ギフトアース×(株)ファイコム×アウンクリエイティブファーム

絆を大切に 未来にカタチを贈る

漆(うるし)関連商品商社有限会社ヤマカ代表・山田嘉一氏、ハイメッシュ金網製造メーカー長谷川金網株式会社代表・長谷川真司氏、合成樹脂成型原料の着色加工・販売会社株式会社フジテック代表・藤本佳孝氏、グラフィックデザイン事務所アンフォルメ代表・白谷直也氏の4人で立ち上げたパートナー企業『ギフトアース』に株式会社ファイコム代表・浅野由裕氏とアウンクリエイティブファームの森口耕次氏がお話を伺った。それぞれの分野が違う中、『ギフトアース』の現在、そして未来は?
白谷氏がデザイナーの傍ら経営、運営する、『昭和サロン』で行われた、インタビュイー4人×インタビュアー2人の今回のクロスポイントは、和気藹々な中にも熱い気持ちを感じた取材となった。

取材風景

それぞれが確立されたプロ企業の中で

浅野

私も皆さんが所属しておられる大阪府中小企業同友会のメンバーなので、皆さんのことは知っているんですが、あらためてまず皆さんの会社の自己紹介をお願いします。

山田

当社は、漆問屋発祥の地・大阪で、漆の原材料と特殊合板材や天然材を販売している会社で、業界の中では70年という若い会社です。若いからこそ新しいことに挑戦していかなくてはいけない位置にある会社といえるでしょう。販売だけでなく、一般の方に漆塗りの体験をしていただいたりもしています。

長谷川


長谷川金網(株) 長谷川氏

うちはもともと平野区で金網の製造業をしていたんですが、金網は松原市の地場産業ということもあり、今は松原市に会社を移転しました。家族4人でやっていて、以前は材料を支給してもらって加工賃だけの仕事をしていましたが、これからはそれだけではアカン!と思い、材料を仕入れての製造・販売を始めました。製造している金網は、数十ミクロンという髪の毛よりも細い金属線を使った金網です。

森口

(触って)わぁ~、これが金網ですか?!金属とは思えない柔らかな手触りです。スゴイ技術ですね。

藤本

私の会社は、プラスチックの原料の着色が主な仕事です。ペレットというつぶ状の原料があって、無色のものに顔料を混ぜて色のついたペレットにします。もともとコンピュータ関係のサラリーマンをしていたんですが、21年前に父と一緒にこの仕事を始めました。プラスチックは色々な形に加工できる特性がありますが、着色は加工する前の段階でするんです。顔料の混合で作れない色はありません。ラメ入りなんかもできますし。たとえばこの赤青緑のペレットは、パトライトにも使われているものなんですよ。

白谷

えっ、パトカーの?!スゴイやん! 知らんかった。今まで言ってくれないから。

藤本

聞いてくれへんから(笑)。

白谷


アンフォルメ 白谷氏

僕は、アンフォルメというデザインスタジオで、グラフィックを中心としたデザイナーをやっています。父のデザインの仕事を高校の時から手伝っていて、そのまま継いだといいますか。コンピュータの仕事もしたかったんですが、その頃の父は儲かっているみたいやし、デザイナーでもエエかなぁ、なんとかなるかなぁ~って。

長谷川

で、なんとかならんかってんな?!(笑)。

白谷

いや、デザイナーになったから、ギフトアースのメンバーと会えた!あと、この昭和サロンの経営、運営をやっています。

浅野

ここは雰囲気のあるステキなスペースですね。

白谷

もともとこのサロンの隣が実家だったんですが、ここに住んでおられた方が引越しをされた時に、うちが買いました。築80年の古民家を5年かけてリノベーションして、芸術に関する教室や催しに使ってもらっています。ギフトアースの拠点にもなっています。

地球からいただいたものを還元していきたい

浅野

それぞれに下請け的なお仕事をされ、しかも異業種の方たちで『ギフトアース』を立ち上げようとされたきっかけは?

