
幼少の頃から「創る」ことが大好きな人間。もの心着いた頃から、ねんど細工や積み木遊びに耽っていた。特に大の自動車好き。小学校の教科書ノートには、自動車の落書きだらけ。授業を聞いている振りして、ひたすら落書きをしていたことを憶えているという。当時は、スーパーカーブーム。ランボルギーニやフェラーリなど、男の子なら誰でもが自動車に憧れた時代であった。

この頃から漠然と車関係の仕事に就きたいと思い始めていた。そんな頃、「カースタイリング」という雑誌に出会う。この雑誌には、プロダクトデザインの紹介コーナーがあった。電話やポットなどの斬新なデザインが紹介されており、子どもながら強い刺激を受けた。お金を貯めて、バックナンバーを買いに行くほどであり、人生のエポックメーキングになった。
高校は普通科を卒業し、デザインとは無縁の会社に就職した。が、デザインに対する思いは捨てきれず、会社勤めで、2年間働いてお金を貯め、デザイン専門学校へ行きなおした。
デザイン専門学校では、プロダクトデザインを専攻。朝学校に行って、夕方から深夜まで家電メーカーでの機械メンテナンスのアルバイト。帰宅後は明け方まで学校の課題をこなすという毎日が続いた。睡眠時間が2〜3時間も当たり前。ハードな生活を送っていた。でも、「しんどかったが、楽しかった」と竹中さんは当時を振り返る。
デザイン専門学校を卒業後は、希望通り車関連用品のデザイン会社に就職が決まり、エアロパーツやホイールのデザインに携わっていた。
もともと独立して自分でやりたいという夢があったので、独立するまでに様々な経験をしておこうと考えていた。そのため、車関連用品のデザイン会社を2年で辞め、次に特許事務所に転職した。将来的にパテント戦略が重要との考えからである。図面を描くことで、機構がわかるようになり、後のデザイン業務にとって大変有益であった。
その後、本格的にプロダクトデザイン会社に再就職。大手家電メーカーのプロダクトデザインを担当した。この会社こそが、竹中さんのデザイナーとしての原点であり、プロダクトデザインの手法やクライアントとの折衝の仕方など、プロのデザイナーとしての基本を学ぶことになった。Macの普及もこの頃であり、コンピュータ化にも難なくスライドできた。
このプロダクトデザイン会社には3年くらいいたが、知り合いの機械設計会社の社長に自社へ来ないかと誘われ、移籍。CADによる機械設計、加工組立、板金・成型など、ものづくりの現場を経験することになった。
竹中さんは、「プロダクトに関わるすべての工程を経験したことが自分の強み。長く同じ会社に居続けるよりも、3年くらいで8割程度仕事を覚えたら、次の経験をするために別の会社に転職する。アクティブな転職は自分にとってプラスになった」という。
こうした経験を経て、1999年に独立。知人のデザイン事務所の手伝いをしながら大阪郊外の自宅で事業を開始した。しかし、1人でやっていると、受注能力に限界があり、突然大きな仕事の話がきても受けることができなかったり、自宅での開業はクライアントに対するイメージも良くない。結果、小さな仕事しか受けることができなくなり、限界を感じていた。
そんな環境から抜け出すために、拠点を大阪市内に移し、会社として本格的に事業をやっていく決意をして、2006年にメビックに入居。早速、法人化を果たし、一緒にやってくれる良きパートナーも見つかり、好スタートを切った。
会社名「D-Flat」の由来は、「D」=「Design」「Desital」「Direction」を表し、「Flat」=高級マンションを表す。レベルの高いエキスパートが揃っている少数精鋭のデザイン会社という意味が込められている。何が得意ということではなく、いろんなことをアウトプットできる高いスキルをもった、懐の深い会社づくりをめざしたいと抱負を語る。

根っからものづくりが好きな竹中さん。「クリエイティブな仕事は、人間にしかできない天職だ」と言い切る。こう書くと仕事人間のようなイメージが伝わるが、竹中さんは子育ても、料理も大好きである。仕事も、子育ても、料理も、ものづくり。創造することに代わりはないという。
「ものを考えている時は幸せ。創造することは楽しい」楽しさのあまり、ついついものづくりに耽ってしまう。クリエイターとしての自分と経営者としての自分のバランスが、今直面している最大の課題である。
チャレンジャーズクリップ Vol.56 公開:2006年11月07日
取材 文:インキュベーションマネージャー 堂野 智史

※2009年4月末に退所されました。
〒530-0026
大阪市北区神山町2-1
若杉梅田ビル 302
06-6311-2231
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http://d-flat.jp/
竹中 英二
プロダクトデザイン, 工業デザイン, コンピューターグラフィックス, 商品企画, 製品設計
「(株)D.Flat」