「クロスポイント」は、プロモーションやブランディングに関心がある市内中小企業に対する、この街のクリエイター取材班によるインタビュー記事です。

各分野のデザイナーと組みアクリル加工の可能性を広げる
(株)松岡工芸×(株)ライフサイズ

取材前の打合せでお伺いした際、アクリル製品で何か制作物の要望はありますか?と社長の松岡氏より質問をいただきました。そこで「ブックエンドを」と、お願いすると、1週間後には見事完成。なんと本を支える片面は制作者の「手のひら」が原寸大で型取られ、一方はキリンという仕上がりに。ユニークで柔軟な発想がものづくりのカギという松岡工芸さんの姿勢が垣間見られた気がします。「クライアントからどんな要望がきても、あきらめず必ずやりとげる」それがポリシーだといいます。

今日はその作品を製作してくれた松岡工芸さんの若手実力派の長原さんにお話を伺いました。まだ25歳の若さ。よく笑い、よく話される長原さんに同社の社風が重なります。聞き手は、建築設計・空間デザイン事業を手掛ける株式会社ライフサイズ代表の杉山貴伸氏。イベントや展示会でアクリルを使用する機会も多いとあり、目を輝かせての対談となりました。

アクリル製ブックエンド

長原氏

オンリーワン技術が強み

杉山

アクリルでこんな色が出せるんですか?

長原

色はうちの特徴でもあるんですよ。薄い板への染色加工は他でも可能ですが、ある程度の厚さになると既製品では探せなくなります。例えば、レーザーで内部を砕き、絵を描き、中心に染色していくことがあります。カラーサンプルを見て調整していくのですが、微妙な色を表現できるかは、技術力もさることながら、言葉にしづらい色の世界を奥深く表現していく、センスのようなものが必要なんです。

杉山

技術と発想力ですね。

長原

何でもつくりだせますよ。図面がはっきりしていなくても、創造力を発揮すれば可能です。建築系、工業系のデザイナーだけでなく、異分野のデザイナーとも組もうとしています。今までも、和紙メーカーと組むなど斬新なものを生み出してきましたから。

杉山

アクリルの強みとは何ですか?

長原

アクリルの良さは、透明感、加工しやすさ、きれい、軽い、安全性です。ガラスなら割れたときに散らばる破片が、アクリルなら心配はない。近年この特性に注目が集まっていて、ニーズは拡大しています。

杉山

大小様々なものに対応できるということですが。

長原

これは、アクリル版の無垢材(アクリルの塊)で、重さは150キロくらいあります。アクリルの特徴が出せるものならサイズは関係ないんです。一度切り出してしまったものは、元には戻せないという緊張感はありますが要望に応え続けています。

アクリル加工品

技術者たちは目を輝かせて開発に取り組む

杉山

技術開発力の源はどこですか?

長原

楽しくなかったら仕事じゃないですからね。好きなようにさせてもらっています。ただ、正直接着面と断面は難しいです。でも、会社にはアクリルの破片や塊がところ狭しと並んでいますから。市場では考えられないような高価な材料もここでは使いたい放題なんです。失敗してこそ成功の道は開かれるとばかりに、僕らはいろんなものを試作しています。

杉山

加工は自社工場でやるのですか?

長原

奈良にはサイズの大きなものを加工する工場があります。染色加工で使う機会も自社製です。ただ使いこなすのは人間ですから、応用は一人ひとりに任されています。やり方がいろいろあって面白いですよ。アクリルプレートの加工、長尺4m以上のランニングカットがうちの主力で、アクリル・ポリカーボネート・ペット類の染色加工NCルーターによる精密加工をやっています。

工作機械アクリル板

杉山

東京に進出されるとお聞きしましたが?

長原

引き合いの多い、東京で本格的に始動するため所長として赴任するんです。それも、社長と「東京のほうがチャンスありますよね」「ほな、お前行ってこい」と話が決まったんです。でも、このスピード、ノリがうちの強みですから、頑張ってきます。

杉山

長原さんの名刺は、QBと書かれてますが?

長原

クウォーターバックです。アメフトでいうところの攻撃の司令塔。経験があるわけではないですが、自分が何をしたいのかクリエイティブに発想してつけました。ここら辺も自由なんです。

クリエイター×株式会社松岡工芸=業界を超えて新しいものが生まれる

杉山

もともと、医院や病院で不可欠な錠剤ケースや調剤設備器具などが80%だとお聞きしましたが?

長原

安定した技術力が評価されてのことですが、今は、建築、インテリア、アパレルなど、そのニーズは多様です。まだ誰もやったことのない製品づくりを目指し、今日もみなで試行錯誤しています。メビックのクリエイターさんともいろいろ組める気がします。一緒にいろんなものを仕掛けたいですね。

杉山

そうですね。まだまだアクリルの用途を想像できていない部分もありますし、相談先もなかった。これで、可能性が広がります。ぜひ、組ませてください。

取材班

(株)ライフサイズ 杉山 貴伸氏

文:(株)ビルダーブーフ 久保 のり代氏

クロスポイント Vol.6 公開:2008年11月04日

(株)松岡工芸

住所

大阪市生野区巽南5-14-6

URL

http://www.puraban.com/

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