専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪×(株)エムリンク

ジュエリーの本質を広め、世界レベルで活躍する人材を育てたい


コバヤシ氏(左)と尾崎氏(右)

シルバーアクセサリーから宝石いっぱいの高級ジュエリー、そしてブライダルまで、ジュエリー制作に必要な高度な専門技術と専門知識を教育する専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪。ジュエリー業界だけでなく、他業種の企業コラボレーションにも取り組み、さまざまなクリエーションシーンで活躍できる人材を養成している。そんな同校のシニアディレクター コバヤシタカシ氏に、シルバージュエリーを愛する(株)エムリンクの尾崎守彦氏がお話を伺った。

ジュエリー分野に特化した専門学校

尾崎

まずは学校についてお話いただけますか?

コバヤシ

尾崎氏

本校は日本初のジュエリー教育にしぼった学校として東京で創立し、40年以上の歴史を持っています。2008年に大阪校を開校し、ジュエリー&アクセサリーコースやシルバーアクセサリーデザインコースなど、4つのコースを設置しています。専門課程は2年制と3年制があり、働きながら趣味で続けていきたいという方も学んでいただけるキャリアカレッジがあります。専門課程の生徒の6割は、高校卒業で入学。あとの4割は、短大・大学を卒業した方、社会経験を積んだ方。自分のやりたいことをあらためて見つめ直して入学するケースも増えてきています。

尾崎

ジュエリーを制作するとなると、作りたいという欲求だけで作ることはできないと思うのですが。

コバヤシ

もちろんそうです。自分で自由なモノを作るためには、その基礎をしっかりと学ばなければなりません。そのために一年目はどのコースの学生もジュエリー制作に必要な基本技術をしっかりと学んでもらいます。二年になるとそれぞれのコースでアイデアを広げる手法や素材学など、さまざまなアプローチを取り入れながら体系的に技術を習得していくことで、自分のデザインしたものに対してどういう技術で制作していったらいいかがわかっていきます。

尾崎

ジュエリーの基本がわからないと、デザインができないということですね。

コバヤシ

そうですね。基本をしっかりと理解することは大切。ですが、逆に固定概念が邪魔をすることもあるんです。例えばリングは円形が基本ですが、指は肉体であって弾力もありますから必ずしも円形じゃなくてもいい。四角いリングがあってもいいわけです。固定概念でデザインが妨げられてしまう場合は「ここはどうして円形じゃなきゃいけないんだろう」などとアドバイスし、気づかせるようにすることもあります。

尾崎

ジュエリー制作は繊細な作業が多いと思いますが、手先が器用でない人もできるんですか?

コバヤシ

不器用って思い込んでいるだけだと思うんですよね。日本人は基本的に器用な民族です。ウチでも本人は自覚していなくても能力の高い生徒って結構多いんですよ。自由課題をササッと作れるのに、自分はその才能に気づいていない。気がつかないまま途中で進路を変えてしまう生徒も稀にいるので、非常に残念に思います。短期間で可能性が見えないのは当たり前のこと。可能性が見えて自分の適性を自覚できるまでに2〜3年以上かかる生徒も当然のことながらいます。

尾崎

扱っている素材は、やはりシルバーが多いですか?

コバヤシ

教材としてはシルバーが多いです。もちろん金やプラチナも使用することもあります。でも、そもそもジュエリーの素材って何でもいいんですよ。

尾崎

金属以外の素材も使われるんですよね。1階のギャラリーに展示しているペーパージュエリーには感激しました。面白い試みだと思います。

コバヤシ

ありがとうございます。そうですね。紙のほかには、プラスチックやアクリルなども利用します。様々な素材でジュエリーを作って新しい発見をしてもらいたいと思っています。歴史をさかのぼると、ジュエリーは7万年も前の大昔から存在していて、素材には貝殻や木、骨、牙などが使われていたんですよ。身近にある大切なものや美しいと思えるモノを素材として使うというところが、ジュエリーの本質ですから。


ペーパージュエリーの展示

尾崎

技術的なこだわりは?

コバヤシ

ジュエリー制作に必要な基本技術はもちろん身につけてもらいますが、さらに装飾を施す伝統的な技術、例えば日本の象嵌や木目金、ヨーロッパの洋彫りや粒金細工、または七宝などの技術もカリキュラムの中に組み込んでいます。学生たちにも先人があみだしたそのすばらしい技術に触れ、できれば継承してもらいたいと思っています。

尾崎

新しい技術も取り入れたりするんですか?

コバヤシ

昔の技術だけに固執することなく、CADのソフトも使用します。しかし、CADもあくまでも道具のひとつ。CADにはCADの、手づくりは手づくりの良さがあるので、造形したいものによって道具を選ぶのと同じく、工程によって選択できるよう基本を学んでもらっています。

企業とのコラボレーションで実践力を身につける

尾崎

ところで、某シルバージュエリーブランドや某スポーツメーカーなど企業とのコラボレーションも積極的にされているようですが。

コバヤシ

学内のカリキュラムだけでは、実際の社会に触れることはあまりできません。ジュエリーの広がりや可能性を追求する意味でも、外とのつながりをもつことは大切だと考えています。それによってジュエリーだけではなく、人との関わり、他業界との関わりなども学ぶことができますし…。今後も積極的に企業の皆様の協力をお願いしたいと考えています。もしもこの記事をご覧いただき、何か可能性を感じていただける企業様がいらっしゃったら、是非ご連絡いただければと思います。

尾崎

作品展はどこでされているんですか?

