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クリエイティブクラスター伊藤忠ファッションシステム(株)×組立通信
今回お話をお伺いしたのは、IFS大阪支店 支店長兼ブランディング推進グループ長の新谷氏。ライセンスビジネスの業界で一つの成功モデルとなった、愛・地球博の「モリゾー・キッコロ」のブランディングも同氏が手掛けた。IFS東京本社立ち上げの初期から携わり、その後東京で勤務。このほど本社から「大阪を元気にせよ!」との特命を受けて、自らのルーツでもある関西に26年ぶりに戻ってきた。取材では、どこか「先生」を思わせる語りかけるような口調が印象的で、聞けば実際に大阪芸術大学デザイン学科で講師を務め、生徒にデザインやブランディングについて教えているのだそう。

伊藤忠ファッションシステムの新谷氏(写真奥)と、組立通信の真柴氏 (写真手前)

いきなりですが、ご出身は大阪ですか?
神戸生まれなんですが、京都工芸繊維大学の工芸学部を卒業し、1976年に大阪のIFSに入社しました。その5年後には東京へ転勤になって25年間東京で勤務。親会社の伊藤忠商事の繊維部門もまだまだ大阪が中心だし、自分のルーツでもある大阪をまた盛り上げようということで、昨年大阪へ戻ってきたんです。
では26年ぶりですね!久々に戻ってこられた大阪の印象はどうでしたか?
それがね、正直言うと最初の印象は、「みんな沈んどるな~」と。
僕が大阪で就職した70年代は、サントリーさんのデザイン部や広告宣伝部、パナソニックさんなんかのプロダクトデザインの舞台もみんな大阪だったんで、周辺にいろんな方がいました。70年代はデザインと言えば大阪と言われていたんですよ。それがどんどん東京にシフトして行くと共に、クリエイターも東京に流れていっちゃって。
でもね、僕が大阪に来ていろんな人と話してみると、関西には関西にこだわりをもって仕事している人がちゃんといるんだなと分かってきたんです。今は色々なプロジェクトに取り組んでいる最中なんで、是非そういう方達を巻き込んでいきたいと思っています。
もう動いているプロジェクトはあるんですか?

