
「チャレンジャーズクリップ」は、メビック扇町に入所している「起業家=チャレンジャーズ」をメビック扇町スタッフの視点で紹介するインタビュー記事です。

「コラボレーションの仕掛け人」。グラフィックデザイナーの北さんは、文字通り、メビックの中でも屈指のコラボレーターである。人懐っこい明るい性格とクリエータっぽい風貌の奥に潜む強い思いと優れた感性は、メビック内外を問わず、多くの人を惹き付けている。既に、入所企業数社との協働作業を行い、素晴らしい商品を世に問うてきた。
北さん自身、もともと美術は好きだったが、ミュージシャンになりたかったこともあり、高校卒業後、専門学校へは行かず、父親が立ち上げた印刷会社を手伝いながら、音楽活動をやっていた。父親の会社では、営業を担当。客先から印刷の仕事をもらっては、納品する日々を繰り返していた。

仕事柄、客先からデザインの注文が入ったり、デザイン会社を訪問する機会が多く、次第にデザインに対する潜在能力が開花することに。当時はMacが普及しはじめた頃。夜間に学校に通うなど、独学でMacを勉強した。同時にアナログのデザインについても意欲的に学び、昼間は営業、夜間はデザイン漬けの毎日だったという。
その後、父親の会社が倒産し、営業で生きるか、デザインで勝負をするか、決断を迫られた。自分のやりたいことに賭けたいと思い、デザインで勝負することに。某印刷会社のインハウスデザイナーとして再就職した。最初はがむしゃらに働いた。誰から受けた注文であるかを営業に確認し、客先の感性に応じた商品づくりを心掛けた。その際、デザイナーとしてのこだわりよりも、営業やクライアントを喜ばせる姿勢を大切にしたという。営業経験のある北さんならではの感性である。
2003年に8年間勤務した印刷会社を退職。独立することに。クライアントに対して本当に良い商品を提供するには、サラリーマンの仕事では限界があった。独立と同時に、運良くメビックに入所はしたものの、自己資金も固定客の見通しもなかったため、最初の3〜4ヶ月間は受注も決まらず、本当に生活していけるか真剣に悩んだという。

その後、昔のクライアントから仕事をもらったり、コラボレーターとしての持ち前の手腕を発揮し、着実にクライアントを増やしてきた。また、一緒に仕事を手伝ってくれる仲間を1人増やし、2005年からは東京にも進出するなど、確実にマーケットを拡げてきている。
デザインに対する北さんの思いは、デザイナーが創る商品は、コミュニケーションツールの一つであるということ。クライアントのクリエイティブ度を感じながら、それを少しだけ高める高感性の商品を提供していく姿勢が大切だという。人付き合いでも同じだが、どれだけ相手の価値観に立てるか。それがクリエイティブ度を感じるということ。

自分たちがデザインしたものに対し、使う人、シーン、場所などをどれだけ想像できるか、俯瞰的に分析できるかが、デザインにとって最も重要だと考えている。ベストなものを作るためには、自分を否定し、時にはクライアントも否定する。そのためには、クライアントとの絶え間ないコミュニケーションと信頼関係が不可欠である。
北さんは、「コミュニケーションはデザインの一部。コミュニケーションツールを創る人がコミュニケーションをとることができないのは本末転倒。自己満足な自己主張であれば、デザインに自分らしさは要らない。」と言い切る。
公開:2005年07月26日
聞き手 文:インキュベーションマネージャー 堂野 智史

※2006年1月末に卒業されました。
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北 直旺哉
アートディレクション, グラフィックデザイン, CI, セールスプロモーション, パッケージデザイン
「キネトグラフ社」