「クロスポイント」は、プロモーションやブランディングに関心がある市内中小企業に対する、この街のクリエイター取材班によるインタビュー記事です。

製造業とクリエイターが、本当に自由に意見交換ができる関係を築きたい
村上紙器工業所×つくり図案屋

村上紙器工業所は、手加工によるパッケージ「貼箱(貼函)」の企画・製造をしている会社です。村上社長は、クリエイターとの展示会や商品開発、情報発信を進めています。今回は藤井さん(つくり図案屋)と、ざっくばらんな対談をしていただきました。

村上氏

取材風景

自分で枠をつくる人は、
もったいないと思う。

取材風景

藤井

まず、貼り箱の製造プロセスについて教えてください。

村上

まずボール紙で土台になる箱を作るのですが、次に天然素材であるニカワを熱で溶かして、箱の表面に化粧紙や布地などを貼り付けていくのです。特にニカワは冷えると急速に硬くなるので、素早く正確な熟練技が要求されるのです。

藤井

グラスケースやチョコレートの箱を製造されているようですが、和よりも洋風箱の需要が多いのですか?

村上

作品

そうですね、基本は洋風なものが多いですね。でも最近の傾向で面白いのは、和風っぽいリクエストがぽつぽつと出てきています。和紙だからというより、和のテイストがほしいというお客さんが出てきています。

また、中にはなんでもかんでも高い素材を使えば良いと錯覚している人や、コスト無視の現実離れしている相談は正直ありますね。そんな場合は、納得頂けるよう丁寧に説明するよう心がけています。

作品

藤井

ラジオ出演や、トークの場面などで情熱を持っていろんな話をされていますね。

村上

同業の箱屋さんに比べたらクリエイターさんとおつきあいさせてもらっている分、そのあたりの感覚はあるかと思います。

藤井

デザイナーが村上さんの箱を見てインスパイアされている部分もありますね。

村上

箱って、言葉だけで説明してもなかなかわからないですからね。

藤井

最初はデザイナーとどういうきっかけで関わられたのですか?

村上

最初のきっかけはドライブの芦谷さんですね。ちょうど2年前にたまたま製造業社の勉強会があって、そこで講師として来られていた芦谷さんにブランディングの話を聞いて、響くものがありました。

その後、メビック扇町の催しで芦谷さんに藤井さんをはじめ、いろいろなデザイナーさんを紹介していただいたのがきっかけですね。

藤井

業種的に違和感はなかったですか?

村上

僕はそんなになかったですね。デザイナーさんと知り合ったところで、それがすぐにお金になるわけでもないですし、効率を考えるとそんなことをしないと思います(笑)。でも異業種というか、ものづくりとは別の業界の方と接するのが面白いと思いました。刺激をいただく部分が大きかったし、抵抗はなかったですね。

藤井

よくある業界団体、例えば紙器の組合とかに入っておられますか?

村上

正直集まったところでプラス思考の話にならないことが多いので入っていませんでしたね。でも最近は若手の貼箱の経営者の人らが、業界が低迷しているからと言って勉強会を立ち上げたいから協力してもらえませんかというオファーをいただきました。業界自体もちょっとずつですが動き出していますね。
私は限られた業種でネットワークの枠をつくる人はもったいないなと思います。

家族経営を行う上での
時間のつくり方

作業風景

藤井

家族経営でやっていて、なかなか外に出て行く時間がないと思うのですが、村上さん自身はどういう工夫をされていますか?

村上

基本的には夜ですね。私も昼間のイベントは出にくいですから。
時間をつくって可能な限り積極的にデザイナーや異業種と交わる事で、本当に自由にものが言い合える関係を築きたいですね。
最初は、なんやかんやゆうても異業種間の壁があることは確かですから。

藤井

その結果、例えば社会的と言うか、街がらみの何かそういうものにもっと製造業やデザイナーがタッグを組んで参加していかなければいけないなあと思います。そんなのがあちこちに出来ていったら大阪は活性化しますよ。

ゴスロリの傘を入れる箱?
webが予想外の
依頼を運んできた。

藤井

ホームページを上手につくっておられますが何か面白い反応はありますか?

村上

9年前に、自分でホームページを立ち上げたのですが、当初は全く反応がなかったのです。でも3年前に大阪産業創造館でホームページの勉強会に参加し、リニューアルをしました。
ホームページで伝える内容をワークショップ的なものにころっと変えて、ブログも書き始めてから大手企業の研究所や家電メーカー、デザイナーさんなどから依頼が来るようになりました。

藤井

それによって何か新しい発想とか、取り組み方がかわったことはありましたか?

村上

ゴスロリの傘を入れるケースを見本でつくったことがありました。棺桶みたいな箱に入れたいという相談で、結局コストが合わず製品にはなりませんでしたが、僕らの常識ではここにそんな素材を使わないだろうなという相談がくると、いい意味で刺激になりますね。
雑誌でも紹介がありましたが「貼り箱界のフェラーリ」が目標ですから。

藤井

そうですね。今日はどうもありがとうございました。

取材班

つくり図案屋 藤井 保氏

文:狩野哲也事務所 狩野 哲也氏

クロスポイント Vol.14 公開:2009年02月18日

村上紙器工業所

住所

大阪市西成区天神ノ森1-19-8

URL

http://www.hakoya.biz/

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