「私だからできること」を、クライアントのために。
小林 真美氏:レターズ

小林氏

ライター、編集者、デザイナー、イラストレーターなど、さまざまな顔を持つレターズの小林真美さん。そんなマルチな能力を持つ彼女に、現在の仕事スタイルを確立したきっかけや仕事で大切にしているという「人とのつながり」、さらには大切にあたためている“夢”についてお話をおうかがいしました。

当時、最年少で卒業した
「宣伝会議 コピーライター養成講座」

中学生時代は、シナリオや詩などを毎日書いていたという小林さん。当時から漫然とではありますが「文章を書く仕事がしたい。でも、私がなりたいのは小説家じゃない」と考えていたそうです。

高校生の時に、コピーライターという仕事の存在を知った彼女は、持ち前の行動力でさっそく宣伝会議主催の「コピーライター養成講座」を受講。そして、この講座を卒業したのが高校3年生の時。当時、最年少での講座卒業ということで取材を受け、「宣伝会議」誌上に掲載されたそうです。

「高校卒業後は、すぐに働く気満々でした」と小林さん。しかし、周囲の薦めは「大学には行っておいた方がいいよ」というもの。そこで小林さんが選んだ道は「昼間は働き、夜間大学へ通う」こと。そして、無事夜間大学に合格。昼間はアルバイトでコピーライターのアシスタントをすることに。こうして、憧れの仕事に携わることができる環境を手に入れたのでした。

偶然出会った「私の感性に合う」会社。
難関をくぐり抜けて無事入社!

取材風景

アルバイト先では、正社員さながらの仕事をしていたそうで、ふとしたきっかけで手がけたコピー案が、ある通販会社で採用されることに。「私が書きたいコピーの雰囲気と、この会社の商品がマッチしていると感じたんです。この会社で仕事がしたい!と思いました」

厳しい選考をくぐり抜けて目標の通販会社に入社した小林さんは、出版部に配属され、晴れて社会人としてスタートを切りました。通販会社では書籍や通販カタログの編集を担当。書籍は過去最高の販売部数を記録し、増刷。当時の編集方法は、まだMacでのDTPではなく原稿は手書き、版下もアナログの時代だったそうです。

出産退職、離婚、そして独立……。
悔しさと行動力でモノにしたマルチな能力。

そして、妊娠を機に通販会社を退社。ところが子育てについて夫婦の意見が合わず、幼い子どもを抱えながらも離婚。これを機にパートタイマーとして印刷関係の制作会社で働き始め、再びクリエイターの道を歩き始めたのでした。

しかし、編集方法は進化しており、デジタル化が進んでいました。「Macが使えないなんて信じられない」という職場の雰囲気に悔しさを感じ、働きながらの子育てに加えて、MacのDTPが学べる専門学校に入学。「朝から晩まで大変でしたね。でも、子どものためにも“やらなアカン”という気持ちが先でした」と小林さん。さらにはデザイン技術も勉強。デザイナーと対等に渡りあえて、自分自身もデザイナーとして活動できるほどの技術を身につけました。

そして独立。本格的な営業活動をしなくても、以前働いていた通販会社をはじめ、さまざまな人が仕事を依頼してくれました。そして、そのおつきあいは今も続いているそうです。「本当に人のつながりの大切さをいつも感じています。だから絆を大切にする仕事をしていきたい」

「私だからできること」を提供し、
クライアントに喜んでもらいたい。

作品

コピーライター、デザイナーなど色々な仕事をこなせる小林さんへの依頼は多種多彩です。最も嬉しいのは「この仕事は小林さんにお願いしたい」とご依頼いただく時。今後、そういった仕事を増やすために「何でもできるから、とご依頼いただくのも嬉しいのですが、これからは“私だからできること”をアピールしていきたい」と考えているのだそう。

小林さんが考える“私だからできること”とは、“この人に頼めば売上が上がる”“予算内で効果的なツールを作ってもらえる”と安心して任せてもらえるように企画段階から参画すること。すでにそういった仕事の依頼もあるといいます。コピーライターやデザイナーとしての多彩な知識と技術はもちろん、母として人として、多くの経験を生かしてクライアントと一緒に作りあげるのが理想のスタイルだそうです。

いつか夢を実現するために、
より多くの人との絆を求めて。

「今の自分があるのは、人とのつながりを大切にしてきたから。もう一度初心に返ろう」と、“出会いと行動力”が自分を育ててくれると信じて、最近は交流会などに参加するようになったいう小林さん。実はメビック扇町の交流会で出会ったクリエイターのイベントをお手伝いしたりと、着実に新しいつながりを増やしているそうです。そんな彼女の夢を聞くと「人が書いた本を編集するのではなく、自分が著者として“売れる本”をつくりたい」のだそうです。

そんな夢を持つ小林さんにとって、最近の一番の楽しみは歌うことだそうです。あるアーティストに影響を受け、ボーカルスクールに1年間通ったという腕前は、カラオケ大会で最優秀歌唱賞を受賞したほど。「息子はギターが好きなんです。息子が作曲して私が作詞した曲を、息子がギターで演奏して私が歌えたらいいなあ。これは親バカな夢ですね。“歌うクリエイター”で仕事来るかな?」と話す小林さんの笑顔に、すべての仕事や出会いをプラスに変えていく行動力の源泉と、母の愛情を感じました。

公開日:2009年07月22日(水)
取材・文:株式会社ショートカプチーノ 中 直照氏
取材班:株式会社ライフサイズ 南 啓史