
「チャレンジャーズクリップ」は、メビック扇町に入所している「起業家=チャレンジャーズ」をメビック扇町スタッフの視点で紹介するインタビュー記事です。

中川さんは1972年生まれの35歳。東大阪で生まれ育ちました。実家がお菓子の小売業をやっていたこともあり、商売に対する関心はありましたが、子どもの頃は自営よりもサラリーマンに憧れていました。
子どもの頃は、特に目立つ子どもでもなく、何かに猛烈に熱中するということもありませんでした。高校時代は、普通科に通う普通の生徒。勉強に対する意欲もあまりなく、ただ漫然と過ごしていました。大学に行く気もなく、就職する気もない。フリーターとして、1年間夜のコンビニでバイトをしながら、家ではゲームに耽る毎日でした。そんな中、漠然とゲーム業界に入れないかと思い始め、バイトで貯めたお金で専門学校に通うことに…
ただ、専門学校について事前によく調べず、コンピュータ系の専門学校に入ればゲームクリエイターになれると思い込んでいたため、高い入学料を支払って入学した専門学校が、ビジネス系のコンピュータ専門学校であることに入学してから気付くという始末。結局、この専門学校ではゲームクリエイターにはなれませんでした。

でも、この専門学校への入学が、中川さん自身を大きく変えることに…。一人の担任の先生との出会いが、その後の中川さんの人生に大きな影響を与えました。その先生は、単なる知識を教えるのではなく、ものの発想の仕方とか、生き方や考え方についての哲学を叩き込んでくれました。これをきっかけに、コンピュータプログラミングについても興味が湧き始め、漫然と過ごしていた高校時代とは打って変わって、専門学校時代の2年間は皆勤でした。
そんな努力の成果から、専門学校卒業後は大手商社傘下のシステム会社に就職。会計システムの開発・運用に携わりました。折しもPCが普及し始めた1990年頃のこと。翌年にはホストコンピュータにPC端末をつないで運用するためのソフト開発に携わりました。その後もPCのローカルシステム構築、大手商社本体のPC1人一台化対応、サウジアラビアやドバイにある大手商社海外支店のネットワーク構築支援など数々の大規模プロジェクトに関わりました。中川さんは、「一部署に長く居続けるのではなく、毎年部署が変わり、短期間でいろんな経験ができたことが、今の仕事にも役立っている」とその頃を振り返ります。
でも、7年の間に、自分がディレクター的存在になってしまい、自分一人では何もできなくなっていることに気付き、再び自分の生き方を考え悩むことに…。当時は、社内のグループウェアを見ても、デザインも良くないし、ユーザビリティも低い状態。普及し始めていたホームページ(HP)制作に興味があり、HP制作を通じて、デザイン性もユーザビリティも高める製品開発ができないかを模索を始めました。
そこで、大阪市が主催する起業家セミナーなどに通い、起業準備を始めました。雑誌の起業家マッチングコーナーにパートナー募集の記事を掲載したところ、ある会社の経営者から話があり、一緒に開発会社を立ち上げることになりました。これがラキア情報システム(株)の始まりです。

そのパートナーと一緒に半年くらい準備をして、500万円ずつ同額出資し、資本金1,000万円でスタートしました。29歳の時でした。当初は顧客は全くない状態でしたが、前職の関係から大手商社のHP管理を請け負うことができました。でも、どうすれば顧客を集めることができるか、日々悩む毎日。当時はベンチャーブームでもあり、ビジネスモデルの構築に囚われ過ぎ、広告料収入が得られるポータルサイトの構築などを手がけましたが、結局はうまくいかず。業務用システムなどHP制作とは異なるジャンルで勝負をするも、自分のやりたいこととのズレが生じ、存分に力を発揮できないなど、思い悩む日々が続きました。
特にIT業界は、スピードが速く、トレンドが日々刻々変化する中で、どこで腰を落ち着ければ良いのかが見えません。落ち着くところなどないのかもしれません。業界の取り残されている感覚が強く、恐怖心に駆られます。でも、基本は、会社としての力がないと生き残れないということ。「自分の強みは何なのか」「自分は何をやりたいのか」という原点に立ち戻って考えることが大事だということに気付きました。自分たちが何ができるのかを、自分たち自身がきっちり理解すること。そして、その強みをもっと外に向けてアピールすること。これが生き残りの条件のような気がしています。

現在、スタッフと定期的にミーティングを行い、自分たちは何ができるのかを再度見つめ直しています。その中で、価値を生み出すものを選別しています。
HP制作会社でありながら、自社のHPは自分たちの強みをアピールできる内容で作られているのかといえば、決してそうではないのが現状です。まずは足下からきっちり固めていくことが必要と、夏までには自社のHPをリニューアルをしていく考えで動いています。
「スタッフ全員が、同じ言葉で表現できる会社を創りたい」現実的には難しいことかもしれませんが、方向性を一にし、価値観を共有できる会社、社会に対して貢献できる会社づくりめざしています。現在、中川さんを含めて4人のスタッフで運営していますが、スタッフが、ラキア情報システム(株)で一緒に仕事をしたいと言ってくれることが、今一番嬉しいことの一つかなと思っています。
チャレンジャーズクリップ Vol.62 公開:2007年05月08日
聞き手 文:インキュベーションマネージャー 堂野 智史
2008年10月末に退所されました。