
「クリエイターズファイル」は、メビック扇町の周辺・大阪市北区を中心に、市内各地で活動している「この街のクリエイター」を、クリエイターの視点で紹介するインタビュー記事です。
プランジェクトナカデは、食品分野をメインとしたSP(販売促進)を専門に、数多くの食品メーカーや量販店の商品拡売のサポートを行っている企業です。プランニングやデザイン部分は、主として社内のクリエイターが行い、実際の製造や施工に関しては協力業者とタッグを組んで行っているといいます。
今回は、デザイナーの上野氏と専務の森氏にお話をおうかがいしました。

森専務(右)と上野氏(左)
プランジェクトナカデの業務は、簡単に言えば「販売促進の総合代理店」の一言に尽きるといいます。ラベルや包材の制作や管理、キャンペーンや展示会、ホームページの作成といった様々な販売促進手法において、企画段階からトータルサポートすることが可能だそうです。確かに森氏の「我々は総合SPエージェンシーと言っています」という言葉もうなずけます。
そんなプランジェクトナカデのデザイナーである上野氏は、2009年3月の「この街のクリエイター博覧会 Part 3」で開催された「OAV.E【Ogimachi Audio Visual Exhibition】」に「大阪おもしろ突っコミュニケーション」という作品でエントリーしました。
上野氏に作品応募のきっかけを聞いてみると「弊社はウェブサイトの動画制作なども行っていますが、現在はまだメインストリームではない」といいます。しかし、スーパーや駅のホームなどで見られる「デジタルサイネージ」という言葉がクライアントから出るなど、動画に対する認識は急速に高まりつつあるそうです。「動画は、消費者に対してもクライアントに対しても、非常に効果的なアプローチができるんです。ですから、積極的に取り組んでいます」と上野氏。

森専務
プランジェクトナカデという企業のクリエイターとして働く上野氏ですが、友人のフリーランスのデザイナーなどと話をしていると、やはりデザイナー個人にスポットライトが当たるフリーランスの環境や、外部に対してアプローチしづらい部分があるなど、違いがあることは肌で感じているといいます。
ただ、上野氏自身は「組織の一員であることを楽しむことを心がけている」そうです。具体的には「フリーランスの方は営業や経営もしなければなりませんが、我々はデザインに集中できる幸せな環境を与えられています。また、営業のノウハウなら社内の営業マンから無償で学べますし、会社にサポートしてもらいながら外部のセミナーにも参加できます。また、後輩の育成スキルやマネジメントスキルも、先輩を見て学べますし、実践もできます」と“学べて実践できて成長できる環境”といった、組織の一員ならではのメリットも多くあると感じています。
また、個人でアンテナを高くする努力も怠りません。「積極的にクリエイターが集まる場所に顔を出すことで、ネットワークを広げるように意識しています。良い刺激になりますね」と上野氏。
企業としても、スタッフの教育には力を入れているといいます。「弊社の一番の財産は“人”です。ですから制度を充実させて教育や研修に注力しています。例えば、SPなどの専門能力はもちろん、管理職としての研修なども用意しています。また、デザイナーに関しては、参加したい研修や外部のイベントがあれば、会社としては積極的に参加してもらうようサポートしています」と森氏。
さらに「組織の中で働くデザイナーは、同期との達成感やライバル心、切磋琢磨する環境があるので、そういった環境も能力を伸ばす上では大切だと思いますよ」とも。環境をどう活かすか、組織に属するクリエイターもフリーランスのクリエイターも関係なく、自身の意識の高さが重要だと再認識しました。

上野氏
将来に向けて、クリエイターには何が求められるのでしょうか?「お客様が満足できるものを提供できる技術や考え方の土台がしっかりしていること、得意分野があること、この二つは必要だと思います。同時に、あくまでクリエイターであってアーティストではない、という部分の線引きができることでしょうか」と森氏。
また、上野氏も「クリエイターの感覚が消費者の感覚とズレてはいけないと、常に意識しています」と、フリーランスのクリエイターも陥りがちな “ひとりよがりな視点のブレ”に警鐘を鳴らしていました。
プランジェクトナカデではより広い視野から企画・立案するために、デザイナーの他にプランナーやマーケティングスタッフを配置しているそうです。
「弊社はマーケティング思考に基づく総合SPエージェンシーという看板を掲げています。SPというと、展示会やキャンペーンと考えがちですが、それはあくまで手段。お客様とのコミュニケーションから生まれたマーケティング思考に基づいた、お客様の商品を売るための施策であれば、たとえシール1枚であってもそれはSPです。逆に、何も考えずにお客様の希望通りのキャンペーンはSPではなくて、ただの施工業者です。お客様にご提案する部分を磨いていきながら、できることを広げていく。それが会社の成長にもクリエイターの成長にもつながるのだと思います」という森氏の言葉に、クリエイターが今後向かうべき方向性が凝縮されているような気がしました。
(株)ゼック・エンタープライズ 原田 将志氏
文:Short Cappuccino 中 直照氏
クリエイターズファイル Vol.108 公開:2009年06月26日

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井上 義隆
マーケティング, 販売促進, セールスプロモーション, 商業デザイン, 広告
「(株)プランジェクトナカデ」