(株)ナカコーポレーション×情熱の学校

やすらぎ×情熱 でお客様にもスタッフにも愛される店造りを

昨年から、『三田屋本店―やすらぎの郷―』箕面店・豊中店のブランディングを手がけ、今春に新しく販売が始まった中食用ステーキ弁当のプロデュースにも携わったエサキ氏が、同店の常務取締役を務める中川氏に、その経歴から、不安と期待が錯綜する現在の思いをうかがった。クライアントとクリエイター、それぞれの立場からみた店造り、その関わりとは?

取材風景

興味がなかった飲食業(中川)

エサキ

中川さんとは昨年の春からのお付き合いなんですが、改めて色々とお話をうかがいたいと思います。『三田屋』さんといえば、とくに関西ではハムとステーキハウスで有名なブランドですが、創業は?

中川

印刷業をしていた父が、昭和63年に『三田屋本店』のフランチャイズとして石橋店を始めたのが創業になります。

エサキ

中川さんは学校卒業後、すぐ『三田屋』さんに入られたんですか?

中川

いえ。大学の時にうちのステーキハウスでアルバイトしていたんですが、その頃は飲食業は全く興味がなくて。というよりむしろイヤでした。卒業したのはバブルの真っ只中、就職には困らない時代です。「飲食店なんて、大学出てする仕事やない!」なんて、生意気言って(笑)。

エサキ

どこに就職したんですか?

中川

卒業後すぐ家電メーカーのS社に入ったんですが、地方にまわされておもしろくなくてすぐ辞めました。次にスポーツメーカーのA社に入社しました。

エサキ

そこもおもしろくなくて辞めたんですか?

中川

A社は楽しかったです。仕事よりも同僚と遊ぶのが(笑)。

エサキ

それがどうして『三田屋』さんに?

中川

平成3年に今の箕面店を出店することになり、父に「やるか、やらないか?」の選択を迫られ、はっきりとした動機は忘れましたが、なんとなく引き受けました。

エサキ

飲食業は好きになれたんですか?

中川

こんなに大変なことだと知っていれば引き受けなかったと思います。無知だから引き受けたけれど、自分で決めたことだから好きになる努力はしました。でも、サラリーマン時代は営業職だったので、キッチンや食材のことは全くわからないし、店の人たちがみんな敵に見えました。店には馴染めず、かといってナメられたくなくて、尖ってました。

エサキ

その尖りが消えたのは?

中川

大学時代アルバイトしていたころの顔見知りの職人さんがその店に来てくれて、色々教えてもらったり、助けてもらったりして、それからやる気が出てきたと思います。

エサキ

その後は順調に?

中川

平成3年に『三田屋』に入った頃、店は繁盛していまして、何の企業努力もしなくてもお客様は来てくださる。バブルがはじけて、世間が不景気になりかけた時も、うちだけは右肩上がりで約10年間はただ忙しかったです。毎日同じ作業、営業を繰り返すだけの日々でした。そんな中、平成13年に起こった狂牛病事件の時は、やはりダメージを受けました。

エサキ

大変でしたよね。食肉離れ、外食離れで。

中川

今までやっていた経営も調理法も全否定されたようでした。それで、価格を下げてみたり、カジュアル志向に変えてみたり、自分なりにいろいろ試行錯誤しました。でもお客様と真摯に向き合えばきっと改善できるとがんばりました。ところが平成19年に豊中店を出店した頃から、だんだん自分の中に経営の方向性の悩みがでてきまして…。

エサキ

その悩みが、中川さんの転機となったんですね。

中川

豊中店はどの路線でいけばいいのか?もとのステーキハウスの『三田屋』なのか?カジュアル志向のお手軽店がいいのか?など考えだしたら自分の行きたい方向がわからなくなってきました。そのうちだんだんブレていく自分がいました。

エサキ

それで中川さんのお兄さんを通して、私のところにブランディングの相談に来られたというわけでしたよね。

中川

印刷業をしている兄から、もともと知り合いのエサキさんを紹介されたんですが、初めて会った時、「うさんくさい人が来たな~」というのが第一印象でした(笑)。

エサキ

よく言われます(笑)。

熱きエサキ氏の波に乗る

中川

情熱ブランディングプロデュースといわれても、言葉だけなのか、ツールも含めてなのか、どこまでやってもらえるのかよく分からなかったです。でもまぁ、兄の紹介ですし、ブレてる自分がいたのもよーくわかっていましたから、とりあえずエサキさんという波に乗ってみることにしました。

エサキ

中川さんがブレていたのは、私から見てもわかりました。経営者って、なにかしらブレるものです。むしろブレるのが経営者の特権と言ってもいいくらいですよ。それを助けるために私たちの仕事があるんです。悩んでる経営者の方に「どうしましょ?」って聞くのではなく、こちらから「こうしましょ! だいじょうぶ! 私たちを信じて!」って自信ある提案をするんです。社員の皆さんの意識改革も必要でしたし、新しいスローガンも一緒に考え、新発売のお弁当のプロデュースもさせてもらいました。

中川

以前、外部に頼んで社員の研修をやったことはありました。でも、机上の勉強では緊張して聞いているけれど、内容が身につかない。その点、エサキさんの研修は違いましたよね。

