ビジネスモデルには原理原則がある
中村 元義氏:(株)オールワンズマイト

南森町にある(株)オールワンズマイトは、インターネットを使ったプロモーションを企画&サポートする会社です。事業内容は「オリジナルビジネスモデルの企画・構築・運用」「新規ビジネスモデルの構築・運用支援」「システム構築、プロモーションサポート」の3つ。
 ??? …さて、具体的には何をしている会社なのでしょう。根掘り葉掘りインタビューしてきました。

ビジネスモデルには原理原則がある

代表の中村元義さんは、プランニングディレクター。インターネットを使ったビジネスモデルを提案する傍ら、ASPサービスやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のシステムパッケージ、小さな会社向けのマーケティングサービスを展開されています。
「ビジネスモデル」と聞けばムズカシイ印象を受けますが、「アイデアを思いつきで終わらせずビジネスにするために、入り口から出口までを考えて時間軸に落としていくことがビジネスモデルです」と説明され、敷居の高さが取れました。
中村さんの仕事のほとんどは企画書書きとアクセス解析。多業種のビジネスモデルを提案するなんて大変そう、という質問に「考えること自体が好きですし、ビジネスモデルには原理原則があるんですよ」。

ネットは「手軽さ」と「速さ」が命

京都西陣の帯職人の家に生まれ育った中村さん。学生の頃から「いつか自分で商売をしたい」と思いつつ、バーテンダーを経て転職した会社は、食品の販促物を企画する会社でした。ここでパンフレットやPR情報誌など、販促物のディレクションに携わりました。
当時、ホームページの管理は大変手間がかかり「もっと簡単に更新できるサービスがあったら」とあたためていたアイデアがありました。これがのちのオリジナル商品「はりがみ屋」の前身です。これは、数行のタグを貼れば携帯メールからでもすぐにホームページが更新できる、というサービスです。
「たとえばランチって、昼の11時から2時まで、せいぜい3時間が勝負でしょう。その時間までに確実に、今日の情報が伝わらなければ意味がない。仕込みで忙しい人でもパッと更新できる手軽さこそが、ネットの世界には必要だと思っていました」。

共同経営から「オールワンズマイト」へ

そんな中、社内ベンチャー部門に配属となり、いろんな交流会や勉強会に参加するうちに出会った数名で意気投合。ベンチャー支援の会社を立ち上げることに。世はITバブルの終わり頃、ITベンチャーの波にきわきわ乗った2000年、中村さん30歳のことです。「30?40代の会社でした。取締役でもありましたが、実務部隊としていろんなビジネスプランを手がけました」。

紆余曲折を経て2002年、「はりがみ屋」を主体にすべく分社化、誕生したのがオールワンズマイトです。「当初はオリジナル商品を持ちつつも、IT=ホームページ制作会社のイメージが強くて。超大手企業案件の下請けも結構ありました。今思うと勉強になりましたね」。

やがて、独自の商品力が活かせるよう仕事の幅を広げ、今ではクライアントとの直取引がほとんどに。化粧品ブランドのオンライン向けプロモーションや旅行会社のWEBサイトリニューアルなど「企画力やディレクション力を活かせる仕事が中心になりました」。
共同オフィスで一人でスタートした会社も、今では南森町のオフィスビルで3人に。飛込み的な営業活動はほとんどしたことがなく、ほとんどのクライアントが紹介でつながっているそうです。現在「女性向けの企画に強いメンバー募集中です」。

小さな企業の売りは「社長」

「ユニークで価値のあるサービスを、価格以上のクオリティで提供していきたい」というオールワンズマイト。社名には「全力を尽くす」という思いがこめられています。

現在展開しているサービス「プロファイルマーケティングパック」は士業や小規模事業所向きのプロモーションサービスです。

大手のビジネスモデルを手がけながら、はりがみ屋はじめ、小さな事業所に目を向けている理由を尋ねると「大きな会社=いい案件というわけではありません。小さな規模でいい仕事をしているところも多いですし、そういうところと膝を突き合わせていろいろできるのも面白いですよ」。

ミクシィの「南森町コミュ」管理人でもある中村さんは、震災直後に大阪に来てから中崎1丁目→天満2丁目→中崎西と移り住み、今は中崎西在住。この街の、職住がまざりあった住みやすさと利便性が気に入っているそうです。「いつか、はりがみ屋を活用した地域情報サイトなどを運営したいですね」。

公開日:2008年03月25日(火)
取材・文:真柴 マキ氏