メビック発のコラボレーション事例の紹介

次々に協働を生み出す情熱の絆 ようこそ! ようこそ! ようこそ!
TEAM情熱の学校

「TEAM情熱の学校」メンバー集合写真

自分の言葉で自分の旗を揚げる「情熱ブランディング」

エサキヨシノリ氏

ある日、九条のバーで。たくさんの仲間、笑い声とともに現れた、男の名はエサキヨシノリ。彼は一体何者なのか。その多岐にわたる活動について話を聞いた。
「私がTEAM情熱の学校でやっているのは、情熱をブランディングすること。独立前後、中小企業の社長さんと直接お話する機会があったのですが、一般的に言われる“ブランディング”は大企業向けのもので、中小企業が抱える課題解決に活用できませんでした。優れた技術もある、こだわりや特別な思いもある、そして情熱もある。モノが売れないのではなく、市場に求められるためのノウハウがない、そんな現状を目の当たりにして、中小企業にこそ自社の価値を自分の言葉で伝えられる旗(=ブランド)が必要だと思い、活動を始めました」。
確かに「モノが売れない」と目の前の課題に気をとられがちな中小企業にとって、ブランディングが課題解決の糸口につながることは、一見気づきにくいことなのかもしれない。「だから、ホームページやパンフレットなどの制作の依頼を受けても、まずその企業の旗をきちんと立てることから始めます。経営者と会社の状態、今抱えている課題まで徹底的に見つめなければ、そこから生まれるモノをアピールする方法も見つけられませんからね」。

広く多彩な活動で情熱をカタチに

エサキさんの活動拠点は、メビック扇町内にあるPSO(プロデューサーサポートオフィス)。ここではTEAM情熱の学校として総勢7名のクリエイターが協働している。ある日、中小企業の社長さんにエサキさんが「情熱ブランディング」についてセミナーを行った時のこと。ひとりの社長から「情熱がない会社はどないするねん」と声をかけられた。「情熱というのは精神論ではないんです。人間から自然と湧き上がる熱のようなもの。それを形式化することが必要だな、と感じました」。情熱をどうブランディングする?どうカタチにする?エサキさんの頭の中に突然「歌や!」というひらめきが降りてきた。「スクールのような形でブランディングを説くのではなく、企業のブランドコンセプトを歌にしたら、ライブ形式のセミナーにしたら、もっと思いが伝わるはず」。
こうして立ち上がったのがPASSION LIVES HERE BAND、日本の中小企業オヤジの応援歌を熱く歌うバンドだ。ブランディングを「自社の価値や思いを自社の言葉で伝えること」と考えるエサキさんのこと。言葉のチカラにバンドの持つ音のチカラが加わり、さらなるパワーが生まれた。工場では前代未聞のライブセミナーを開催し、印刷会社では社員と一緒に、応援歌「廻せ!輪転」を歌った。ライブセミナーでは涙を流す社員の姿や、「ずっと言いたかったけど、どう言うていいか分からんかったことを、よう歌ってくれた」と感激する社長の姿もあった。エサキさんのライブセミナーが、人に“自分の言葉”を与えた瞬間だった。

ファクトリーライブセミナーPASSION FACTORY LIVE 4
株式会社明成孝橋美術で開催したファクトリーライブセミナーPASSION FACTORY LIVE 4。

オッサンに嫉妬! 仲間と楽しむ気持ち

TEAM情熱の学校によるPASSION LIVES HERE BANDが各地で熱い感動を呼ぶ中、エサキさんはもうひとつ、オヤジの心を熱くする活動をすすめていた。その名も「オッサンヨガ!」。きっかけはとある取材で訪れたヨガ教室。健康志向の高まりとともに注目を浴びるヨガだったが、集まるのは女性がほとんど。「おとこのヨガ」プログラムを担当するインストラクターは、「男性のヨガ受講者が少ない」という悩みを抱えていた。この出会いがエサキさんの心に新たな情熱を生む。「働くオッサンにこそ、男にこそ、心のゆがみを正すヨガが必要だ!」。ヨガ教室をプロデュースし、男ばかりでヨガをする。オリジナルのTシャツを作り、テーマソングを作り、中之島で野外ヨガまで敢行。その姿が実に楽しそうで、「あぁ、私もオッサンだったらあそこに参加できるのに」とオッサンたちに嫉妬してしまうほど、心の底からうらやましく感じてしまうのだ。

リバーサイドヨガ
中之島公園芝生広場にて、生活ヨガ研究所主催「リバーサイドヨガ」に参加した、オッサンヨガ!

プロ同士の友だちが生む最強のチームワーク

エサキさんは、この「楽しむこと」にこそ、チームづくりの重要なキーワードが隠れていると言う。「チームとは、プロ同士の友だち集団であることが理想だと思うんです。それは部活や同好会のような集まりという意味ではなく、あくまで“プロ同士”。ライブセミナーの時もそうでしたが、バンドメンバーと言っても演奏しないメンバーもいるんです。バーベキューをふるまうメンバー、CDのジャケットを作るメンバー、告知のチラシを制作するメンバー。カメラマンもいればデザイナーも、ウェブディレクターだっている。それぞれ独立したプロたちが“私も一緒に楽しみたい”という思いやテンションでつながってできる絆は、ビジネスにおいても必ず最強のチームワークを発揮することができるんです」。
友だちだからこそお互いの想いを吸い上げられる、プロ同士の集団。エサキさんが話す通り、TEAM情熱の学校のメンバーを見れば一目瞭然だ。プロとして独立しているさまざまな職種、さまざまな個性、エサキさんのもとに集まったきっかけや出会いさえさまざまだ。エサキヨシノリという多面体の魅力を持つ人。そのさまざまな一面に、人の思い・情熱が接着剤となり、楽しくつながっていくチーム、次々に生まれていくプロジェクト。今日も大阪のどこかで、エサキさんは誰かと何かを楽しくつなげているに違いない。

情熱の学校

情熱ブランディングプロデューサー
エサキヨシノリ氏

http://www.jounetsu.jp/

公開:2013年7月18日(木)
取材・文:大竹麗氏(コヤ

*掲載内容は、掲載時もしくは取材時の情報に基づいています。