エサキ

まず、研修という言葉のアレルギーを取り除くため「何でも思ってること言って」から始まって、色々話し合いました。皆さんの良いところは天国に届くほど褒めて褒めて(笑)。スタッフの気持ちの中に入っていかないと、いくら良いブランディングを提案してもうわべだけのモノになってしまいますから。

中川

エサキさんにはロジカルでない発想と感覚、本音で切り込んでもらって、それがうちのスタッフにピッタリ合いました。以前に比べみんなやる気が出てきたというか。

エサキ

働いている人が盛り上がらないとお店も盛り上がらない。だから新しいスローガン作り、新発売の中食(お家)用のお弁当の企画をしながら、月に1回の社員研修を同時進行で進めたんです。スタッフの方々に、“働きたくなるお店とは?”また、お客さんの視点にも立ってもらって、“どんなお店なら行きたくなるか?”などをアンケートしました。働いて良かったとスタッフが思うお店でないと、お客さんも来られないです。

中川

社員だけで取材から記事まで書いて三田屋を紹介する『三田屋新聞』の発行というのも、エサキさんから提案のあった新しい試みですね。

エサキ

自分たちの中に落とし込んだお店の経営理念を、もう一度言葉にして新聞というかたちでアウトプットする。それで本当に自分のモノになるんです。

365日のうち5日だけ、特別な日の三田屋

中川

社員研修にしても新聞にしても、私はどこまで関わったらいいのか悩んだりしたこともありました。結局、ほとんどタッチせず、エサキさんを信頼して任せました。エサキさんと二人で進めたのは、スローガンとブランドコンセプトを決めたことですよね。スローガンは箕面店が「ふるさとの心地へ」、豊中店が「新しい出会いへ」。箕面店がお兄さん、豊中店が弟分みたいなポジショニングでそれぞれ特長を出していこうということで。

エサキ

ブランドコンセプトは『365日のうち5日だけ、特別な日の三田屋』。ひんぱんに来てもらわなくてもいい。家族の特別な日、何かのお祝いの日とか、記念日とか、年に5日でいいんです。特別な日に食事をしたくなるお店にしましょうと提案したんです。

中川

それがこの店に合っているのかどうか、店内でも賛否ありました。でも、これもエサキさんを信じるしかないと覚悟(笑)。以前から考えていた中食のお弁当のプロデュースも、エサキさんの情熱を注ぎ込んでもらいまして…。

エサキ

いえいえ、クリエイターはあくまでもお手伝いです。たとえばゴルフでいえば、パターを決めるのはお店の方。自分たちはそこまでアシストするのが仕事だと思います。「最後のパター、この場合はネーミング、これは絶対に社員のみなさんで決めてよ!」って。

中川

なのに私「そんな時間かけてまで、わざわざネーミング要ります?ステーキ弁当でいいですやん!」みたいなことを言ってしまって(笑)。

エサキ

中身は言うまでもありませんが、いいネーミングとパッケージがでました。その名も『笑家弁当』と『牛蔵』。お家で家族揃って三田屋さんのステーキを愉しんでほしいという気持ちを込めてお弁当をプロデュースしました。パッケージのイラストは、ポスターと共通なんですが、中川さんの奥様の筆によるものなんですよね。

中川

妻が趣味でイラストをやっているんですが、エサキさんにノセられて描かされたというか…(笑)。

エサキ

お爺ちゃんがいて、お婆ちゃんがいて、お父さん、お母さん、そして子どもたち。家族の温かさが伝わる良いイラストですよ。

中川

エサキさん、おだててるだけ違うかな?って思うこともありますし、お弁当は初の試みだし、不安はなくもない。でも、さっきも言ったようにエサキさんを信じようと決めたんですから、いくしかない!。

エサキ

いや、ホントぉーに良いお弁当です。『牛蔵』のイメージはお父さん向けですが、このお弁当は“家族で愉しむ”という軸になるコンセプトがあるので、まだまだバリエーション展開できると思います。また、一緒にステキなネーミングを考えましょうよ!。


『笑家弁当』『牛蔵』のパッケージ

クライアント×クリエイターで業績UP!

中川氏

中川

エサキさんは本当に熱いですね。新しいメニューの写真撮りの時も、夜の8時から翌日の昼前までかけて、モデルになった社員や私や妻をその気にさせるようにノリノリに盛り上げてもらって。夜中にかかわらずこちらもテンション上がりましたよ。

エサキ

盛り上げるのが私の仕事!でも最後に決めるのはあくまでもクライアントの皆さん!これからも一緒にがんばりましょう。

中川

以前は数字が落ち込むと心も落ち込み、みんながギスギスして、店の中も暗くなる。お客様も来られなくなるという悪循環でした。こちらサイドのことばかり考えていました。でも、これからはお客様の立場になって、食べたくなるメニュー、行きたくなるお店を目指していこうと思います。それに伴って業績も上がってくれることを期待します。エサキさん、それまで情熱的なお付き合いをお願いしますね。

(株)ナカコーポレーション

住所

箕面市小野原東3-9-35

URL

http://www.sandaya.com/

クロスポイント Vol.43

公開

2013年08月20日(火)

取材・文

片岡睦子 片岡 睦子氏

取材チーム

情熱の学校 エサキ ヨシノリ氏
クイール 松本 幸氏

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