬところに繋がって派生していくこともありました。「良き隣人の法則」で、皆さんはどんな発見をされたのでしょうか。この後は、古久保さんが勤務する「堂島リバーフォーラム」のカフェに移動し、二次会がスタート。ここからまた、新たなプロジェクトが生まれることに期待しましょう!

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