Routes-Bow Design 桑原 陵氏

未来をデザインに込める、それがプロダクトデザイン。

桑原氏

高校進学時からデザイナーの仕事に就くという目標を持ち、実際にプロダクトデザイナーとして活動しているRoutes-Bow Design(ルツボデザイン)の桑原氏は、家電、自動車用品や医療器などのデザインを行っている。社内秘の新商品開発に深く携わることが多いプロダクトデザイナーは、グラフィックデザイナーなどに比べフリーランスの数は少ないそうだ。今回は桑原氏に仕事の楽しさや、今後の新しいチャレンジについて話をうかがった。

高校進学時からデザイナーという仕事を目指す。

小学校の頃から絵を描くことが好きだったという桑原氏。スーパーカーやロボット系アニメのプラモデルが好きな普通の子供だったそうだ。
「高校を受験する段階で、漫然とデザイナーという仕事に就きたいと考えていて、将来は自動車のデザインがしたい、なんて思っていました。もちろん、この時はまだグラフィックデザインとプロダクトデザインの違いや、そもそもデザインの分野が細分化されていることすら知りませんでした。それでもデザイン科がある大阪市立工芸高校を見つけて、無事入学することができました」
学校では、平面と立体の両方について学んだ。しかし、気がつけば立体に惹かれていたという。
「なんとなくですが、触感がある立体の方が好きだったようです。自然にモノづくりに携わることを目指して就職活動をするようになりました。そして、鞄やベルトを製造するメーカーにデザイナーとして入社することができました」

人との繋がりが導いた独立への道。

こうしてデザイナーとしての活動をスタートした桑原氏。だが、入社した会社はまだMac導入の過渡期で、Macが導入されていなかった。
「そのうち、下請け会社の方が先にMacで作ったデータやCADで作った図面で納品してくるようになったんですが、うちの会社は費用がないから無理という話でした。これでは時代に取り残されてしまうと危機感を持ったんです。そこで会社を退社して大阪市立デザイン教育研究所という教育機関で、Macを学ぶことにしました」
こうして、Macの使い方やプロダクトデザインの基礎を学んで2度目の卒業を果たした桑原氏は、デザイナーのアシスタントとして働いたあと、ハンガーメーカーでデザイナーとして働き始めた。しかし、Macの導入を約束していたにも関わらず、会社はなかなかMacを導入してくれなかった。
「この頃から独立を考えていました。するとMacが個人でも手に入る値段になってきたんです。そんな時、大阪市立デザイン教育研究所で学んでいた時の恩師がご近所に住んでおられて、時々バッタリとお会いしたりしていました。すると、恩師の方から手伝って欲しいと声を掛けてもらい、決心がつきました。タイミングと縁がピッタリ合ったからこその独立でした」
こうして桑原氏はRoutes-Bow Designを立ち上げて独立し、フリーランスのプロダクトデザイナーとして活動をスタートした。

数年先を読んで、デザインに落とし込むのが楽しい。

作品

独立後は恩師からの仕事はもちろん、その他の仕事にも積極的にチャレンジしている。例えば、組み立てると動物が完成するペーパークラフトの設計。
「天王寺動物園で販売されているコアラのペーパークラフトを設計しました。展開図を作るのは1日もあればできるんですが、コアラの特長を掴むのに何度も動物園に通ったりして苦労しましたね。あと、子供用ですから簡単に組み立てられることが大前提ですし、パーツも少ない方がいい。なかなか楽しいチャレンジでした」
プロダクトデザイナーという仕事の楽しさについてたずねた。
「デザイナーという仕事は、次の時代を見通してデザインしなければならない点からも、未来を語る仕事だと思っています。特にプロダクトデザインは開発スパンが長いため、常に数年先の市場に向けたデザインをすることになります。私がデザインした商品を使ってくれる人の姿を想像しながらデザインをしている瞬間が本当に楽しい。もちろん、自分がデザインした商品を使ってくれている姿を見るのも、大きな喜びです」

デザインプロセスを活用して新しい分野にチャレンジ。

作品

桑原氏は昨年から専門学校でプロダクトデザインの授業を担当している。こうしたプロダクトデザインの仕事で得たノウハウを活用して、新しいジャンルの仕事にもチャレンジしたいと考えている。
「私が住んでいる西淀川区には、モノづくりに関わるたくさんの中小企業が集積しています。そして、その多くが大企業の下請けと聞きます。しかし、自社商品を開発する夢を持っている企業も少なくない。私はその夢を実現するお手伝いをしたいと考えています」
中小企業のプロダクトの中には、デザインに配慮すればもっと売れる商品があるという。もちろん、デザインにこだわるだけでは、自社商品開発を成功させるのは難しい。
「プロダクトデザインは商品の売り上げに直結しますから経営面との関連も密接です。今後は経営のプロとコラボレーションして、中小企業を応援したいと思っています」

クリエイターズファイル Vol.214

公開

2011年02月25日(金)

取材・文

株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏

« 前|(有)プロトコルラウンジ 宮本 哲也氏

記事一覧

(有)メディアグラフィックス研究所 齊藤 秀雄氏|次 »