「SP(セールスプロモーション=販売促進)」という考えを世の中に定着させたい
長尾 朋成氏:(株)ゼック・エンタープライズ

SP理論に基づいた唯一のSPプランニング企業、株式会社ゼック・エンタープライズを率いる長尾社長。メビック扇町、そして周辺の「このクリ」(「この街のクリエイター」)のイベントに参加する多くの企業の中でも随一、バリバリの経営者風存在感を放つ長尾さん。この貫禄、存在感、はどこからくるのだろうか?そして独自の「SP理論」とは? 長尾さんにお話をお伺いした。

初の起業は15歳!

長尾さん

高専1回生の頃、キャラクターショーに出会い、自分たちではじめてしまった長尾さん。わずか15歳にして(個人事業という形ではあるが)、代表として約50人もの人と運営していたという。営業を必死でかけ、時代の流れもあり、大盛況。しかも「学生の頃のほうが今より儲かってました(笑)」というほど利益も上げていたというから驚きだ。

2回目の起業は「営利につながるお手伝いをしたい」という思いから。

「自分のことをなんでもできる世界一の天才だと思ってました(笑)」そんな18歳の長尾さんに転機となる事件が起きる。友人と初めてゲームした「モノポリー」(双六型の盤ゲーム)で惨敗してしまったのだ。
話を聞く側にしてみれば単なるお遊びで流せばいいと思うのだが、本人にすれば、大のショック!それがきっかけで自分自身の人生を見直すことになり、「このままではいけない!」と反省。
キャラクターショーの会社を辞めて旅に出ることに。

「本気で考え込みましたね。自分の将来を見つめなおすいい機会になりました。あのとき負けてなかったら、一生、テングのままダメな人間になっていたと思います。あと、そのとき、大好きだった彼女にフラれたことも、原因かな?(笑)」と当時を振り返る長尾さん。彼の真面目さと大物さが垣間見れる面白いエピソードだ。
ただ、長尾さん自身も、日々キャラクターショーを続ける中での疑問も感じていたという。

「イベントの現場は盛り上がっていたけれど、ただ盛り上げるのが目的ではない。お店の売り上げにつなげるのが本当の目的なのに…」。

そして「本当に営利につながるお手伝いをしたい!」そんな思いから、1995年、SPコンサルティング会社、有限会社ゼック・コーポレーションを創業。
2度目の創業といえど、まだまだ21歳のときだ。今では一般的となったSP(セールスプロモーション)という言葉が使われることも当時まだ少なかった頃、SPという言葉・概念を広めたいという気持ちもあった。

株式会社ゼック・エンタープライズへ

受付ロビー

1年後には、株式会社ゼック・エンタープライズへの組織変更もはたし、事業は順調に起動に乗りはじめたが、大型の不渡りに会うなど数多くの苦労もあったという。しかし「しょうがないからそのときはボーナスを多めにだした(笑)」という懐の大きなお話も。
「『鈍すりゃ貧する』ですからね」となにげなく語る長尾さんだが、その姿勢がゼック・エンタープライズの現在の発展を象徴しているように思えた。

独自のSP理論とは?


セーラム箱の山

さて、長尾さんが掲げるゼック・エンタープライズ独自のSP理論とはどのようなものなのだろうか?
ここで全てを書くとスペースが尽きてしまうが、その1番の特徴は「特定の個人を限定させるほどターゲットをしぼり、そのターゲットに対してアプローチを繰り返す」ことである。
「あとは企業秘密、お仕事を頼んでいただだけたら、お答えできますよ(笑)。アン・グラフィックスの安藤さん(筆者)、お仕事お待ちいたしております!」ということだが、確かにそれを実践することは並大抵ではない。

さらにゼック・エンタープライズの最大の強みは「実際に現場を知っていること」。「エンドユーザーとの接点である、小売の最前線にいること」だ。
企画を提案するだけでなく クライアントから依頼された商品を直接販売まで行う。そのためにPR販売員の教育・研修までもじっくり時間をかけて行っているという。

そんな企画・コンサル会社を筆者は聞いたことが無い。なぜそこまでするのですか?と尋ねると、理由は「机上の空論はイヤだから」「うそっぽいことが大っ嫌いなんですよ」と長尾さん。
その独自のSP理論が効果を出し、2002年には東京支社も設置、さらにこの4月にはSPに関するディレクションを行う株式会社ゼック・ディレクションズを設立。
現在誰もが名前の知っている大手のクライアントが取引先の多数を占めるが「今後はもっと、自分たちと同じ中小企業さんとの取引を大きくしていきたいですね。」という。

「ともに成長して大きくなっていきたい。今付き合いのある中小企業さんが大きくなったときに、大手と取引して得たノウハウをアレンジして使うのが楽しみだから」

これから大阪の中小企業が成長して大きくなったとき、その傍にはゼック・エンタープライズがいるかもしれない。

「自分もただ楽しい買い物がしたいから」


スタッフ集合写真

最後に、長尾さんの個人的な夢、そしてゼック・エンタープライズとしての夢を聞いてみた。

「個人的な夢は、遊園地を作りたいんです。それも富士急ハイランドのお化け屋敷を越える遊園地を」

やはりこの人は夢もでかい。
そして会社としての夢は「『SP(販売促進)』という考えを世の中に定着させたい、そしてその努力をしていきたい」と、情熱たっぷりに語ってくれた。
SPにこだわる理由についての答えに「自分もエンドユーザーとして楽しい買い物がしたいから。それだけなんですよ」という言葉を聞き、納得と同時にとても嬉しくなった。

GEX看板

公開日:2008年05月14日(水)
取材・文:安藤 直人氏