「クロスポイント」は、プロモーションやブランディングに関心がある市内中小企業に対する、この街のクリエイター取材班によるインタビュー記事です。

クリエイターの感性とハードの知識をぶつけ合い進化したイベントを。
(株)タケナカ×キネトスコープ社

突然の社長交代。若くして昭和元年創業の映像機器メーカーを引き継いだ武仲社長。たった10年で新しい映像機材を導入し、人材も増やし、現在は数々の大型イベントから学会・プライベート試写会まで映像が絡んだイベントの運営、機材のレンタル事業を幅広く展開している。社員から「機材オタク」とまで言われる専門知識への執着心はどこからくるのか?
企業とクリエイターの出会いクロスポイント。今回はwebや映像制作を手がけるキネトスコープ社、廣瀬氏が、そんな武仲社長をインタビューした。

映像中心のイベントをもっと関西で。

廣瀬

簡単に株式会社タケナカさんの事業を教えてください。

武仲

武仲氏

実は1926年創業で、当時はタイガーというブランドの35mm映写機のメーカーとしてスタートして、公民館や学校へ映写機を持って行って出張映写をしていました。今は、大型のプラズマディスプレイやLEDに変化はしたものの、映像機器のレンタル事業がメインになります。映像機器は、イベント演出でこれまで花形だった音響・照明の次だったのが、10年ぐらい前からデジタル制作環境の普及と共に伸びつつあります。イベントのオープニングやエンディングで、動画などの効果の高い映像を使うことで、イベント演出のグレードが数段上がるので映像にかける予算が増えています。さらに、最近は映像ソフト制作の依頼も増え、照明や音響、さらには会場の手配からイベント企画全般に至るまでタケナカに発注がきています。広告代理店・イベント制作会社・音響会社・システム会社・デザイン会社と多種多様なスキルをもった人材の集まりなんです。それが、ひとつになっている。まさに、サイボーグ009のような会社といっていいでしょうか。(ちょっと古いかな?)

廣瀬

2005年開催の「愛・地球博」にも参加されたとお聞きしていますが、最近はいかがですか?

武仲

2010年の上海万博に向けて現在積極的に取り組んでいます。愛知万博の時より予算は厳しい傾向にありますが、映像表現の可能性がぐっと上がっていて刺激があります。オリンピックのように持てる技術を惜しまず見せる大型イベントに参加するということは売上以上に当社にとって意義があります。

廣瀬

最近のイベントには映像は必要不可欠になっていますね。私はファッションショーの映像プロデュースの経験がありますが、企業からの請負ではない自社主催のイベントなどの計画はありますか?

武仲

機材

そうですね。もし、自主的に仕掛けるとしたら、人材を育てるという大きな課題があります。クリエイティブディレクターとして、ハードの技術(できること・できないこと)を知っている人が少ない。海外ではハードの機能をフルに活かした演出ができるクリエイターが多くいます。そういったサポートがタケナカのスタッフがもっとやるべきだと感じています。クリエイターが思い描いた感性をコンテンツとして実現するためのコラボができないとダメなんです。

当然社内にクリエイティビティがないといけないですけど。外部クリエイターの感性とハードの知識が刺激を与えながら、いいモノを創る。私たちには専門知識を持った映像のオペレーターがたくさんいます。イベントをディレクションする人の概念的なアイディアを受けて、間に立ってサポートできるオールマイティな人材を育成するのがこれからの強みになります。

廣瀬

クリエイターの立場で言えば、やりたいことを伝えてその場で回答を得られることは大変嬉しい。例えば300インチのスクリーンを設置する場所にしても裏から投影できたり、至近距離から短焦点のレンズによって投影が可能になったり、そういったアドバイスをもらえることは大きいですね。

武仲

1年から半年ペースで新しい機材が出ますので、アメリカの展示会を視察したり、メーカーさんとの勉強会は欠かせません。

廣瀬

昔はよくクラブVJをしていたんですが、照明が明るすぎて映像が見えなくって、現場の照明さんとケンカになることもありますよね?

