グローバルへ地元感覚でネットワークを広げろ!
松田 知樹氏:シーエスアイジャパン(株)

シーエスアイジャパン事務所入口
松田氏

梅田にも隣接する豊崎にヘッドオフィスがあるシーエスアイジャパン株式会社は、プリント基板などの回路設計のパッケージソフトの開発・販売が主な業務なのだが、なぜ、「このクリ」のクリエイティブに登場したのか? 今回インタビューさせていただいた松田氏に話を聞いた。

Webプロデューサーになる意味

松田氏

ICTソリューション事業部マネージャー兼Webプロデューサーの松田氏は、意外にもWeb業界への転職組としては出遅れた方だという。Webビジネスの可能性を感じて勉強のためそれまで勤めた会社を辞めたのが2000年。別の仕事をしながら独学でインターネットとデザインの勉強に取り組み始めたが、やはり専門知識を学ぼうとアプリケーションの専門学校に通い始めたのが2002年だった。約一年後、ある人材系広告代理店がwebに強い人材を探していることを知り入社、すぐにディレクターを任され山ほどあった仕事をこなしている内に、半年後には数千万円規模の制作プロジェクトを回し、気が付けば人の採用まで任されていたそうだ。

現在のシーエスアイジャパン株式会社で活躍するきっかけとなったのは、展示会用にと新製品のプロモーション映像制作の依頼を受けた際、同社の加藤社長と出会ったこと。「インターネットサービスを視野に入れたグローバルなビジョンを聞きながら、空気で伝わってくる強力なパッションと営業センスに圧倒され、この社長のもとでなら自分の今までの経験を十分に活かせると強く感じました」。

社長のオーダーは自社のWebプロモーション

入社当初のオーダーは同社のCAD製品のプロモーションとWebマーケティングだった。ところが、自社サイトの分析とリニューアルを進める傍らで、松田氏の人脈からビューティコンサルタント会社のロゴ制作から印刷物、サロンのPV制作までをフルプロデュースする仕事が舞い込み、社長に相談するとあっさりOKがでて、すぐに転職前とあまり変わらない「いそがしモード」に陥った。

こうして始まったICT事業部は主に2つの柱を事業として進めている。一つは自社製品のプロモーション全般、ブランディング、CIデザインである。例えば、Webサイトを拡充しバージョンアップを繰り返し、お客様に喜ばれるユーザー専用ページの設置とインタラクティブなシステムの提供により顧客満足を生みだす。さらにデザインの力を駆使し、Webサイト、製品カタログや会社パンフレット、ロゴを一新することに加え、効果的なwebマーケティング施策の結果、業界内での知名度と認知度の向上に繋がったという。「社長の発想力や優秀なデザイナー、プログラマー達の働きぶりを見ていると、身内ながら感心してしまいます。」

二つ目は他社のクリエイティブを請け負う事業だ。特に、同社のユーザーとのつながりを活かした製造業界、電子業界のプロモーションに強みがある。「製造、電子業界というのは技術の最先端を走っているのにも関わらず、どうしても自社のIT化が進んでいないところが多いと思います。どんどん応援していきたいですね。」

グローバルな展望

同社は製品の一部をSaaS(サース)化[サーバー上で動作するアプリケーションソフト]していく戦略で、海外へのグローバル展開を進めている。時代の流れは、OSにもブラウザにも依存せず、インターネットさえ繋がっていれば何でも完結する世界。戦略地域(米国・EU・中国/台湾を始めとするアジア圏)で発生する収益の一部を、環境保護活動にキックバックするという社会貢献活動もCSRの一環として具体的に計画中である。「ソフトウエア=環境保護という発想はなかなか結びつきません。使用して頂くユーザー様とがんばっている社員のためにも取り組まなければならないと思うのです。グローバルにではなく、各地域にピンポイントで還元するエコロジー活動は、新規参入時に各地域で受け入れられやすく、今最も関心が高い分野ですから会社の姿勢も伝えられます」と松田氏は語る。環境は人と地域とも密接にリンクする。「この街のクリエイター」に賛同するきっかけとなったのも、少なからず共通のビジョンを持っていたからだ。

「同じ想いを持つ前向きな人間を集め、お互いイメージできる話題で話し合いを深めれば、きっと良いコラボレーションが生まれます。」松田氏は半年前から組織や所属を超えたクリエイター仲間と共に、月1回の交流会を開いている。「オーシャンズ」では本気でまじめな情報交換や勉強会を通じて、草の根的に地元で集まり会社の垣根を越えたネットワークを広げている。将来NPOにまでして業界全体の地位向上も目指している。

この原稿を執筆することで筆者も松田氏とお会いし、現在毎月のオーシャンズに参加しています。とても可能性を感じています。

公開日:2007年12月21日(金)
取材・文:株式会社ファイコム 浅野 由裕氏