山田


(有)ヤマカ 山田氏

先ほどもお話したように、漆を違うフィールド、新しいエリアに広げていきたいという考えが私の中にあって、仲間を探したんです。私が所属している大阪府中小企業家同友会の東住吉・阿倍野支部は、サービス業は多いんですが、製造業が少なくて。それで名簿の中から藤本さんと長谷川さんを見つけて話をもちかけてみたんです。そしたらどちらも「おもしろいんちゃう?!」ってノってくれて、この3人でやろうということになりました。

浅野

そこにどうして白谷さんが参加されたのですか。

藤本

新しい商品を考えるには、クリエイティブな人間、デザイナーはやっぱり必要で誰かいないかと。

長谷川

それで、僕の高校の同級生で、阿倍野でデザイナーをしている白谷君を仲間に入れたんです。

山田

企業の公的補助金を受けるのに4人以上の企業でないと下りないので、人数合わせのためにも是非って(笑)。

森口

白谷さんがギフトアースに参加されて、商品化されたものは?

白谷

アイデアや、議論は色々出るんですが、なかなか商品化までいかなくて…。本業と地域の仕事も忙しくて、ヒマがなくて…。

山田・藤本・長谷川

ギフトアースはヒマつぶしか?!(笑)。

白谷

イヤ、そんなことはないですよ!最初にギフトアースのロゴ考えましたし。金網やペレットを見つめたり、漆の資料を読んだり…。皆さんの製品はスゴイし、好きやし、僕の力でなんとかできたらエエなぁと、いつも思っていますよ。

浅野

『ギフトアース』の名前の由来は?

藤本

社会に貢献するものを作り、贈り届けたいという意味で“ギフト”はすぐに決まりました。その後に続く言葉は何かなと皆で考えました。

白谷

『ギフト大阪』は、ちょっと小さいし。

長谷川

『ギフトジャパン』は、まだ小さいし。

山田

『ギフトワールド』は、なんか違うし。

藤本

ヤマカさんの漆、長谷川さんの鉱石、うちのプラスチックの素の石油、これらはすべて天然素材、地球からの贈り物や!そう、地球や、アースや!
地球から与えてもらったものを、私たちの手で商品化して社会に贈りたい、という願いを込めて『ギフトアース』という名前に決めました。

それぞれの目指すものは

浅野

今後の展望や夢を聞かせてください。まず、個人的には?

長谷川

今までは産業機器に組み込まれていた裏方の金網ですが、先ほどの布のような金網を、例えばインテリアなどの表舞台に登場させてみたい。先日の展示会では、そんな建築業界をターゲットにしました。うまくいったかは…。答えはまだ出ていませんが。

藤本


(株)フジテック 藤本氏

個人的には次代の人たちに何かを残したいということです。
会社としては積極的に展示会に参加することですね。これまで原料に色を付けただけの当社の製品は展示会には出せないと思っていたんです。でも、ギフトアースでアイデアをもらって、ペレットでアクセサリーやインテリア雑貨を作って並べてみたんです。嫁の手作りですがなかなか好評でした。販売には至っていませんが、これからも新しい試みに挑戦していきたいです。

山田

今の技術を守り残しつつ、さらに漆を新しい場所に広め、次の世代に繫げていきたいです。この技術が衰退したり、何かにとって替わられてしまっては勿体ないですから。漆の技術は日本の誇りですし、この誇りが国を強くしていくと思います。だから本当は、子どもたちにもっと漆塗りを体験してほしいのですが、残念ながらかぶれる憂いがあるので、なかなかできないんです。
長谷川さんのところは、子どもたちに社会見学してもらって、感想文まで書いてもらえたそうで羨ましいなぁ…。

森口

そうですね。皆さんが扱っておられるのは、一般の人の目に入りにくいモノですから、これからはどんどん知ってもらって、見てもらって。そこからがスタートですからね。材料や素材としても興味のあるものばかりです。

白谷

僕はもう、ギフトアースのために頑張ることだけです。

山田・藤本・長谷川

えっ、ホンマかな~?!

ギフトアースとして目指すものは

森口

今後、ギフトアースに新しいメンバーを増やしていく予定は?