武仲

機材

もともと舞台の花形は照明さんだったんですけど、後から入ってきた我々映像屋が、うまく調整をすることも必要です。でも、暗い方が映像の映えがいいんだけど。(笑)

廣瀬

タケナカさんのような映像を知り尽くした会社がイベントを仕切って、映像側からガッチリイベント全体をプロデュースしてもらえれば、我々のようなVJだけで食えなかった映像クリエイターがこれから出てくるチャンスもありますよね?

武仲

人が集まる場所で必用不可欠になってきたVJが、どうやったらメシが食えて、持続可能な業態になるのかを考えています。ビジネスとマッチングしないといけません。だけど、ほとんどギャラでなく「やりたい」が先に立ってしまっています。クリエイティブ能力も問われることもあり、その上、VJが好きなんで寝ずにとことん凝ってやってしまう。(笑)

今後は、ウチの会社からVJを売っていくことも考えています。業態として認めさせていきたいと思っています。VJは「デザインができる」、「制作ができる」、「編集ができる」、「オペレートできる」、「現場の設営もできる」、実は全部できるマルチクリエイターなんです。その発想はびっくりするぐらい参考になります。

廣瀬

今がチャンスですよね。求められていますし、活躍の場が広がっています。仕事と出会うチャンスとビジネスを継続するための教育も必要ですね。

武仲

苦労している分、いい方が多いですね。なんとかしたいですね。発表の場も必要です。

廣瀬

いろんなイベントが発表の場になり、そういうきっかけになればいいですね。ところで、武仲社長はピンチヒッターとして社長になられたと聞いていますが?

武仲

武仲氏

12年前でした。長いこと学生(京都大学法学部)していて、自分でビジネスを立ち上げることも考えていました。メシ食っていかなあかん、と思って公認会計士の道も考えましたが、地震で会社も苦労していたのを見ていたんで、卒業と同時に大阪にもどり入社しました。その時社員は5〜6人でした。

もともといた職人さんに可愛がられ「真剣にやったらうまいこといくかも知れんで」っていわれて、周りの期待感を感じました。その頃、すでに父が倒れていたこともあり、その職人さんに怒られながら、荷物運びからなんでもしました。「メシ食いながら寝てた感じです」。知らないことばかりで、その頃は機材に興味がなかったんですが、次第にはまっていきました。

廣瀬

御社の社員といっしょに仕事をさせてもらっているんですけど、聞くと「社長は勉強するんですよ」「ぼくらでもわからんこと(ハードのこと)をちゃんと知ってる」って言われたんですけど。

武仲

「機材オタク」って言われるんですよ。(笑)

廣瀬

「オタク」には勝てないですよね。ほんとうに知識に関しては吸収力が全然違いますよね。

武仲

事務所風景

機材のことを知り尽くして、極めたいという気持ちがあります。現場を離れてからビジネスのバランスを見るのにも必要だと思っています。社員の会話もちゃんと耳をダンボにして聞いていますよ。現場を離れてからより経営者としての役割をちゃんとやっていますよ。(笑)

廣瀬

武仲社長は、イベントが好きなんですか?

武仲

イベントは好きなはずですけど、「永遠の素人」として第三者的にアドバイスするとか意思決定するとかエンドユーザの目線で応えます。

好きで業界に入ってきている社員が本当に多いんです。映画・イベント・音響、そしてバンドが好きな人、8割の社員がバンドの経験者ですよ。僕はスポーツやアウトドアが好きでどちらかと言えば自然派ですよ。(笑)将来田舎で暮らしたいと思ってるぐらいですよ。

廣瀬

僕も意外とそうなんです。
仕事はアーバンで、プライベートは自然派ですね。

武仲

仕事はアーバンというより「オタク」ですね。(笑)


(株)タケナカ本社外観

取材班

キネトスコープ社 廣瀬 圭治氏

文:(株)ファイコム 浅野 由裕氏

クロスポイント Vol.15 公開:2009年02月19日

(株)タケナカ

住所

大阪市港区築港3-1-43
天保山シンユニティビル

URL

http://www.takenaka-co.co.jp/

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