
「クロスポイント」は、プロモーションやブランディングに関心がある市内中小企業に対する、この街のクリエイター取材班によるインタビュー記事です。
化粧品のOEMメーカーとしてさまざまな商品を開発・製造するほか、近年は多くの自社ブランドも展開するセレス。1953年の創業以来、業績は右肩上がりの成長を続け、今では月産200万本を越えるまでになりました。今回は、取締役と営業部のマネージャーを兼ねる村井敦さんにインタビュー。“OEMの常識”を打ち破った、セレスの強みとは……? 公私にわたってお付き合いのある、株式会社ゼック・エンタープライズの長尾さんが、梅田にある同社のオフィスを訪ねました。

熱心に話してくださった村井さん

聞き手の長尾氏(手前)と意気投合
いきなりですが、この応接室、いつ来てもすばらしい眺望ですね。
あ、そうですか? 梅田に本社を移してもう15年近くになります。でも、いいオフィス空間という点では長尾さんの会社も素晴らしいですよね。特にエントランスの辺りが(笑)。
エントランスは会社の顔だと村井さんに教わりましたから。セレスさんは立派なオフィスだけでなく、化粧品メーカーとしては国内最大規模の工場を三田市にお持ちですよね。

広大な敷地を誇る三田工場
これまで以上に商品開発に力を注ぎたくて、製造業のメッカ・東大阪から自然豊かな兵庫県の三田に自社工場を移転したのが6年前のこと。三田工場は総敷地面積42000㎡もあって、当初は僕も何度か迷子になりました(笑)。でも自慢するとすれば広さじゃなくて、工場の機能です。研究室、製造部、生産部、品質管理部、管理部の5つのセクションを持ち、必要なセクションには無菌状態のクリーンルームを備えています。会社の前身は大学の小さな研究室でしたから、そのころから比べると大きくなったなぁと思いますね。
大学の研究室からスタートされたんですか。

工場内の設備も充実する
ええ、先代の社長が大学の研究員だったんです。研究室でパーマ剤や美顔ナイロンパックなどを開発し、商品化を進めました。1950〜70年代にかけて、発毛・育毛技術なんかも含めてとにかく特許を取りまくったと聞いています。その後、徐々に基礎化粧品や頭髪化粧品の割合が増え、現在は化粧品、医薬部外品をメインに、消臭剤やペット用品などの開発・製造も手がけています。
それなら開発技術や品質は折り紙つきですね。
おかげさまで20年近くのロングセラー商品がある一方、注目の素材を使った新商品の開発にも積極的に取り組んでいます。今、オリジナル製品としていちばん力を入れているのは、金や白金をイオン化して水に溶かした「純金イオン水」、「白金イオン水」といったの独自素材を使った化粧品です。純金イオン水の抗酸化作用はビタミンCの約25倍、白金イオン水でも約3倍の抗酸化作用が期待できるんですよ。これらは先代の残した技術なのですが、大阪市立大学と共同で研究を進めているのです。また、アメリカなんかでも学会で発表したりしているので、今後の展開が楽しみな商材になりますね。
うわ、なんだかすごそうですね。やはり、御社の強みは技術力だと?
もちろん技術力は自負していますが、それだけではありません。昔は顧客のリクエストに技術で応えるという完全な受注型の体制だったのですが、1990年ごろから企画提案型にシフトし、販路の拡大を図りました。以来、顧客のニーズや戦略に基づいた商品開発のために、市場調査から商品企画まで、総合的なプロデュースをお手伝いしています。
OEMメーカーとは思えないですね。
まだあるんです。商品企画や販売促進にはパッケージ製作をはじめとするブランドのイメージ戦略が欠かせませんよね。そういったクリエイティブワークを手がけるデザインチームもグループ内に作ってしまったんです。正確には「セレスコムテック」という会社になりますが。近年は、顧客のインターネットビジネス支援も行っていますね。
じゃあ、このハイクオリティなパッケージも御社で制作していたんですか!
化粧品とデザインは切っても切れない関係ですから。弊社のキャッチフレーズ『美と健康を化学する』をエンドユーザーの方に伝えるには、まず商品のデザインでイメージしてもらわないといけない。だからどの商品も、パッケージや販促物のデザインにはかなりこだわっています。「パッケージのここをもっと細くしてみたい」とか「グラデーションをかけてみたい」とか、グループ内でデザインをこなすことによって、痒いところに手が届くという感じでしょうか。

オリジナルの新商品「アボージェ」シリーズ

フルーツ酸配合の「アルファ」シリーズ
どこにも隙のない体制ですね…。
商品企画や販売戦略を手がけるセレス、商品の開発・製造から物流までを手がけるセレス研究所、そしてデザインを手がけるセレスコムテック。これらグループ3社のネットワークによって、関わるすべての人間の意思統一、納品までのスピードとコストの圧縮が実現します。こういう体制を擁するOEMは、そんなに多くないと思いますよ。オリジナル化粧品のメーカーとしては、いわゆる大手メーカーさんには勝てない。それならOEMとして、国内トップメーカーになろう。それを目標に、さらなるサービスの向上に努めているところです。
なるほど。いろいろうかがったお話のなかでも、僕としては、セレスさんがクリエイティブな会社だとわかったことが一番うれしいです。ぜひ今後、メビック扇町のクリエイティブクラスターにも関わっていただきたいですね。今年の『このクリ博』、一緒に何かやりましょうよ!
はい、うちでよければぜひお手伝いしたいです。具体的な企画が出揃ったら、声かけてくださいよ。お電話待ってます(笑)。

展示ルームに場所を移して談笑する両氏
クロスポイント Vol.2 公開:2008年08月27日
聞き手:(株)ゼック・エンタープライズ 長尾 朋成氏
文:プレス・サリサリコーポレーション 岸良 ゆか氏
大阪市北区西天満4-14-3
住友生命御堂筋ビル11F