丸昌化学工業(株)×G_graphics

タックシールの可能性を広げるには、情報発信から

水谷氏と西部氏

タックシールをはじめとした粘着紙を取り扱って60年以上という丸昌化学工業(株)。シール製造メーカーや印刷会社などと組んで様々なシールの加工や販売を行うほか、クリエイターと直接ビジネスを展開する方法を模索したり、スペインのタックシール素材を輸入販売するなど、新しい取り組みにもチャレンジしている。今回は丸昌化学工業の水谷剛士氏、西部正樹氏に、様々な紙や印刷を使った広告物や販促ツールの制作実績を豊富に持つG_graphicsの池田敦氏がインタビューした。

従来の豊富な品揃えに加えて海外のシール素材も輸入


水谷氏


西部氏

水谷

祖父が創業して60余年、ずっと国内素材のシール原紙を販売してきましたが、最近グローバル化の一環として、スペインのシール原紙メーカーが製造したシール素材の輸入を開始しました。ワインボトルのラベルなどに使うシール素材なのですが、日本では見かけない特殊紙のシール素材が数多くあります。

池田

これは面白いですね。見たことないです、こんなの。

水谷

すでに、化粧品のラベルシールとして採用が決定しているモノもあります。当社が持つ従来のラインアップの中では和紙素材のシール原紙が人気で、今後は付加価値が高いシール素材を強みとしていきたいと考えています。

池田

紙見本はよく見ますが、シール素材の見本帳はあまり見たことがないですね。

水谷

シールは、紙と糊、そして台紙となる裏面のセパレーターの3つで構成されています。つまり、糊やセパレーターとの組み合わせで、1種類の紙でバリエーションは膨大な数になります。そのため多くの種類の在庫を持つことが難しいんです。当社では、過去に1000種類上のシール原紙を作った実績があって、これは業界でも非常に多い実績です。

西部

輸入シール素材はどうしてもコスト的には割高になってしまいます。しかし、日本にはない風合いのシール素材が多い。今後は、地酒やお菓子の包装やラベルなどに展開していければと考えています。

池田

とても面白い素材のシールが多くて、海外ではワインボトル用とおっしゃっていましたが、先ほどの化粧品のように日本ではもっと違う用途で使えそうです。新しい用途を考えることは、御社よりも我々クリエイターの方が長けているような気がします。

高付加価値な企画提案で、新たな市場を生み出したい


池田氏

西部

例えば、和紙のシール素材なんかは付加価値も高くて人気でして、日本酒などのメーカーさんに提案するととても喜ばれます。過去の実績もありますし、販売イメージもつきやすい。問題はそこから先でして。

水谷

今はニーズがない業界にどう提案していくのか、どう販路を広げていくのかというアイディアが出てこないんですね。悲しいかな、我々には新しい発想力やデザイン力、企画力が不足しているんですよ。だからといって、従来の枠の中では価格競争になってしまう。付加価値の高い提案を行いながら、市場を生み出すような動きが必要なんですよね。

取材風景

池田

『餅は餅屋』ではありませんが、新しい使い方や販路を生む力は皆さんの常識を覆すようなところにある気がします。そこへ踏み入るなら、クリエイターとタッグを組むのが最善だと思いますよ。例えば、活版印刷をシールにしてみたいですね。シールにしてノベルティとか作ったら注目されそう。インパクトのある特殊加工や特殊紙のステッカーはニーズがありそうに思いますが、技術的には可能ですか。

水谷

活版印刷をシールにすることは可能です。あとは、どうコストをマッチングさせるか。特殊紙のシール素材を使うことでどれだけ売上に貢献できるかというところまで提案していかないといけない状況です。その部分も含めてクリエイターさんと一緒に考えながら、新しい使い方を提案していく試みに挑戦してみたいです。

情報発信がこれからの課題

サンプル

池田

展示会などで、自社商品に関する情報発信はされているんですか?

西部

展示会にはあまり参加していないんですよ。ようやく会社のホームページを作って、ブログを始めたところです。まだまだこれからです。

水谷

我々は、ずっとエンドユーザーや実際にラベルを使用する商品メーカーからの距離が遠かったんです。これまでは“待ち”の姿勢でも生き残れましたが、これからは自らアクションを起こさないと生き残れません。特に、エンドユーザーや商品メーカーに情報発信する必要性を感じています。

池田

多様なアイテムや技術力をお持ちだと感じたので、その技術力や情報を発信してクリエイターと情報交換をすると、「使いたい!」「こんなシールを作って欲しい」とアイディアを持ち込んでくるクリエイターが数多く出てくると思いますよ。それにはきちんと情報発信することが必要かと。ただし、興味を持ってもらうには商品をただ並べて紹介するのではなくて、具体的にこう使える、こんな事例で使われた、という情報が必要です。

水谷

具体的な事例が重要なんですね。

サンプル

池田

最近のデザイナーの中には、紙見本だけでは新しい使い方をイメージできない人も増えてきていると感じています。B to B的な見せ方よりも、B to C的に丁寧な見せ方をしてあげないと難しいかもしれませんね。クリエイターにとって、シール素材はクライアントから作りたいと言われて初めて必要と感じる素材のような気がします。ポスターやパンフレット等、多くの紙ツールの中で、シールを提案することは、クリエイターの頭の中では少ないでしょうね。

水谷

なるほど。そうなると、具体的な活用事例がたくさんある展示会なんかは面白そうですね。

池田

展示会も闇雲にやればいいというわけではありません。ただ、興味をひくような情報発信をしていかないと誰も興味を持ってくれないのも確かです。ぜひ一緒に、クリエイターと素材メーカーがタッグを組んで新しい使い方を提案するような展覧会や発表会をやりませんか。

水谷

我々とは感性の違う人に使ってもらいたい気持ちがあります。ぜひ前向きに検討してみます。

池田

タックシールの新たな可能性を広げるお手伝いをしてみたいです。今日はありがとうございました。

丸昌化学工業(株)

住所

大阪市中央区谷町4-5-9
大阪屋谷町アークビル9F

URL

http://www.marushokagaku.co.jp/

クロスポイント Vol.27

公開

2011年11月30日(水)

取材・文

株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏

取材チーム

株式会社ジーグラフィックス 池田 敦氏

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