今取り組んでいるプロジェクトの一つに「食の都・大阪」があります。シンボルマークを作って商標登録をして、レストランだけじゃなくって野菜や肉とかの食材関係にも、どんどん使ってもらえるようなブランディングをやっていこうと。いくつかある事業の中で「シンボルマーク化」というのを中心にやらせてもらってます。
もう一つは、阿倍野の近鉄百貨店が2014年に向けて日本一の売り場面積を誇る百貨店に生まれ変わろうとしていますが、どういう商業施設にしていくかというコンサルティングをしています。さらに、今年からは阿倍野というエリア全体のブランディングもやっていこうと。どの様にすれば皆さんに価値を感じてもらえる街にできるか、近鉄鉄道さんや近鉄百貨店さんと一緒に構想を練っています。2014年のオープニング直前じゃなくて、今からPR誌やWEBとかのメディアを使って徐々に、一般の人に向けて発信していきたいと考えています。近鉄さんに提案中です。
阿倍野再開発のことは耳にしていたんですが、このエリアをどう開発するんだろうと思っていたました。あの辺りって、天王寺と阿倍野の境目が分かりづらかったりするじゃないですか。阿倍野の「ベ」も書き方が2つあったり(笑)。小さなエリアでいろんな顔を持ち合わせていて。大阪の中でも、特におもしろいエリアですよね。
私自身、実をいうとあの辺りには子供の頃に動物園に一度行っただけだったんでけど、昨年から大阪芸術大学で講師をしている関係で、今は毎週阿倍野に通っています。独特の雰囲気が残る面白いエリアですよね。「フープ」や「&」あたりの路地裏には、立ち飲み居酒屋とかバーなんかがあったり。ああいうところは、ずっと路地裏のままであって欲しいなぁと思いますよね。
阿倍野再開発プロジェクトには、どのような方が参加されているんですか?
大阪にいらっしゃる知識人からクリエイターの方までいろんな人に呼びかけています。例えば、商業施設開発のプロデューサー、大学の教授、情報誌の編集の方、コピーライターの方などです。みなさんに多角的な視点でいろんな提案・助言をしてもらいながら、意見をまとめ上げています。我々の東京メンバーで言えば、自分のような関西で生まれ育った人間もいたり、「東京ミッドタウン」や「ららぽーと」など東京のエリア開発に携わってきた人間もいたり、という構成になっています。
私も、地域を盛り上げるためには誰かが花火を上げなきゃといけないって、実感として思うんです。「天満のスイッち」は、私達のフィールドだった天満の面白さを外に発信したいという思いで始めたんです。すごく嬉しいのは他のメディアでも天満が取り上げられるようになってきて。阿倍野もこれからどんな街になるか今から楽しみですね。
ファッションシステムという社名を聞いて、てっきりアパレルがメインかと思ってました。聞くと、本当にいろんな事業をされてるんですね。
もともとIFSは伊藤忠商事の子会社として、ファッション分野におけるライセンス提携やテキスタイルデザイン開発などの業務展開をしていたんですが、どんどん派生していって、ファッションを切り口としたさまざまな分野のブランディングへと今や総合的な展開をしています。
例えば、愛・地球博の「モリゾー・キッコロ」もそうで、80ページ程の企画書を私が書きまして、そのライセンス権と会場での販売権を取得しました。キャラクター展開のデザインルールブックを開発したり、ストーリー化をきっちりするとかブランディングを徹底しました。
時代の流れに最も敏感なのがファッションだと思うんですよ。我々はそのファッションの分野で得た経験を活かしたコンサルティングやマーケティングをやっていこうと考え、次第にプロダクトの世界にも我々の発想を持ち込めるようになってきました。業態としては広告代理店に近いように見えますが、我々は商品開発するところから提案します。今は自社を「ブランディングカンパニー」という言葉で表現しています。
海外のクリエイターともお仕事をされているとお聞きしたんですが、日本との違いは感じますか?
こっちで例えば、メーカーが作った商品のカタログを作る際に、打合せや撮影の現場なんかでアートディレクターやカメラマンなんかが、「これ使いづらい」とか「なんかダサイなぁ」とか言っている場合が多くて。そう言うなら、「開発するところから入ってこいや」、と言ってるんです。海外、特にヨーロッパのクリエイター達は、建築家がアパレルをやったり自分の世界を作るということにすごく積極的。反面、日本のクリエイターは自分の守備範囲を決めつけてしまっているような気がします。
なるほど。では新谷さんがデザインやプロダクトに携わる中、「これだけは絶対!」という、何か信念みたいなものってあるんですか?
自分達の欲求を素直に出せるか。それがないとデザインにならないかなぁって。人から言われてではなくて自分から発信していくことをやっていけば、自分の世界観ができあがっていくと思うんですよね。受注した仕事であれコピーライターやデザイナーもその仕事に自分なりの考え・表現を入れるべき。プロジェクトに参加している人達の発想が重なり合えば、結果としてかなり良いものが出来上がるはずです。
私もクライアントの言うことをあまり聞かない方なんです(笑)。もちろん、お互い納得の上でですけど受注の時と全く違うものになってたり。
素晴らしい(笑)。何か作ったりプロジェクトをやる時に、引いていたりクライアントのわがままの言いなりになったりすると、失敗することが本当に多いですよね。
そうなんですよね。私もこの前、商工会議所さんとお仕事をする機会があって、めずらしく遠慮してやったら最後にすごい怒られて。もっと食いついてくるかと思ったわ!て言われちゃいました(笑)。
そういうことですよね(笑)。とは言え、まずは結果として利益が優先されるということも認識した上で、へんにクライアントに絞られることもなく。自分の世界観を持った、勢いのあるクリエイターの方々に、いろんなプロジェクトに参加していただきたいと思いますね。
売り込みはOKということですね(笑)。今後、大阪での活動が楽しみです。
本日はお忙しい中どうもありがとうございました。
こちらこそ、どうもありがとうございました。

(席を立った後、新谷氏が「天満のスイッち」を手に取って)
ところで「天満のスイッち」の「ち」はなんで平仮名なんですか?
見た人が気になるかなぁと思って(笑)。スイッチってすごくないですか?付けたり消したり。スイッチを入れれば何かが変わる!って(笑)。
なるほど。次は、私達が阿倍野のスイッチを押す番ですかね(笑)。
大阪市中央区久太郎町 4-1-3
伊藤忠ビル6F