コバヤシ

今年の3月に、梅田のファッションビルE-maさんで卒業制作展を開催させていただきました。数多くの一般のお客様にも見ていただくことができ、「こんなジュエリーもあるんだ」「こんな素材でジュエリーができるんだ」といい意味で驚いていただけました。木を使ったものやマグネットを使ったものなど、さまざまな素材を駆使した作品を展示していたので、普段、宝石=ジュエリーというイメージを持たれている方にとっては新鮮な驚きがあったようです。

展示会の様子
E-maでの2011年度卒業制作展

尾崎

個人でブランドを立ち上げる生徒さんもいるんですか?

コバヤシ

シルバーアクセサリーデザインコースでは、2年次に自己ブランドをつくって発表させる課題があります。一品作品だけではなく、商品群として発表し自分で販売まで行います。商品群を制作してブランドの名前をつけて発表する、ここまでは学生でもすぐにできるんです。問題は発表して売りに結びつくかどうか。どんな場所で、いかに販売するか、価格設定をどうするかなど、実践を通してブランドを運営していくためのノウハウも勉強してもらっています。

尾崎

そこまできっちりと指導されているから、就職率がいいんでしょうね。

コバヤシ

生徒

専任のスタッフが就職サポートを行っていることもあって、就職率は高いですね。在校中に企業とのコラボレーションをきっかけに、独立の道を切り開こうとしている生徒もいます。以前、雑誌とコラボレーションしたときにうちの生徒の作品が掲載したんですが、それをきっかけに、ショップに商品を置いていただいたり、憧れのミュージシャンに買っていただいたりと、チャンスを自らつかみ取っています。将来が非常に楽しみです。

ジュエリーとは想いのこもった大切な存在

尾崎

コバヤシさんにとって、ジュエリーの魅力は何だと思いますか?

コバヤシ

ジュエリーには本当に多くの魅力がありますが、個人的には物質的な価値に終わらず、所有者とともに歴史を重ねて、想いが込められ、特別なモノに変化していくところでしょうか。

尾崎

しかし日本でジュエリーはまだまだ浸透していないように思います。欧米では身近に使いこなしていますよね。

コバヤシ

欧米では「ジュエリーは特別な日につけるモノ」という発想ではないんです。その日の気分やファッションに合わせて身に着けて楽しむもの。ヨーロッパの女性は、普段でも大ぶりなアイテムを身に着けますし、色んな素材のものを本当に自由に楽しんでいます。

尾崎

私も毎日、指輪をつけていますよ。私は10代の頃からシルバージュエリーが大好きで、つけていないと全然落ち着かなくて。もはや身体の一部です。

コバヤシ

それがまさしくジュエリーの本質じゃないでしょうか。今でもアフリカやアマゾンにおけるジュエリーは、その人の人生を表現するものだったり、家族とのつながりを象徴するものだったりと、日常的に身につける大事なものなんです。「私の大切なものは何なのか」「私は誰なのか」というところがジュエリーの根本ではないかと思います。結婚指輪もそうです。絆というのは目に見えないものですが、指輪で“二人の絆”が具体化され自分が何者なのかを伝えることができます。

尾崎

そういえば、来年からブライダルジュエリーのコースができるそうですね。

コバヤシ

そうなんです。
大阪校のみの開設になります。
3.11の震災から日本人の結婚観は変わってきています。ブライダル業界自体もそこに注目していて、大阪でもブライダル系の専門学校も増えています。そういった流れからもジュエリーの中のアイテムのひとつとして、ブライダルジュエリーは特に注目されていくのではないかと思います。

尾崎

東京では、ブライダルジュエリーをオーダーメイドするカップルも多い気がしますが、大阪はどうでしょうか?

コバヤシ

むしろ大阪の方がオーダーメイド派は多いと想いますよ。二人だけのものにこだわるニーズが、改めて出てきているのかなと思います。今までマリッジリングは2本が同じデザインというのが一般的でした。でも同じデザインでなくても、二人の関係性を形で表現できればもっと個性的なデザインが生まれてくると思うので非常に楽しみです。

日本のモノづくり産業に貢献できる人材を

尾崎

今後の目標をお聞かせください

コバヤシ

学校としては関西でもっとジュエリーの本質を広めていきたいですね。高度な宝飾技術とCADなどの新しい技術、そして異素材も取り入れ、ジュエリーの可能性を模索していく学校として優秀な学生を輩出し、卒業後のバックアップもしていきたいと思います。

尾崎

二年間通ってモノづくりのプロになれる学校は少ないですからね。

コバヤシ

学生時代に商品レベルのものが作れるという学校は少ないかもしれないですね。でも、卒業後からが本当のスタートです。モノづくりという視点から見れば卒業生にはジュエリー業界にかかわらず、他の業界でも活躍して日本のすばらしいモノづくり文化を継承していってほしいという気持ちもあります。大阪という場所は東大阪という世界に誇れるモノづくりの街を持ち、京都、奈良にも近い。今後の伝統産業の後継者不足や新しい方向への挑戦など、本校でもお手伝いできることもあるのではないかと考えています。

尾崎

世界にも向かってアピールできますね。東京だけではないという点で。

コバヤシ

日本でつくるものは昔から高い技術とその繊細さで、海外でも評価されてきました。ジュエリー制作の教育を通して、モノづくりの精神を養った学生を多く輩出し、関西のモノづくりに貢献していきたいと思っています。

コバヤシ氏と尾崎氏

専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪

住所

大阪市西区北堀江2-14-3

URL

http://hiko-osaka.jp/

クロスポイント Vol.37

公開

2012年09月28日(金)

取材・文

清野礼子 清野 礼子氏

取材チーム

尾崎 守彦氏
株式会社ルブリ 増田 泰之氏
森口 耕次氏

« 前|森田アルミ工業(株)×PROCESS5 DESIGN

記事一覧

(株)やわらぎ × (株)Meta-Design-Development|次 »