明晃印刷(株)×(有)TTデザイン

古いけど新しい、活版印刷の魅力は“三次元”にあり。

高崎氏

福島区で活版印刷業を営む明晃印刷(株)高崎健治氏は、活版印刷業を始めるまでの経歴がスゴい。東京で移動式メロンパン販売事業「クワトロおじさんの焼き立てメロンパン」(17店舗)を立ち上げたり、ボランティアで全国小学校ニュースポータルサイト『地球島ニュース』(全国の小学校に無料でデジタルアルバムをプレゼント)を立ち上げたり……。そんな高崎氏が、活版印刷業を営む会社の後継者とともに『関西活版倶楽部』を立ち上げて活動を始めた。今回は、(有)TTデザインの高山氏がインタビューした。

活版印刷の素晴らしさは、クリエイターが教えてくれた。

活字

高崎

親父と明晃印刷を始めた頃は活版印刷に全く興味がなくて、むしろ次のビジネスを考えていた。でも、2009年頃から多くの出会いがあって、活版印刷の面白さに少し気づいた感じです。

高山

事務所も古いけど味がありますよね。活版印刷にピッタリですね。

高崎

元来カッコつけで、こんなボロい事務所に人を呼ぶのが嫌やったんです。でも、テレビや新聞などのメディアに露出するようになり、多くの人が工場見学に来るようになって。最近は月50人以上が工場見学に来るんですよ。さらにTwitterをやり始めたら、Twitter経由で東京をはじめとした日本中から注文が来るようになったんです。

高山

Twitterですか?

高崎

そう。そんな時にネットで検索したら、まだ関西にも活版印刷の会社が複数あることを知って、再び事業立ち上げ魂に火が付いて声を掛けました。それが『関西活版倶楽部』設立のきっかけ。僕は今まで会社に勤めた事が無くて一匹オオカミやったから、独創性には自信があったけど、グループで何かをするという協調性はあまりなかった。でも『関西活版倶楽部』のメンバーは本当に良いヤツばかりなのでここはひとつむっちゃデカイ夢を一緒に見ようと思ったんです。

高山

活版印刷は東京で注目されていますよね。

高崎

大阪よりも断然東京の仕事が多いです。活版印刷の仕事をやって、僕の一番の財産は日本中のデザイナーや今まで知らなかった感性の持ち主とたくさん出会えたことです。

視覚+触感=活版印刷。これが古いけど、新しい。

高山

活版印刷の良さって不思議ですよね。活版印刷は凹んでいるだけで手にとって触ってもらえる。ひいては、捨てずに残してもらえる可能性が高まるような気がします。

高崎

活版印刷の印刷物はね、誰もが“触る”んですよ。何も言わなくても。そして「わぁ」と喜ぶ。必ずみんな笑顔になる。触感が良いんです。世の中のデザインは二次元から三次元の世界に来ているのかなと思うんです。活版は立体的でしょ。

高山

活版印刷は印刷しただけで凹凸が生まれて三次元になりますから、印刷じゃなくてプロダクトですよね。

高崎

最近は、アート系の専門学校生や大学生がよく工場見学に来ますが、彼らはパソコン世代。活字なんて見たことがない。僕らにとっては古いモノを残す感覚ですが、若い人にとっては全く新しいものなんですよ。

高山

工場見学って、日常業務の支障になるので無理というところが多いですよね。

高崎

日にち指定をしたり人数を集めたりしてようやく工場見学させてもらえる感じでしょう? 実は、子供と工場見学をお願いしたら断られた経験があって、子供の目の輝きが一瞬にして失われる瞬間を目の当たりにしたんですよ。だから、私の工場は午後なら“駄菓子屋感覚”で、可能な限りいつでも見学OKにしています。

取材風景

『活版EXPO』で世界に飛び出す!

高崎

2010年に関西活版倶楽部が開催したイベント『活版EXPOゼロ』は200人以上が集まってくれました。そのおかげで2011年2月11日から27日まで、梅田のブリーゼブリーゼで『活版EXPO1』を開催することになりました。

高山

私もお手伝いさせてもらいます。活版印刷は、東京でもほとんどクリエイターしか知らない“プロの道具”でしかありません。『活版EXPO1』では一般の主婦や子供、サラリーマンにも知ってもらいたい。楽しいワークショップもありますし。そうしないと、活版印刷の需要そのものを増やしていけませんからね。

高崎

これをクリアしたら、次の『活版EXPO2』はニューヨークでやりたいと思っています(笑)。日本を巻き込んだプロジェクトを現在進行させています。ブランド化して全国百貨店に展開し、全国のクリエイターを驚かせます。こういう事はスピード感が大切ですから。

高山

スピード、重要ですよね。

高崎

実は今、活版に限らず色々なメーカーの二代目後継者に「俺と一緒に面白いことをやろうや」と声を掛けています。それに賛同してくれた人が、うちの工場まで見学に来て私の野望を真剣に聞いてくれます。みんなが同じ方向性を持っていれば必ず大きなことができるはず。やってみないとわかりませんし、その先には何があるかは分かりません。だからやる価値があるんですけど。中には勝算を聞いてきたり消極的な意見を言われる人もいます。でも、そんなん僕には関係あらへん(笑)

高山

やったあとに何が得られるかは、何かやった人にしかわからない。人脈か仕事か、何かは分からないけれど、必ず何かが得られます。そこまで自分の“想い”をクリエイトできない人は、目先の勝算しか見えないんだと思います。

高崎

ニューヨークの次は『活版EXPO』をパリでやってみたいんですよ。日本のクオリティは絶対受ける。

高山

MAISON & OBJETですか(笑)活字を生かしたものを持って行きませんか。日本の漢字も海外では人気ですから。商品を開発して持って行きたいですね。日本の活版印刷を求めて、世界中の人が大阪に集まったら面白くなりますよね。

高崎

僕は今まで本当に色々なビジネスを立ち上げて経験をしてきました。人の何倍も生きてきた気がします。人生はみんな一回きりやねんから、どうせなら超デカイ花火をドーンとあげてほしい。その方がカッコええしね。失敗しても笑いのネタになる(笑)

高山

花火あげましょう!今日はありがとうございました。

活字

明晃印刷株式会社

明晃印刷株式会社 ロゴ

住所

〒553-0001
大阪市福島区海老江7-2-18

URL

http://www.meiko-print.co.jp/

代表者

高崎和夫

クリエイティブクラスター登録ページ

活版印刷, 活字, 箔押し加工, 樹脂版印刷, マグネシューム版印刷
「明晃印刷株式会社」

クロスポイント Vol.23

公開

2011年01月31日(月)

取材・文

株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏

取材チーム

有限会社TTDESIGN 高山 理氏

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