和研工業(株)× 情熱の学校

会社、商品、そして、人を。クリエイターとの二人三脚で進めるブランド化。

「和を以って研究する」。明確な企業理念を持つ、自動車用品専門メーカー『和研工業株式会社』。理念をもとに自社をどうブランドとして立たせていくかを考えていた代表取締役・松下弘氏が、情熱ブランディングプロデューサー・エサキヨシノリ氏と出会った。理論派の松下氏にエサキ氏がぶつけたのは、「会社の空気をデザインすること」と「人をデザインすること」だった。エサキ氏との出会いによって視野が広がったという松下氏は、今春、新卒採用した3名の新人を、それぞれブランドとして育てることに情熱を傾けている。

取材風景

言葉化した理念を行動に変えていくなかで掴んだ新しい視点。

松下

産創館でブランディングについてのセミナーを受講したのがエサキさんとの出会いでした。今から5年前、二代目として会社を継いで、カリスマ性でやってきた創業者に対し、自分はどう会社を牽引していくかを考えて。そうだ、理念の言葉化だ!と。で、セミナーを受けて、創業来続けてきた姿勢から、言葉として立ち現われた理念が、「和を以って研究する」でした。

エサキ

次に、その理念を、商品にどう落としていくか、ということになって。

松下

そう。そして相談に乗っていただいたのが、自社のオリジナル商品第一弾として開発していた、ナンバープレート用のカラーフレームを、和研工業のプライベートブランド(以下PB)としてどう打ち出していくかでした。で、ネーミングのところからエサキさんにお願いして、出てきたのがこれ!(と「キラチョビ」のフライヤーを指す。)

エサキ

これです!

「キラチョビ」フライヤー表 「キラチョビ」フライヤー裏
松下

最初見た瞬間は、えっ、これっ!?っと(笑)。「キラチョビ」て、と驚きました。チョビヒゲつけたカラーフレームが、キラキラ輝いている。これか~、と。それまでこういう遊び心は、まったくなかったんです、私たちには。車という男性主流の市場はカッコよさが常套で、女子が遊ぶおもしろかわいい、っていうのはなく。何だ!?と。

エサキ

広告のセオリーです、違和感。お客さんの、「ナニこれ!?」を刺激する。

松下

その前に、私が「ナニこれ!?」と刺激を受けました(笑)。仕様とか使い方とか、商品について私たちが言いたいと思うことの説明はほとんどなくて、「キラチョビ」と一緒に、うちの社員たちが楽しそうに登場していた。

エサキ

エサキ氏

商品説明ではなく、「和を以って研究する」和研工業という会社が、「キラチョビ」という商品を通して届ける楽しさを伝えようという発想でした。松下さんはすごく勉強家で、ブランディングについての知識がすでに頭にいっぱい詰まっていた。なので、その理論を、体験の中で松下さん自身のものにしていただこうと。

松下

エサキさんに乗せられて、社員皆が自社PB商品「キラチョビ」を真ん中にまとまり、おもしろがりながらこれを作っていましたね。

エサキ

乗せさせていただきました、さあ、みんなでやろうや!と。お酒の飲めない松下さんに代わって、皆さんと飲んでね(笑)。会社の空気をクリエイトしていました。

松下

「キラチョビ」という名前と「おもしろかわいい」という個性を与えられたことで、商品自身が語りはじめたという感じでした、イマジネーションを刺激された社員たちのなかで、ストーリーが広がっていくというんでしょうか。そういう風に、自分たちの言いたいことの枠を超えて、商品の個性が一人歩きをして発信力を持つ。これがブランド化の本当の価値なのかと。新しい世界を見つけた!という体験でした。

人をブランド化するという試み。

エサキ

和研さんには、この春からの新入生が3人いるんですよね。

松下

はい、彼らです(と、対談に同席していた3名をあらためて紹介)。カリスマ創業者からバトンを受け取った二代目の責任は、会社を、人が入れ替わっても存続する組織にすることだと考えて。ファミリーから組織へと舵を切り、新卒採用で一から人材を育てることに決めました。