山田

それはないですね。というか、4人の絆がちゃんとあって、それぞれが別の繋がりを作って紹介しあっていけば、自然と人脈は広がっていくでしょう。

浅野

幹線があって支線が延びていくということですね。では、ギフトアースとしてのこれからの展望は?

白谷

東京ビッグサイト!

山田・藤本・長谷川

ちゃう、ちゃう、ちゃう!

山田

今年の「大阪製」ブランド認証制度に、それぞれエントリーしようと考えて、大阪府の担当に相談に行ったんです。その時、個々でするより、ギフトアースの商品として出したほうがいいのではないかというアドバイスを受けました。それで皆で相談して、次回のエントリーに向けて、1年間時間をかけてギフトアースの商品を作ろうということになりました。それが今のギフトアースの目標です。

浅野

「大阪製」ブランドはなかなかハードルが高いですよね。でも、認証を受けるということは、アワード(award・賞)になりますから、力を合わせて頑張ってください。

藤本

認証にはストーリー性も重要ポイントということなんですが、ギフトアースにはそれもありますし。でもまずは私たち個々の技術、材料、製品をどう新しい商品に結びつけるか。何が作れるかをもっとクリエイティブに考えていかないと。

長谷川

…で、やっぱり白谷君の腕にかかってくる。

森口

皆さんのお話を伺って感じたことなんですが、知育玩具はどうでしょう。少しずつ買い揃えてコンプリートさせていくような。

白谷

そういえば、うちの子どもが藤本さんとこのペレットに興味を持って遊んでいました。最後には部屋にばらまいてエライことになりましたけど(笑)。

藤本

2年前の産業交流フェアにギフトアースで参加した時、ペレットを使って子どもたちに砂時計を作ってもらいましたが、子どもがたくさん集まってくれたこともありましたね。

山田

小さな容器が必要だったので、有名乳酸飲料の会社に協力してもらいましたよね。


白谷氏が手掛けたロゴ

メビックからも一言

森口

もう一つ、クリエイターの立場から思うのですが、何かを作ろうとする時の方法として、この人(企業)Aさんは何が得意で何ができるか、Bさんは何か、その特長を掛け合わせたら何が出来るかという考え方があります。一方で、こういう商品を作るために、Aさん、Bさんの何が使えるかという考え方があると思うんです。新しい商品を作る際に、皆さんの何をどこに使うかと。時には逆の考え方もしてみてはいかがでしょうか。

山田

今の森口さんのアドバイスをもとに頑張ってみます。
ところで、これから展示会や体験もどんどんやっていこうと思っていますが、メビックさんを公開や広報のお知らせの手段として利用させていただくことは可能なんですか?

浅野

それこそメビックの真骨頂なんです。メーリングリストに登録しているクリエイターさんに一斉メールでお知らせができるんですから。クロスポイントの取材を受けた甲斐があったでしょ?
あと、白谷さんのスピードアップも図りたい年になりそうですね。

山田・藤本・長谷川

そうそう!逆に、白谷君が僕たちの尻を叩いて、こんなん作ろうよー!って言ってくれなきゃ。

白谷

と、言われたからではないですが、毎年4月29日の昭和の日一日かぎりなんですが、この辺りの町のイベント『どっぷり昭和町』が開催されるんです。その時、うちの昭和サロンも開放するんです。どうぞ皆さんお越しください。

長谷川

そこで僕たちの会社の製品も置いてもらえるの?

白石

それは地域のイベントなんで、どうかな…。

藤本

いや、一角だけでええねんから。ギフトの仲間のは置いてくれなきゃ!

山田

と、こんな風に3対1で白谷君をいじりながら、ワイワイやってるギフトアースなんですが、地域社会に貢献したい、未来にも贈り続けたいという同じ思い・絆で繋がってるいる4人です。これからの活動にご期待ください。

浅野

今日は楽しい取材をありがとうございました。


「昭和サロン」の内観

ギフトアース

URL

http://www.gift-earth.com/

クロスポイント Vol.41

公開

2013年03月29日(金)

取材・文

片岡睦子 片岡 睦子氏

取材チーム

株式会社ファイコム 浅野 由裕氏
森口 耕次氏

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