人の縁に助けられたから、ITで人の役に立ちたい。
岩崎 義弘氏:(株)PPnR

岩崎氏

南森町から少し東へ歩いた閑静なエリアにあるビルにある(株)PPnRは、フリーランスとして10年以上のキャリアを持つ代表の岩崎義弘氏が2010年の9月に法人化したばかり。ウェブサイトやCMSを使ったサイトの企画・制作をはじめ、財務コンサルティングやグラフィックデザイン、DTPなども業務として手掛けている。今回は、岩崎氏にウェブの仕事で大切にしていることや法人化した想い、これからの展望などについてお話をおうかがいした。

ディスプレイ屋からIT屋への変化を助けたのは“人の縁”。

専門学校の学生だった頃は、空間デザインを学んでいたという岩崎氏。でも、興味があったのはIT関連の部分だったという。
「私が通っていた専門学校は、図書室にインターネット常時接続のMacがあり、学生一人ひとりにメールアドレスが与えられていました。Macルームでは一人一台のPowerMacが割り当てられていました。当時は珍しかったと思います。そこで、趣味としてホームページやCG、映像を作ったりして楽しんでいました」

就職した空間デザインやディスプレイを企画・制作する企業も、実はIT関連の業務に興味があったからだった。
「ディスプレイデザインはもちろん、全体の企画やポスターデザインなど、さまざまな仕事に携わりました。大きな展示会のブース内で映し出す映像制作もやりましたね。とにかくディスプレイに関わるあらゆる部分に携わっていました」
しかし、体調を崩してしまい、この会社を退社することに。療養していると、友人から誘われてグラフィックを中心に活動する事務所を立ち上げ、店舗のロゴやポスターなどをデザイン、ディレクションした。また、この頃に辻村久信氏(現(株)ムーンバランス代表取締役)に誘われて、東京デザイナーズウイークにも参加した。
「この頃から、少しずつウェブサイトの制作も行っていました。当時は今日素材をもらって明日納品なんて当たり前。とにかく目の前の仕事をこなすことに精一杯でした」

その後も、何度かパートナーが変わる中で、少しずつ岩崎氏の中でウェブをはじめとしたIT関連業務が仕事の中心になっていったという。

法人化して『社会の役に立ちたい』。

取材風景

ずっと個人事業として活動してきた岩崎氏が、今回(株)PPnRという法人化に踏み切った理由をたずねた。
「やはりウェブは、技術が進歩するスピードが速い。これから年齢を重ねていく中で、自分は制作の立場から離れてプロデュースの立場に移行して、本当にやりたいことをやれる環境を作ろうと考えました。その第一歩が法人化です。あと、法人化するかどうかで悩んでいた時に、今一緒にやっている私の叔父も起業すると知ったことも大きな要因ですね」

法人化して岩崎氏が本当にやりたいことは、新しいサービスを作り、社会の役に立ちたいというものだった。
「新しいサービスやシステムを作りたい思いがあります。会社を維持するために利益は必要ですが、その利益で社会に貢献できるモノを生み出したい。例えば、母は介護ヘルパーとして働いているのですが、介護ヘルパーが最も大変なのは、行政に出す書類作りやスタッフ同士の引き継ぎといった周辺の作業。介護そのものよりも時間と手間が掛かるそうです。その部分をITの力で負担軽減するシステムを作るなど、少しでも社会の役に立つモノを生み出したいですね。これからの時代は、ITに強い高齢者がどんどん増えます。すべての人々がいきいきと暮らせるウェブサービスやアプリを開発できれば最高ですね」

出し惜しみしないことが“人の縁”を広げてくれた。

体調を崩して会社を退社しても仲間が誘ってくれたり、ビジネスパートナーと離れた時には、別のパートナーが声を掛けてくれたり……岩崎氏の危機を救ったのは“人の縁”だった。
「人の縁は非常に大きかったです。ご縁のおかげで今までやって来れましたから(笑)。人の縁は、人から人へ紹介してもらって繋がっていくパターンが多いですね。もちろんイベントに顔を出して、あいさつして名刺交換という流れが一般的ですが、それだけの方とは長くご縁が続きにくい気がします。私なりにご縁を続ける方法として、名刺交換やあいさつで交わす会話で相手が困っていることを見つけて、可能な範囲でアドバイスするように気をつけています。ポイントはできる限り出し惜しみしないこと。今思えば、相談されることからはじまったご縁が、本当に多いですね」

本当にクライアントのためになるサービスを。


PPnRコーポレートサイト

将来的にはiPhoneやiPadのアプリ開発や独自ASPの開発に取り組んでみたいという岩崎氏。
「クライアントが満足してくれるモノを作り続けたい。そのために、クライアントの要望にプラスアルファを加えて応えることを心がけています。あとは、クライアントが困っているポイントに、最適な方法でアプローチすること。時には、ウェブサイト制作が最適な手段ではないケースもありますが、それも正直に伝えます。常にクライアントの立場に立って対応したい。なぜなら最終的にはクライアントが成功しないと本当の満足には繋がりませんから」

公開日:2010年12月06日(月)
取材・文:株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