インターネットを通じてお客様に笑顔を提供したい
杉若 太郎氏:(株)スマイルヴィジョン

杉若氏

大阪市北区。株式会社スマイルヴィジョンのオフィスは、現在のメビック扇町から徒歩10分ほどの場所だ。ラフな格好でにこやかに現れたのは代表・杉若太郎さん。「メビック扇町のインキュベーションオフィスは1年ほどで卒業したのですが、近い場所で次のオフィスを探したんです。独立当初からの創業者仲間とのつながりはもちろん、私にとってメビック扇町の存在は大きいですから」と、飄々と話し始める杉若さん。そんな杉若さんに起業のきっかけから現在に至るまでの歩み、これからの展望などを語っていただいた。

はじまりは学生時代のコミュニティサイト

インターネットを使ったビジネスの世界に興味を持ったのは大学生の時だったという杉若さん。山口県で学生生活を送っていた頃、当時流行し始めたというウェブサイト構築フォーマットを使って山口県民のためのコミュニティサイトを作成。それがまたたくまに人気となり、広告収入はちょっとしたアルバイト並みの金額となったという。
「特別な技術がなくてもインターネットを使って情報発信ができる時代の始まりでした。その経験が今のビジネスにつながっていると言えるかもしれませんね」
ビジネスにおけるインターネットの可能性を直感したという杉若さん。卒業後は大手旅行会社のシステム部門に就職し、自らの企画・立案でインターネット事業部を立ち上げた。
「当時ビジネス界においては、インターネットの地位は低いと言われていました。そんな中、インターネットを通じての予約システムや集客の方法を考案しました。今となっては当たり前のことですが、それを自ら切り開いて軌道に乗せたという実感がありました」
そこで自信をつけたという杉若さん。約4年間の勤務の後、自らが代表となり、同じ会社の広告部門・システム部門の仲間5名とともに会社を立ち上げた。先見の明とリーダーシップは、その頃から健在だったようだ。

成果が見えるまでが顧客へのサービス


ネットショップ開業システム
Smile Store 2

2004年、創業とほぼ同時にメビック扇町のインキュベーションオフィスに入所。スマイルヴィジョンをスタートさせた。とは言うものの、はじめの半年間は売り上げがゼロ。しかしその半年の間に、インターネットショッピングのシステムを構築したという。常に一歩先を読んで行動する。その天性とも思えるビジネスセンスは、逆境をもチャンスに変えてしまう。その後、少しずつ事業は軌道に乗り始め、スタッフの増員に伴って2005年にメビック扇町を卒業。その時の開発商品「スマイルストア」は、現在では多くの企業に採用されるばかりでなく、購入をきっかけにウェブサイト制作受注にまでつながることもあるという。

現在はアルバイトを含む17名のスタッフを抱えるスマイルヴィジョン。そのサービスはウェブサイト制作にとどまらず、サイトを使った集客や企業価値の向上までを含むという。
「スマイルヴィジョンの理念は、インターネットを通してお客様にスマイルを提供すること。ウェブサイトを作って終わりではなく、それによって何らかの成果が現れるまでを私たちの仕事と考えています。別の媒体が必要であれば対応もできます。だからこそメビック扇町を介した仲間たちとのネットワークは大切だと思うのです。いろいろな道のプロがいますから」
メビック扇町には、自身が代表知事を務める関西デジタルコンテンツ事業協同組合の活動のためにも頻繁に足を運ぶ。さらに兵庫県中小企業家同友会青年部の副幹事長を務めているという杉若さん。そこでの出会いや仲間たちとの会話が仕事の励みだという。
「“頼まれごとは試されごと”だと思っているんです。なのでこうして経営者団体での役職を任せていただけるのはありがたいですね。リーダーとしてみなさんと胸張って顔を合わせるためにも、日々がんばらなくてはと思いますから」

会社理念の共有を大切に


蝶の標本販売「Nature-shop」で
販売している商品一例

起業から8年。当時の創業メンバーは、今もよき仲間として共に歩んでいる。そのことからも杉若さんが「本当のリーダーシップとは何か」について真摯に向き合い、努力していることがうかがえる。
「我が社の理念は “挑戦し、創造し、成長すること”。それを社内のみんなで共有するように心がけています。それによって全てのスタッフが一つの方向を向いていられると思いますから」
最後に今後の展望について聞いてみた。
「一つは会社の規模を大きくすること。安定的な経営のためにも50人ほどの規模にして、組織をきちんと作って運営したいと思っています。もう一つは自社商品と受託制作の割合を半々ほどにすること。自社商品ですか?スマイルストアという商品以外にも、いろいろなサイトを運営しているんですよ」
聞くところによると、「世界のお土産市場」、蝶の標本販売「Nature-shop」をはじめとする様々な商品販売サイトを運営・管理しているという。売り上げも上々だという杉若さん。若きリーダーの挑戦はまだまだ続きそうだ。

公開日:2012年07月31日(火)
取材・文:株式会社ランデザイン 岩村 彩氏