クリエイターズユニットfractal

たくさんの人と出会えること、それが一番の魅力です。

クリエイターズユニットfractal

今回おうかがいしたのは、5人の異ったジャンルの若きクリエイターが集まって活動する『fractal』というクリエイターズユニット。本来の仕事から離れてクリエイターズユニットを組んだきっかけや、ユニットで活動するからこそ生まれる魅力や楽しさについてお話をおうかがいしました。

様々なルートで集まってきたクリエイター。

取材風景

クリエイターズユニット『fractal』は、建築デザイナーである姜 雅忠(きょう まさなり)氏と藤田 剛氏、アパレルデザイナーの高橋 輝明氏、空間デザイナーの堤 庸策氏、イラストレーターであり僧侶のふじた ひろし氏の5人をメンバーとし、展示会やイベントなどの活動を行っている。

ユニット結成のきっかけは、メンバーの一人でもある堤氏が自宅で行っていた“クリエイター飲み会”だという。そこで堤氏と姜氏が飲みながら、仕事とは別のフィールドでクリエイティブな活動がしたいと考えたところから始まったのだという。
「飲み会の席でよく『何かやろう』という話になりますよね。でも実現することは少なかったり……。でも、私と姜氏は本気で、一人ひとり連絡して誘ったんですよ。そして集まったのがこの5人なんです。」
メンバーは、知人からの紹介や、とある講演会で意気投合してユニットへの参加を誘われたり……と、様々なルートで集まり、知らない者同士もすぐに意気投合したという。

本来の仕事とは別にユニットでの活動を行うことは大変だと思うのだが、なぜ参加することにしたのか聞いてみると、「いろいろな人と一緒に創作活動できるのは面白そうでした。」(高橋氏)、「僕もずっと仕事とは別に表現する場を探していて、やりたい気持ちがあったんです」(藤田氏)、「本職の僧侶の仕事との時間的な兼ね合いは大変ですが、それ以上の魅力を感じたんです。イラストレーターですが、プロダクトの制作にも興味がありました。」(ふじた氏)
皆、本業とは別のフィールドで表現することに、大きな魅力を感じたという。

『fractal』が目指すもの。


2009年5月に行った通天閣での展示会

そんな活動を表現するユニット名である『fractal』の意味をたずねたが、これが非常に難しい。全員で出しあった候補案の中からこの名前が選ばれたというのだが、命名者の姜氏いわく、
「『自己相似』という意味があり、数学や建築の世界で用いられている言葉ですが、本当の意味はおいておいて、このクリエイターユニットが“どこまでも、いつまでも変化し続ける”という意味を込めて名付けました。」

実際に、活動スタイルも変化し続けている。
「2008年9月に初めての展覧会を行いました。それは家具というひとつのテーマに対して、各自が好きな作品を持ち寄って展示するスタイルでした。一人では行えない展示会をユニットを組むことで実現し、いろいろな人に見ていただければいいなぁ、という思いがありました。」と堤氏。

だが、2回目となる2009年5月に通天閣で行った展示会がターニングポイントとなった。藤田氏が当時のことを語ってくれた。
「僕たちのことはもちろん、アートに全く興味がないであろう一般の人に、自分たちの作品を見てもらう機会がこの展示会でした。これが本当に面白かった。通天閣に遊びに来た人が、たまたま目にした自分たちの作品に反応してくれる。そんな生の声や反応が本当に面白かったんです。」
また、この展示会を通じて新しい課題も見つかった、と姜氏。
「僕たちのことを知らない人ほど“『fractal』って何?”という質問をされるんです。その質問にきちんと答えられるようになるためにも、個々の作品を自由に展示するだけではなく、複数のメンバーでひとつの作品を生み出すようなスタイルに向かって行きつつあります。」

異なる考え方や想いが交錯する場は、最高の刺激。

今後は、“遊び”を『fractal』のテーマとして掲げて活動していくという。
「最初は、好きなものを自由に作った。次はある程度の方向性を決めて、自分たちの好きなものを作りました。次は、複数でひとつのモノを生み出す作業に取り組みました。ここから先は、みんなでひとつの共通言語を求める作業になります。その共通言語のひとつが“遊び”。『fractal』として“遊び”のある空間、“遊び”のある家具などをデザインして、世の中に発信し続けていきたいです。」

こうした活動をやりたいと思うクリエイターは多くても、実際に行動を起こせる人は少ないだろう。
「本業を優先する中で、どうしても『fractal』の活動が後回しになりがちです。そうなると打ち合わせの時間もままならない。それを前へ前へと推進してくれるエンジンのようなメンバーの存在が重要かもしれませんね」と姜氏。

それぞれのメンバーも、大変さを実感しながらもそれを上回る成果を『fractal』から得ているという。
「私は本業が僧侶ですので、仕事の時間イレギュラーなため、時間的な調整が大変だったりします。でも、楽しいんですよね(笑)」(ふじた氏)、「意見をぶつけあったり、普段の仕事とは違う頭の部分を使います。これを自分の仕事に生かせれば。」(高橋氏)、「あの通天閣で味わった、見知らぬ人と自分の作品を通じてコミュニケーションする楽しい感覚をまた味わいたい。」(藤田氏)、「本業と『fractal』の活動のバランスを取るのに苦労しますが、新しい刺激があるし、集まって話しているだけで楽しくなるんですよ。本気で“遊び”たいです。」(姜氏)

若い異なるジャンルのクリエイターの力が集結し融合することで、大阪に新しいムーブメントが起こるかもしれない。


2009年10月の「RICアートカプセル」出展作品

クリエイターズファイル Vol.154

公開

2010年02月17日(水)

取材・文

株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏

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