エサキ

町の中小企業が素晴らしい人材と出会うために、どんなメッセージを発信しましたか。

松下

いわゆる条件とかそういうことよりも、私の思いを伝えました。和研工業株式会社というところは、今何を考え、これから何をどうやっていきたいかについて語りました。会社のコンセプトをしっかり伝え、どんな人が欲しいかを明確に伝えた。思いを同じにして、一緒にロマンを追いかけてくれる人と出会いたかったから。

エサキ

そして出会った彼らをいま、ブランド化しようとしてらっしゃる。

松下

また、エサキさんに乗せてもらってます(笑)。

(乗せられている3名、にこにこ顔で頷いている)

松下

会社や商品のブランド化と同じように、人のブランド化も重要だと思うんです。業績のあがっている会社というのは、総じて人がしっかりしている。個人個人が考えを持っているんですね。人件費はコストではなく投資だと思うんです。指示待ちをしているのではなく、自分たちで考え動いてくれる人、独立したブランドとなる人たちが会社を支えてくれるんだと。

エサキ

分かります。

松下

で、入社と同時に、エサキさんに彼らのブランディングをお願いししました。

エサキ

入社したての熱い思いを言葉化するところから始めて、いま、それぞれその思いを自分のキャッチフレーズにして名刺にも入れてるんですね。ちょと、それぞれのキャッチフレーズの紹介をしてもらいましょか。自分のブランド化についての感想も交えて。

  • 大田久仁子さん

    【「あったらいいな」を「あって良かった」に。私はあなたのコンシェルジュです。】
    営業として成果を上げる上に、自分のブランド化をということで、えーっと。正直アップアップしました(笑)。けど、エサキさんが自分の中の思いを引き出して、引き出して、引き出してくださって、明確な言葉になった時、自分のすることがはっきり見えました。何をするのか、どう動くのか。自分のするべき仕事が自分の目で、はっきり見えました。

  • 村田篤郎さん

    【真面目んどくさい人。でも味のある男。】
    自分とは何ぞや、ということを突きつけられました。エサキさんと話してるうちに、自分という人間が見えてきて、そうか、自分は真面目でめんどくさい人間やったんやと。それで「真面目んどくさい」とつけました。そういう人間としてやっていくんだと。へこむようなことがあっても、自分で決めたコンセプトを行動の指針にして、自分の方法を見つけられるようになりました。

  • 元池匡史さん

    【あなたのアイデア賛同人】
    自分の色が見えました。同期の二人の色も見えて、それぞれ違う色なんだと、あらためて確認したことで、自分独自のスタイルを作りはじめることができました。キャッチコピーがついてから、流れが見えて、自分の行く方向性が見えました。自分が出した言葉を文字にして、これが自分のキャッチフレーズなんだと向き合うことで、強い軸ができました。

松下

それぞれ自分たちで独立してメシを食えるほど強いブランドになってくれるのが願いです。


左から、大田久仁子さん、村田篤郎さん、元池匡史さん

自社PB商品で、カーライフを楽しくする価値観の提案をしていきたい。

エサキ

会社、商品、人、と、ブランド化に力を入れてこられて、松下さんの次の夢って何ですか。

松下

カーライフについてのビジョンを発信していきたいです。クリエイティブにも通じることだと思いますが、お客様にどんな価値をご提供するのかをしっかり見つめて、和研工業オリジナルのPB商品を打ち出していきたい。彼ら新人も、それぞれのカラーで、いろいろなトライをしてくれていますし、彼らが持ちこむ新しい風が、他の社員へのいい刺激になってもいます。

エサキ

いいですね。

松下

松下氏

「キラチョビ」のブランド化を通して見つけた視点、出会った世界観を大切にしていきたいんです。商品を使ってくださるお客様にどんな価値をご提供できるのか。商品づくりからお客様に向けてのアウトプットまで、自社のオリジナル商品を通して実現していきたいですね。洋服を新調するように、わくわくどきどき、車という空間を楽しみ、カーライフを楽しんでいただけるように、価値観を作っていきたいです。

エサキ

一緒に行動してきたことが、松下さんのなかに根差している感じで嬉しいです。

松下

これからも、二人三脚でお願いします。

エサキ

ありがとうございます。

和研工業(株)

住所

大東市深野北1-3-31

URL

http://www.wakenkk.jp/

クロスポイント Vol.44

公開

2013年12月20日(金)

取材・文

フランセ 井上 昌子氏

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