クリエイターズファイル - パンタロン 中野 綾氏クリエイター・起業家支援施設「扇町インキュベーションプラザ」

クリエイターによるクリエイターの紹介「クリエイターズファイル

「クリエイターズファイル」は、メビック扇町の周辺・大阪市北区を中心に、市内各地で活動している「この街のクリエイター」を、クリエイターの視点で紹介するインタビュー記事です。

場を持つことで、裾野が広がっていくうれしさがあります。
パンタロン 中野 綾氏

細長い中津商店街のさらに細い道を抜けた民家の並ぶ界隈に、パンタロンというデザイン事務所兼サロンがある。そこを運営する、デザイナーの中野綾さんにお話をおうかがいしました。

事務所風景

建築事務所で貴重な仕事を経験することができた。

短大のインテリアデザイン学科で建築を専攻していた中野さん。バイト先の建築設計事務所で、卒業後も働かせてもらった。

中野氏

「その設計事務所は設計業務だけでなく、出版や自身の展覧会を行うなど、幅広い活動を行っていました。私は展覧会のDMをつくるところから、展示の方法を考えたり、設営作業をしたりと、いろいろな経験をさせていただきました。現場に行って切り株の数を数えたり、海外の国際コンペに出品するために、英語の辞書を片手に翻訳しながら資料をつくるなど、珍しい経験をさせてもらったなと思います」。
ただ、もう少し自分の身の丈にあったスケールのものを触りたいと思い始めて、プロダクトや家具などを扱えるところに転職しようと動き始めたが、なかなか思うような仕事先に出会えなかった。

23歳の若さで、出版社に勤めながら専門学校講師?

裾野を広げて、行き着いたのが小さな出版社だった。
「そこが写植のつくり方でずっとやってきたところで、コンピューターに移行するために人員を募集されていました。社内ではまったくパソコンを使えない人たちが多く、トラブルがあれば自分で勉強しなくちゃ解決しないという環境で、パソコンを一通りできるようになりました」。
その出版社で、DTPとグラフィックの方法を働きながら覚えていった。
そのころ友人の誘いで中崎町にあったサロンに出入りするようになった。そこは建築、料理、数学、音楽、写真など、いろんなジャンルの方が集まっているオルタナティブスペースで、事務所やカフェとして使ったり、レクチャーやワークショップなどを開催していた。
「そのサロンでのつながりでグラフィックの仕事や、専門学校へインテリアの学科を教えに行くきっかけなどをいただきました。その頃まだ23歳だったので、学生さんの中には年上の方もいらっしゃって、常に学生に間違えられていました(笑)」。

人が前向きになってくれることのうれしさがあった。

取材風景

授業の課題としては、きっかけを中野さんがつくり、学生といっしょに作品を仕上げていくスタンス。「受けもっていた授業は、柔らかい考え方を現実的なものに落としていくという授業で、例えば赤を使わずに赤を表現しよう、といった禅問答のような課題を出し、それぞれの方法で表現することをトレーニングします。学生とのやりとりも新鮮でした。何気なく話したことが人に影響する。人がひとり前向きになってくれることのうれしさがすごくあります」。

事務所をつくるのであれば、人が集まるような場所をつくろう。

個人的な仕事の比率がだんだん大きくなってきた頃、周りの友人にも独立しようと考えている人がいた。
「いっしょに事務所立ち上げることになったのですが、デザイン業務だったらマンションの一室でもできるけれど、事務所をつくるのであれば人が集まるような場所をつくろうというのが前提になっていました。それは以前出入りしていた中崎町のサロンでの経験が大きいと思います」。

中津に住んでいたこともあり、事務所の物件探しも同じ大家さんに相談したら、構造だけ残していれば改装してもいいという物件を紹介してもらった。空間のデザイナー、3Dパースの仕事をしている方、そして中野さんの3人が集まり、築80年の長屋をセルフビルドで改装し、事務所とサロンスペースを兼ねたパンタロンが誕生した。中野さんの仕事としては、美容室や病院、ファッションブランドなどのグラフィックや、雑誌の編集、帽子や鞄のブランドを立ち上げるなど、プロダクトのデザインも行っている。
「いろいろ装飾を加えなくてもハッとするような、ちょっとしたきっかけのようなものになるデザインをしていきたいと思います」。

事務所風景

パンタロンは、その後も増改築を重ね、スペースが広がって行く。「写真家の方がここで作品を展示してみたい、と言ってくださったのを機に、展覧会などを企画するようになりました」。
「このような場をつくったことで多くの人たちと繋がったり、そこから仕事が生まれたりすることが、場を持つ良さだと思います。パンタロンでの活動をとおして、裾野が広がっていくうれしさがあります」。

取材班

(株)ライフサイズ 杉山 貴伸氏 / Short Cappuccino 中 直照氏

文:狩野哲也事務所 狩野 哲也氏

クリエイターズファイル Vol.90 公開:2009年01月28日

パンタロン

パンタロンロゴ

住所

〒531-0071
大阪市北区中津3-17-14

TEL

06-6377-0648

FAX

06-6377-0648

URL

http://www.pantaloon.org/

代表者

椎屋 智晴

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デザイン, 建築, インテリア, グラフィック, ギャラリー
「パンタロン」

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